宇宙航空研究開発機構(JAXA)の開発した小惑星探査機「はやぶさ2」は2018年6月に目標天体であるC型小惑星「リュウグウ」に到着後,約1年半の近傍ミッションフェーズを完遂した.この間,2回のタッチダウンおよびサンプル採取運用を成功させ,2019年11月にリュウグウを離脱,サンプルリターンカプセルを地球に帰還させるべく帰路に入った.約1年の地球帰還フェーズを経て,2020年12月6日にはやぶさ2はサンプルリターンカプセルを地球に帰還させることに成功し,計画通りオーストラリアのウーメラ立入制限区域内にカプセルを着陸させた.その後,オーストラリア現地に配置されたカプセル回収班によってカプセルは計画通りに回収され,カプセルから「リュウグウ」で採取したサンプルの入ったサンプルコンテナを分解して日本まで輸送,JAXA相模原キャンパスにあるキュレーション施設に搬入し,クリーンチャンバに導入した.本稿では,カプセル回収オペレーションにおいて,筆者が取りまとめとして活動したカプセル・サンプル係の視点から現地での回収オペレーション活動について紹介する.
名古屋大学とその共同研究チームは2021年7月27日,JAXAの観測ロケットS-520-31号機により,世界で初めてデトネーションエンジンシステム(DES)の宇宙飛行実証実験に成功した.実験のためには,飛行中のDESのバルブ等の作動を制御するとともに,圧力・温度などのデータを計測する装置が必要であったが,観測ロケットの飛翔環境に耐え,かつ,与えられた搭載空間に収まるコンパクトな装置は市販品では賄うことができないため,専用の装置,DESアビオニクスを開発する必要があった.本稿ではDESアビオニクスの仕様,設計,開発,飛行結果について報告する.