【目 的】 介護予防の観点で通所施設利用者に焦点をあて, 口腔機能の向上が高齢者のQOLにどのような影響があるのか介入研究で明らかにする. その事前調査の結果について報告する.
【対象と方法】 通常自分で歯磨きをし, 聞き取り調査に答えられる通所施設利用者34人を対象に, 基本属性, ADL, 口腔関連QOL (GOHAI), うつ, 口腔機能 (唾液量, 開口度, 口唇閉鎖力, 咬合力, 頬と舌の動き), 歯の数, 義歯の有無等を調査した.
【結 果】 平均年齢79.7 (±8.9) 歳, 歯の数は10.85 (±9.8) 本で, ADL, GOHAIは合計点でみると標準的だった. GOHAIの点数が低かった項目は, 「食物の噛みにくさ」と「楽に食べられない」で, 口腔機能調査では「口唇閉鎖力」と「咬合力」が低かった. 口腔機能とADL, GOHAIには正の相関がみられた. 【結 語】 高齢者にとって楽しみである食事を美味しく安全に摂取する機能や仲間と会話し人間関係を円滑にする機能を保障するためにも, 口腔機能を維持向上させる取り組みが重要である.
抄録全体を表示