56歳, 男性. 1996年, 左腎細胞癌 (clear cell type, T3, N1, M0) に対し根治的左腎摘出術を施行され, その後1年間interferon α (IFNα) を投与された. 1998年11月, 両側肺に多発性転移巣を認めたためIFNα治療を再開されたが, 効果不良で, 2000年6月には右腎, 副腎にも転移巣が出現し, 部分切除を施行された. 移植前には右腸骨への転移も認めたが, 多発性肺転移巣に対し, 2001年3月, HLA一致同胞より骨髄非破壊的同種末梢血幹細胞移植を実施した. day28にT細胞キメリズムはすべてドナータイプとなった. 急性GVHD, 慢性GVHDともに併発し, GVHDのコントロールに難渋し, ステロイドの減量が困難であった. 原疾患の増悪に加え心不全と肺出血のため, day793に死亡された. 治療効果に関して, 肺の転移巣は縮小していたが, 右腎, 腸骨の転移巣は増大しており, 移植片対腫瘍効果の差が見られた.
抄録全体を表示