北関東医学
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57 巻, 1 号
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原著
  • 胡 景萍, 児玉 有子, 分島 るり子, 井上 範江
    2007 年 57 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/13
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】 中国においては, 社会構造の変化に伴い患者が求める看護は量から質へと変化している. 本研究の目的は, 日本で開発された看護師に対する看護ケアの質質問紙 (QNCQ-NS) の中国語版 (中国語訳QNCQ-NS) を作成・検討し, 中国語訳QNCQ-NSを用いて中国の看護職者による看護ケアの質評価を行うことである. 【対象と方法】 中国語訳QNCQ-NSを作成・検討し, 中国の3つの総合病院の病棟に勤務する看護職者に対して無記名自記式の質問紙調査を実施した. 【結 果】 有効回答 (281名) における因子分析の結果, 日本語版QNCQ-NSの40項目のうち32項目が選ばれ, その中から7つの因子が抽出された. また, 中国語訳QNCQ-NS 32項目でのCronbach'sαは0.92であり, 32項目での総得点の平均値の比較では, 職位別で有意差が認められた. 【結 語】 中国語訳QNCQ-NSを作成・検討した結果, 32項目7因子が選ばれ (信頼性を確認), 日本語版との構成概念の違いが見られた. また, 中国の看護師の職位別QNCQ-NSの総得点の平均値の比較で有意差があった.
  • ―血液腫瘍患者と非血液腫瘍患者の比較―
    吉田 久美子, 石田 和子, 瀬山 留加, 中村 江里, 神田 清子
    2007 年 57 巻 1 号 p. 7-15
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/13
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】 近年, 血液腫瘍患者は化学療法を外来で受ける傾向にあり, セルフケアが必要となる. また, 再生不良性貧血などの非血液腫瘍患者においても貧血や倦怠感などの症状を緩和するセルフケアの重要性が指摘されている. 自己効力感はセルフケアを促進するために必要不可欠な要素である. 本研究の目的は腫瘍患者と非腫瘍患者の自己効力感の影響要因を分析し, 看護支援を検討することである. 【対象と方法】 対象者は2つの大学病院の血液外来において研究参加の承諾が得られた20歳以上の患者である. 調査は自己効力感尺度を用いて行い, 腫瘍患者110名と非腫瘍患者90名を比較した. 【結 果】 情緒的支援ネットワークの比較では家族内・家族以外ともに腫瘍患者の方が非腫瘍患者よりも低く有意差が認められた. 自己効力感得点は, 腫瘍患者平均31.5点 (標準偏差5.3点), 非腫瘍患者31.8点 (標準偏差5.7点) であり有意差はなかった. 医学診断では全ての診断の中で急性白血病の対象者の自己効力感得点がもっとも低かった. 2群の自己効力感得点を比較した結果, 性別で交互作用があった. また, 全身状態のレベルで有意差が認められ, 状態が悪く活動範囲が狭い対象者ほど自己効力感得点が低かった. 【結 語】 血液疾患患者の自己効力感を高めるためには性別や全身状態等を考慮した関わりが必要であり, また腫瘍患者への情緒的支援の重要性が明確になった.
  • 浅井 直美, 小林 瑞枝, 荒井 真紀子, 齋藤 やよい
    2007 年 57 巻 1 号 p. 17-27
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/13
    ジャーナル フリー
    【目 的】 看護早期体験実習の学習効果を評価するために, 学生の意味化した経験の特徴を明らかにする. 【方 法】 学生27名の実習レポートを分析対象とし, 質的帰納的研究技法によって抽出した217の経験内容を分析した. 【結 果】 経験内容は17サブカテゴリーに分類され, 〔情報を獲得し, その情報から印象を受け感情を抱いた経験〕〔情報を既存の知識と照合し情報を理解した経験〕〔情報を既存の知識と照合し情報を理解し, 感情を抱いた経験〕〔情報と既存の知識を照合し疑問や問題意識を抱いた経験〕〔既存の知識を加えながら, 情報に基づき異なる状況を考え, 推し量った経験〕〔情報から看護への関心を拡げた経験〕〔情報を契機に自己を客観視した経験〕の7カテゴリーに統合された. 【結 語】 学生の体験は情報の理解・照合・疑問・推論を経て, さまざまな感情を伴う看護の経験へと変化し, 看護への関心や対象の理解, 自己理解を深める機会となっていた.
  • 外里 冨佐江, 王 治文, 飛松 好子, 山口 昇, 坂田 祥子, 亀ヶ谷 忠彦, 山田 裕子, 大黒 一司
    2007 年 57 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/13
    ジャーナル フリー
    【目 的】 Nottingham Adjustment Scale Japanese Version (NAS-J) は障害者の心理的適応を多面的に測定する尺度とされる. 本研究の目的は脳卒中後遺症者を対象にNAS-Jの信頼性と内的整合性を検討することである. 【方 法】 S市に在住する45名 (男性29名, 女性16名) の脳卒中後遺症者を対象として郵送による自己記入式質問紙の再テスト法を行った. 統計手法は, 信頼性の検討にSpearmanの相関係数とWilcoxonの順位和検定を用いた. 内的整合性はCronbachのα係数を用いた. 【結 果】 対象者の平均年齢は64.9歳, 発症からの月数は50.3ヶ月, Activities of Daily living (ADL) 得点は7.1点, 老研式活動能力指標の平均得点は6.6点であった. 再テストによる各領域の相関係数は, 0.41から0.79であり有意な相関を示し2回の調査得点に有意な差がなかった. また内的整合性を示すCronbachのα係数は0.46 (ローカス・オブ・コントロール) から0.85 (自尊感情) であった. 【結 論】 NAS-Jは良好な再テスト信頼性を示し, 「ローカス・オブ・コントロール」の領域を除いて内的整合性は良好であった.
  • 大木 聡, 高橋 徹, 行木 太郎, 安原 清光, 小谷野 哲也, 大林 民幸, 森下 靖雄
    2007 年 57 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/13
    ジャーナル フリー
    【目 的】 左室心筋の広範な虚血のため左室瘤及び左室拡大を伴う虚血性心筋症に対して, 左室形成術 (Dor手術) を行った22症例の中期遠隔成績を検討した. 【対 象】 耐術例22例 (男性18例, 女性4例) (平均年齢65.3±7.8歳) を対象とした. 術前のLVESVI 値で2群に別け, 100ml/m2未満をGroup A (12例), 100ml/m2以上をGroup B (10例) とした. 【結 果】 術前NYHA機能分類 II~IVであったGroup A, Bとも退院時には機能分類 IないしIIとなった. しかし術後3年を経過すると, Group Bの中では, 機能分類IIIの症例が見られた. また術後は, Group A, Bとも術前に比べて有意に (p‹0.05) 左室容量は縮小し, 駆出率は改善した. しかし, 術後3年を経過すると, Group Bでは術後のデータと比較して, 左室の再拡大と駆出率の低下が見られた (p‹0.05). 【結 語】 術後早期には, Dor手術は心不全の改善に有効であった. 術後3年を過ぎ心不全を起こす症例は, 術前の心不全歴が長く, リモデリングによる心筋の線維化がすすんだLVESVI 100ml/m2以上の群に多かった.
  • ―cyclooxygenase-2 選択的ならびに非選択的阻害薬および抗bradykinin作用を有する薬剤の比較―
    根岸 明秀, 土屋 明日香, 石北 朋宏, 山口 徹, 中曽根 良樹, 茂木 健司
    2007 年 57 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/13
    ジャーナル フリー
    【目 的】 術後疼痛管理において先制鎮痛の有用性が注目されるようになってきた. 今回, 下顎埋伏智歯抜歯後疼痛に対し, 作用機序の異なる非ステロイド性消炎鎮痛薬による先制鎮痛効果について検討した. 【対象と方法】 下顎埋伏智歯抜歯症例33例に対し, 無作為に抜歯開始1時間前にZaltoprofen (抗bradykinin作用を有するcyclooxygenase (COX)-2選択的阻害薬 : Z群), Loxoprofen sodium (COX-2非選択的阻害薬 : L群), Etodolac (COX-2選択的阻害薬 : E群) のいずれか1錠を内服させた後, 抜歯を行い, 薬剤内服6時間後にVisual Analogue Scale (VAS) による疼痛評価を行った. 【結 果】 Z群9例中2例, L群10例中3例では疼痛は発現せず, 鎮痛剤は不要であった. また, 各群の6時間後のVASペインスコアについては, Z, L群は, E群 と比較し, 有意に低い値であった. 【結 語】 下顎埋伏智歯抜歯後の疼痛を管理するための先制鎮痛にはCOX-2のみの阻害では十分とはいえず, COXを非選択的に阻害する薬剤, あるいは抗bradykinin作用をも有する薬剤の方が有用と考えられた.
症例報告
  • 大竹 弘哲, 長嶋 和明, 田中 聡一
    2007 年 57 巻 1 号 p. 49-52
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/13
    ジャーナル フリー
     症例は73 歳女性. 左上肢の筋力低下にて発症. 歩行障害が現れ, 筋萎縮性側索硬化症 (ALS) と診断. 後に構音障害と嚥下障害が現れ, 進行した. 患者本人とその家族共に延命治療を希望されなかった. 左上肢を中心に疼痛を訴えるようになり, 緩和ケアとしてリン酸コデインを開始して45日目に永眠された. 日米の神経学会治療ガイドラインで, ALS末期の疼痛緩和にオピオイドの使用を勧めている. 筋萎縮に伴って体重が減少するALS末期で, 欧米に比べ体格の小さい本邦の患者において, 強オピオイドではなくリン酸コデインから緩和ケアを開始することを検討すべきである.
  • ―脳梗塞患者の1事例を通して―
    新井 明子, 小泉 美佐子, 齋藤 喜恵子, 滝原 典子, 高橋 陽子
    2007 年 57 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/13
    ジャーナル フリー
     脳梗塞発症後, 切迫性尿失禁および機能性尿失禁を生じた患者のアセスメントとケアについて報告する. 尿失禁ケアプログラムのアセスメントとして, 3日間の排尿モニタリングを行った結果, 1日排尿回数12~20回, 平均1回排尿量76.3~87.5ml, 1日失禁回数12~18回であり, 脳梗塞後遺症による頻尿に伴う切迫性尿失禁, 機能性尿失禁と把握した. ケア介入として, 抗コリン剤による薬物療法, 看護師による行動療法, リハビリテーションスタッフによるトイレ動作訓練を行った. 日常生活動作 (ADL : activities of daily living) の全般的な回復に加え, 医師, 看護師, 理学療法士, 作業療法士によるリハビリテーションのチームアプローチにより, 排泄動作の改善がみられ, 尿失禁が消失した.
流れ
抄録
報告
北関東医学会奨励賞
訂正文
編集後記
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