将来の月探査に向けて,各国でPNTサービスの実現性検討が進められている.本報告では,LNSSアーキテクチャの実現に向けた,LNSS実証ミッションの実現性検討結果について紹介する.また,LNSSアーキテクチャの検討の紹介,測位ペイロード,月面受信装置の検討を実施した結果についても紹介する.また,LNSSアーキテクチャは様々な組み合わせが検討されているが,その中でもELFO(2軌道×4機)を前提とした場合,測位精度として40 m(95%)を達成可能であるとの見通しを得た結果についても紹介する.
技術試験衛星9号機(Engineering Test Satellite-9: ETS-9)は,2020年代の国際商用静止衛星市場において競争力のある次世代国産静止通信衛星の実現に向けて必要となるバス技術とミッション技術を開発し,軌道上実証することで宇宙産業や科学技術基盤の維持・強化を図ることを目的としている.このうち,衛星バス技術についてはホールスラスタを採用した全電化推進系や統合化制御系による新しい衛星バス技術の開発を行うとともに,20 kW級ペイロードに対応した大電力化及び高排熱技術の開発を行う.本稿では,ETS-9の衛星バスシステムを構成するサブシステムの概要及び主要な開発内容について解説する.
我が国の衛星測位システムの最大の特徴は準天頂軌道と静止軌道を組み合わせ,少ない衛星数で特定地域における高精度衛星測位を可能としたことである.準天頂軌道の採用により,天頂付近に準天頂衛星が少なくとも1機確実に見えることとなり,GPS等の地球周回型の測位衛星のみを使用した場合に比べ,測位の安定性(測位率)が大幅に向上する.また,測距誤差を補正する補強情報を準天頂衛星より放送し,ユーザ端末で補強情報を基に補正処理を行うことにより,ユーザの高精度な自己位置決定を可能とする.準天頂軌道の採用による「測位補完サービス」提供を前提とした測位システムの構築・実用化,測位信号のみでセンチメータ級の高精度測位を可能とする「測位補強サービス」の提供・実用化は世界初である.