日本航空宇宙学会誌
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最新号
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連載 航空宇宙関連学校の紹介 第14回
 
特集 宇宙開発における数値流体力学 第4回
  • シャルトン ヴィルジル, 杵淵 紀世志
    2025 年 73 巻 6 号 p. 187-193
    発行日: 2025/06/05
    公開日: 2025/06/05
    ジャーナル 認証あり

    ロケット飛行中,固体モータからの電離排気プルームが通信波と干渉し,時に通信途絶を引き起こす.この予測は依然として経験的になされており,予測手法の確立が求められている.そこで連続流の仮定に基づき電離プルーム流れを解き,その解をMaxwell方程式の数値解法である有限差分時間領域法に適用し電波減衰を算出する手法を開発した.飛行中データとの比較の結果,高度85 kmでは計算結果と飛行データは良好な一致を示した.しかしより高高度の183 kmでは大気の希薄化を考慮する必要があり,連続流の仮定の限界が示唆された.現実的な計算資源での希薄流解析実現のため,ロケット近傍の高密度領域の連続流解法と,希薄流の解析手法であるDirect Simulation Monte Carlo法を組み合わせた手法を開発した.無反応流で十分な精度を確認後,反応流を計算負荷の低い流線抽出に基づく化学反応事後計算により求めた.高高度では希薄流効果により電子がより広範囲に分布するため,連続流解析と飛行データに差異が生じたことを確認し,本手法による高高度飛行時の電波減衰予測実現の目途を示した.

特集 航空宇宙技術遺産第二号 第5回
  • 卯尾 匡史
    2025 年 73 巻 6 号 p. 194-198
    発行日: 2025/06/05
    公開日: 2025/06/05
    ジャーナル 認証あり

    ソーラー電力セイル航行技術実験機IKAROSは,2010年5月21日に打ち上げられ,4つの世界初の軌道上実証にいずれも成功した.具体的には,1)14 m四方のセイル膜面のスピン展開,2)セイル上の薄膜太陽電池による発電,3)セイルで太陽輻射圧を受けることによる加速,4)セイル上の液晶デバイスでセイルの一部分の反射率を変化させることによるセイル全体姿勢制御・加速方向制御である.これにより,大型膜面を展開して,光子加速により推進剤なしで航行するソーラーセイル技術,および,軽量大面積の太陽光発電を行い,外惑星領域でも高性能なイオンエンジンを駆動可能にするソーラー電力セイル技術をどちらも世界で初めて獲得した.より遠く,より自在に,より高度な宇宙探査活動を可能とする先進的かつ画期的な功績をもって技術遺産として認定された.

特集 プラネタリーディフェンス:天体の地球衝突問題に対処する 第8回
  • 岩城 陽大, 菊地 耕一
    2025 年 73 巻 6 号 p. 199-204
    発行日: 2025/06/05
    公開日: 2025/06/05
    ジャーナル 認証あり

    小惑星や彗星のような天体の地球衝突から人類を守るプラネタリーディフェンスは,人類全体の問題として国際的に協力して実施されることが望ましく,技術的な事柄のみならず社会的にも様々な準備や対応が求められる.本稿では,特にプラネタリーディフェンスと国際法の関わりとして,天体衝突の危険を関知した場合の他国への通知義務,プラネタリーディフェンスミッションの実施や参加の義務,プラネタリーディフェンス活動(核使用を含む)の合法性,プラネタリーディフェンスに失敗した場合の責任構造,プラネタリーディフェンスに関する国際的な決定機関といったケースを取り上げて解説を行い,プラネタリーディフェンスにおいて人類が一致団結して協力できるよう,天体衝突の脅威が顕在化する前に準備しておくべき事柄について提言する.

トピックス
連載 空と宇宙に学ぶ/学生の挑戦
連載 ソフト・リジッド
その他
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