2050年に多くの宇宙ビジネスがおこなわれていると考えられる.ここでは,実際に宇宙ビジネスの前線にいる専門家の協力のもと,宇宙ビジネスを大きく3つに分類してまとめた.第1のカテゴリーは,宇宙ビジネスの前提となる宇宙輸送に関わるビジネスである.第2のカテゴリーは,宇宙ビジネスを場所ごとに俯瞰したものとして,地球近傍の基地や月面基地でのビジネスである.第3のカテゴリーは,その場所での人々の宇宙活動や生活に関わる具体的なビジネスである.第2のカテゴリーは,地球近傍のビジネスと,月に関わるビジネスに,第3のカテゴリーは,フードビジネス,ヘルスケアビジネス,エンターテインメントビジネスに細分化した.その上で,各セクションでは,2050年のビジネス状況と2050年までのロードマップについて述べている.
宇宙人文・社会科学研究会では,地球で進化してきた地球生物としての人間が,地球と本質的に異なる新たな環境「宇宙」に生活圏を拡大するとき,心と意識,記憶,知覚や五感,そして,価値判断にどのような影響を及ぼし,また変容させていくのか.今後,ロボット,人工知能,アバター,ヴァーチャル・リアリティなどの技術が進化・発展し,有人・無人の分担と協調が進む中で,宇宙と人間の関わりはどう展開していくのか.人間とは何かについての理解と認識がどのように深化していくのかを検討している.本稿では,人間拡張技術を「空間」の拡張と「能力」の拡張という二つの立場から検討し,宇宙の価値を考察した.具体的には,未来予測シナリオを援用し人類の破滅シナリオから見た宇宙の価値を再認識し(空間拡張),最近の人間拡張技術の観点から見た宇宙の捉え方(能力拡張)を示した.