ロケットの発射場設計は,地上運用の機能配分,打上げ時の環境条件,整備性,保全性,信頼性を主な要求とし,これに応えるため様々な数値解析が活用される.本稿では,ロケット離着陸時に発生するエンジン排気ジェットに起因した空力音響解析の課題と展望を紹介した.日本では,打上げコスト削減と打上げ機会増加を目指し,再使用ロケットの研究が進行中である.従来の使い捨てロケットとは異なり,再使用ロケットでは,ロケットと発射場を一体のシステムと捉え,システムズエンジニアリングを適用し,全体のライフサイクルを俯瞰することが必要になる.空力音響はロケットと発射場のインターフェースの1つであることから,機体の音響環境に与える発射場の影響を調べるため,ドメインエキスパートではなくても使用可能で,必要十分な予測精度を持つ縮約モデルの開発が求められる.
YS-11は,戦後,占領軍による7年間の航空に関する活動禁止の後,日本で初めて設計,生産された与圧胴体を有する中型輸送機であるとともに,安全性についてFAA(米国連邦航空局)の型式証明を取得した旅客機である.全182機が製造され,うち76機が輸出され外貨獲得にも貢献.また初期トラブル解消後は,世界の最新鋭機と比較しても極めて高い運航率を誇る機体となり,国内旅客機としては2006年まで40年以上運航された.これらYS-11シリーズの開発経験や運用実績は,その後のC-1ジェット輸送機の試作機XC-1の開発などに活かされており,戦後の航空機産業の空白後にふたたび航空機設計の基礎技術を確立,蓄積したエポックメイキングな製品として航空宇宙技術遺産に認定された.
技術試験衛星9号機(Engineering Test Satellite-9:ETS-9)は,次世代静止通信衛星の産業競争力強化に向けた技術実証を目的として開発を行っている.ミッション機器の搭載量の増加および全電化推進の採用に伴い,電力系のサブシステムにおいては,衛星バスとしての供給電力の増強を目的とした各機器の大電力化開発を行う.本稿では電力系の各サブシステムおよび各機器の開発成果について述べる.