【目 的】 左室心筋の広範な虚血のため左室瘤及び左室拡大を伴う虚血性心筋症に対して, 左室形成術 (Dor手術) を行った22症例の中期遠隔成績を検討した.
【対 象】 耐術例22例 (男性18例, 女性4例) (平均年齢65.3±7.8歳) を対象とした. 術前のLVESVI 値で2群に別け, 100ml/m
2未満をGroup A (12例), 100ml/m
2以上をGroup B (10例) とした.
【結 果】 術前NYHA機能分類 II~IVであったGroup A, Bとも退院時には機能分類 IないしIIとなった. しかし術後3年を経過すると, Group Bの中では, 機能分類IIIの症例が見られた. また術後は, Group A, Bとも術前に比べて有意に (p‹0.05) 左室容量は縮小し, 駆出率は改善した. しかし, 術後3年を経過すると, Group Bでは術後のデータと比較して, 左室の再拡大と駆出率の低下が見られた (p‹0.05).
【結 語】 術後早期には, Dor手術は心不全の改善に有効であった. 術後3年を過ぎ心不全を起こす症例は, 術前の心不全歴が長く, リモデリングによる心筋の線維化がすすんだLVESVI 100ml/m
2以上の群に多かった.
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