日本航空宇宙学会誌
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72 巻, 6 号
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連載 航空宇宙関連学校の紹介 第3回
 
特集 JAXA航空が目指す航空利用社会の将来像と重点課題 第4回
  • 青山 剛史, 溝渕 泰寛, 橋本 敦
    2024 年 72 巻 6 号 p. 193-199
    発行日: 2024/06/05
    公開日: 2024/06/05
    ジャーナル 認証あり

    極めて複雑なシステムとなっている近年の航空機は,その開発において,設計変更による手戻りや認証試験の複雑化などに起因する開発スケジュールの長期化およびコストの増大が大きな問題となっている.その解決手段として,デジタル技術,特にDX技術が世界的に注目されている.もし我が国がこの潮流に乗り遅れると,海外OEMのTier 1事業において確立してきた不可欠なパートナーとしての地位を失いかねない.このような状況下,JAXAは「新たな航空機を創出する航空機ライフサイクルDX技術の研究開発」を航空技術部門の活動における三本柱の一つと位置づけ,2022年度から着手している.その後,2023年度には,「経済安全保障重要技術育成プログラム」の一環として公募されたNEDO事業に,「航空機の設計,認証,生産プロセスの革新とプロセス統合」のテーマが採択され,共同提案者とともに設計DX,認証DX,生産DXおよびプロセス統合(DXプラットフォーム)の課題に取り組んでいる.

特集 宇宙政策・宇宙法・宇宙安全保障とは何か? 第3回
  • 橋本 靖明
    2024 年 72 巻 6 号 p. 200-205
    発行日: 2024/06/05
    公開日: 2024/06/05
    ジャーナル 認証あり

    本稿は,特集「宇宙政策・宇宙法・宇宙安全保障とは何か?」の第3回であり「宇宙安全保障とは何か?」をテーマとして,宇宙空間の安全保障問題を論じようとするものである.世界全体として見ると,宇宙活動や宇宙計画の多くの分野はその開始以来,安全保障部門によって進められてきた.冷戦期に世界の宇宙活動を先導した米ソ両国は安全保障分野においてもまた先導役となっていたのである.冷戦構造終了によってロシア(旧ソ連)の宇宙活動能力が低下する中,代わって米国に拮抗しようと台頭したのは中国であり,安全保障部門と一体化した宇宙活動を急速に推し進めている.日本はこうした米国,ロシア,中国とは異なり非軍事目的に限って宇宙活動を行ってきたが,1998年のいわゆるテポドンショックなどを受けて方針を変更,さらに2008年の宇宙基本法成立以降,安全保障も明白に意識した宇宙活動へとシフトしつつある.

特集 プラネタリーディフェンス:天体の地球衝突問題に対処する 第3回
  • 奥村 真一郎, 浦川 聖太郎, 柳沢 俊史, 紅山 仁
    2024 年 72 巻 6 号 p. 206-213
    発行日: 2024/06/05
    公開日: 2024/06/05
    ジャーナル 認証あり

    プラネタリーディフェンス活動において,地球に衝突する可能性のある,いわゆる地球接近天体を発見することがまずは必要である.そのような候補が見つかった場合に,見失ってしまわないように速やかに追加の位置測定観測を行い軌道を定めることが重要である.また,衝突の回避や衝突時の被害を小さくする検討のための情報として地球接近天体の素性を調べる物理的な観測も必要とされる.本稿ではプラネタリーディフェンスに向けた活動に関連して,美星スペースガードセンターでの観測活動,JAXAで開発した高速画像処理技術(重ね合わせ法),東京大学木曽観測所のトモエゴゼンカメラ,すばる望遠鏡の観測データから太陽系小天体を発見・報告できるウェブアプリケーションCOIASなど,国内における地球接近天体の観測活動について紹介する.

特集 材料への宇宙環境影響に関する研究の最新動向 第4回
  • 衣本 太郎, 野田 麻菜美, 増田 由紀乃, 甲斐 可奈子, 守山 雅也, 下迫 直樹, 宮崎 英治
    2024 年 72 巻 6 号 p. 214-218
    発行日: 2024/06/05
    公開日: 2024/06/05
    ジャーナル 認証あり

    樹木類の宇宙利用を指向し,その最小構成単位であるセルロースナノファイバーのガンマ線耐性やアウトガス特性を明らかにするために,竹を原料に成分の異なる2種類のセルロースナノファイバー製フィルムを作製した.フィルムのガンマ線耐性は総線量300kGyまで照射した後に最大応力と弾性率を測ることで,アウトガス特性は質量損失比と揮発性凝縮物質比等を測定することで調べた.ガンマ線耐性について,2種類のセルロースナノファイバーは60kGyまでは引張最大応力と弾性率に大きな変化はなく,300kGyまで照射すると低下することを明らかにした.また,アウトガス測定から,植物の三大成分であるヘミセルロースとリグニンおよびそれら由来物がアウトガス源になり得ることを初めて見出し,植物の宇宙利用,特にアウトガスシール材の開発などに繋がる知見が得られた.

特集 宇宙エレベーターの最新研究動向 第4回
  • 大塚 清敏, 山極 芳樹, 石川 洋二
    2024 年 72 巻 6 号 p. 219-225
    発行日: 2024/06/05
    公開日: 2024/06/05
    ジャーナル 認証あり

    宇宙エレベーターのテザーの主材料とされるカーボンナノチューブ(CNT)も他の材料と同様に温度変化により伸縮する.CNTの熱膨張率の大きさは10-6〜10-5程度と小さいが,宇宙エレベーターの地球の周りの公転運動の途上での日射の有無等により,テザー温度が300K程度の幅の大きな変化を示すことや,全長が10万kmに達する長大なものであることなどから,熱による伸縮量は単純に無視できない大きさとなる.筆者らは,これまでほとんど考慮されなかったテザー材料の熱膨張を,宇宙エレベーターの力学モデルに新たに導入し,地球自転と同期した周回運動途上での温度変化によるテザーの熱伸縮運動について調べてきた.テザーの温度変化の影響は音波(熱弾性波)として伝搬し,テザーの軸方向および直交方向に複数のモードの振動を励起することがわかった.本報告では,基礎的な数値計算の結果の概要について紹介する.

連載 ソフト・リジッド
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