小惑星探査機はやぶさ2は,2018年6月27日にリュウグウへ到着し,小惑星近傍フェーズへと入った.リュウグウの特性を調べるため,約1年半に渡り多様な科学観測が遂行された.また,ローバー/ランダーの展開,二度のタッチダウンによる表面/地下サンプル採取,人工クレーター生成実験など,多くの降下運用に成功した.本稿では,はやぶさ2ミッションにおける小惑星近傍フェーズの概要を,事前準備と実績に分けて紹介する.はやぶさ2の多様で複雑な小惑星近傍運用を成功させるため,往路巡航フェーズ期間を活用して事前に詳細な運用計画を検討し,多くの訓練を実施した.到着後は,明らかになるリュウグウの素性や運用の成否,探査機特性の変化へと柔軟に対応しつつ成果の最大化を図った.本稿では,小惑星近傍フェーズにおける降下運用の全体像に加え,各期間のハイライトや重要な判断の流れを報告する.
宇宙航空研究開発機構の航空技術部門では,エコウィング技術の研究開発事業において環境性能と経済性を向上させる空力技術および構造技術の研究開発を行ってきた.本研究開発事業では,2020年代と2030年代に開発開始が想定される航空機への適用を目指し,航空機の抵抗低減や構造軽量化による燃料消費量削減およびCO2排出量低減を実現する技術と,空港騒音を低減するための設計基盤技術の研究を進めた.本研究開発事業の構造技術研究の一つとして,光ファイバひずみ計測技術開発に取り組んだ.光ファイバひずみ計測技術により,複合材製造時や機体飛行時における変形状況や荷重状況を把握可能となり,軽量化された航空機構造の信頼性向上につながるものである.本稿では,光ファイバひずみ分布センサによる航空機主翼構造モニタリング技術の飛行実証HOTALW(High performance Optical fiber senser flight Test for Airplane Wing)として実施した飛行試験の結果およびそれに対応する構造解析結果に関して報告する.