北関東医学
Online ISSN : 1881-1191
Print ISSN : 1343-2826
ISSN-L : 1343-2826
56 巻, 3 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
原著
  • 佐藤 浩子, 佐藤 真人, 坂本 浩之助, 澤田 芳枝, 星野 綾美, 宮崎 有紀子, 佐藤 久美子, 小暮 敏明, 倉林 正彦, 田村 遵 ...
    2006 年 56 巻 3 号 p. 201-206
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/17
    ジャーナル フリー
    【目 的】 動脈硬化症では, 脈波速度 (PWV) は増大し, 高感度CRP (hsCRP) やインターロイキン6 (IL-6) 等の炎症マーカーも高値を示す. 本研究では, 健康な地域住民において, PWVと炎症マーカーとの関連性を検討した. 【対象と方法】 対象は, 2003年8月から2004年1月までに群馬県吉岡町の健康相談に参加した地域住民109名であった. 動脈硬化の進展度を反映する上腕―足首PWV (baPWV) を計測するとともに, hsCRP, IL-6の血中濃度を測定し, baPWVと炎症マーカーの相関関係の有無を検討した. 【結 果】 baPWVは, hsCRP及びIL-6との間に有意な正の相関を示した. また, baPWVが13.7 m/sec以上の参加者ではIL-6が有意に高値であった. 【結 語】 健常人においても血管壁の炎症が潜在的な動脈硬化を惹起する可能性が示唆された. IL-6は初期段階の動脈硬化の予知に有用と思われた.
  • 内田 陽子, 上山 真美, 富沢 順, 石川 徹
    2006 年 56 巻 3 号 p. 207-212
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/17
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】 現在, 寝たきり患者などの移動の際にバスタオルを使用している所が多い. 本研究の目的は, バスタオルにかわる患者仰向け体位からの移動兼療養用ウールボアマットを開発し, その評価を行うこととした. 【対象と方法】 10人の健康学生を対象にバスタオルとウールボアマットの強度・耐性と体圧, 主観的評価を行った. 【結 果】 ウールボアのほうがバスタオルよりも長さ・幅方向で高い強度を示し, 伸び率も高かった. また, 何も敷かない場合とウールボアマットを敷いた場合では, 右踵部と左肘関節部において後者の方が体圧は低かった (p<0.05~0.01). また, バスタオルとウールボアマットの比較でも後者のほうが左肘関節で低い値が得られた (p<0.05). 被験者はウールボアのほうが肌さわり, 寝心地, 暖かさの面でよいと評価し, 首の安定感, 身体の痛み等もよいという者が多かった. また, 看護者側も持ちやすいという評価をしていた. 反面, ウールボアのほうが滑りやすいという意見もあった. 【結 語】 移動用兼療養においてはバスタオルよりウールボアマットのほうが適している.
  • 大久保 麻矢, 森 淑江
    2006 年 56 巻 3 号 p. 213-223
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/17
    ジャーナル フリー
    【背景と目的】 妊産婦死亡, 周産期死亡の多いバングラデシュの農村部において実施した妊婦健診の傾向を分析した. 【対象と方法】 対象は, 青年海外協力隊員としてNGOに派遣された研究者のもとで健診を受けた妊婦1394名であり, 健診記録をデータとして分析した. 【結 果】 健診受診者数は月により増減を繰り返す波形を示した. また, 妊娠6ヶ月以降に初めて健診を受ける者が8割を超えており, 全体の約7割は1回のみの受診であった. 更に, 妊婦の7.5%が周産期死亡を, 加えて7.7%が新生児死亡を経験していた. 今健診においてのハイリスク分娩因子を持った妊婦は24.2%であり, 分娩に至るまで追跡できた162名のうち39.5%の分娩になんらかの異常を認めた. 【結 語】 バングラデシュにおいて妊婦健診の継続性と実効性が失われているために, 妊産婦死亡や周産期死亡の減少に結びついていないことが明らかになった.
  • 町田 久見子, 内田 陽子, 小谷 弥生
    2006 年 56 巻 3 号 p. 225-230
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/17
    ジャーナル フリー
    【目 的】 本研究の目的は, 認知症高齢者の買い物・金銭管理におけるできる・できない行動特性を明らかにすることである. 【対象と方法】 対象はBグループホーム入所者及びC認知症専用デイサービス利用者22人である. 方法は野菜や果物等の実物, 魚や肉などのフードモデルを使用して模擬店を開催し, 2000円以内で今晩のおかずの買い物をしてもらった. 評価は一連の買い物・金銭管理行動の構成要素を手順化し, チェックリストを作成して観察記録した. チェックリストの項目は『準備』『選択・判断』『支払い』の大項目と, 大項目の行動を分類した合計30個の小項目から構成されている. 【結 果】 できた行動は, 30項目中9項目で『選択・判断』が最も多かった. できなかった行動は, 30項目中1項目のみで「かごを持ち歩きながら買い物をする」ことであった. 【結 語】 認知症高齢者ができる買い物・金銭管理行動特性を活かして, 日常生活で実際に繰り返し実践することが重要である.
症例報告
  • 土岐 典子, 松島 孝文, 斉藤 泰之, 横濱 章彦, 塚本 憲史, 唐沢 正光, 村上 博和, 鈴木 和浩, 野島 美久
    2006 年 56 巻 3 号 p. 231-235
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/17
    ジャーナル フリー
     56歳, 男性. 1996年, 左腎細胞癌 (clear cell type, T3, N1, M0) に対し根治的左腎摘出術を施行され, その後1年間interferon α (IFNα) を投与された. 1998年11月, 両側肺に多発性転移巣を認めたためIFNα治療を再開されたが, 効果不良で, 2000年6月には右腎, 副腎にも転移巣が出現し, 部分切除を施行された. 移植前には右腸骨への転移も認めたが, 多発性肺転移巣に対し, 2001年3月, HLA一致同胞より骨髄非破壊的同種末梢血幹細胞移植を実施した. day28にT細胞キメリズムはすべてドナータイプとなった. 急性GVHD, 慢性GVHDともに併発し, GVHDのコントロールに難渋し, ステロイドの減量が困難であった. 原疾患の増悪に加え心不全と肺出血のため, day793に死亡された. 治療効果に関して, 肺の転移巣は縮小していたが, 右腎, 腸骨の転移巣は増大しており, 移植片対腫瘍効果の差が見られた.
  • Takashi Yoshida, Yukio Koibuchi, Jun Horiguchi, Kotaro Iijima, Mami Ki ...
    2006 年 56 巻 3 号 p. 237-239
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/17
    ジャーナル フリー
    We present a rare case of a 26-year old woman with diffuse sclerosing variant of papillary thyroid carcinoma. The patient was referred to our hospital with diffuse enlargement of the thyroid accompanied with palpable bilateral cervical lymph nodes. Ultrasonography showed a heterogeneous pattern with ill-defined hypoechoic areas in both thyroid lobes. There were multiple small punctate echogenic foci. Fine-needle aspiration cytology revealed typical signs of papillary carcinoma. The patient underwent a total thyroidectomy using a bilateral modified neck dissection. Pathological findings demonstrated diffuse involvement and continuous infiltration of the tumors to both thyroid lobes, lymph nodes and cervical soft tissue. Postoperatively, 100 mCi of 131I was administrated to the small amount of residual thyroid tissue. The patient is free from recurrence one year after the operation.
  • Akira Isaka, Kiyohiro Oshima, Hiroshi Hinohara, Yoshiro Hayashi, Fumio ...
    2006 年 56 巻 3 号 p. 241-244
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/17
    ジャーナル フリー
    Descending necrotizing mediastinitis (DNM) is a rare, however, highly fatal disease originating from odontogenic, pharyngeal, or cervical infectious sources that descend along facial planes into the mediastinum. We report a case who underwent surgical drainage using a mediastinoscope for the treatment of DNM and had successful postoperative course. Cervicothoracic CT should be performed immediately for diagnosis and for evaluating the extent of infection and necrosis, and effective drainage and debridement with suitable approach is required as soon as possible if DNM is suspected.
流れ
抄録
編集後記
feedback
Top