背景・目的:手術にあたり患者の薬剤情報は, 手術計画立案の前提であり極めて重要なことである. 在院日数短縮等の理由から通常, 入院は手術前日であり, 入院後に使用薬剤の情報を収集したのでは中止該当薬があった場合, 手術延期等の措置を取らねばならず, 患者・病院にとって不利益である. 公立富岡総合病院では, 手術にあたって中止を検討しなければならない医薬品・健康食品の有無を入院前に確認するために, 手術前薬剤チェック (以下, 術前チェック) を調剤室業務として行っているが, 術前チェック件数の増加に伴い (2009年度623件, 2013年度1,577件), 術前チェック件数が調剤時間に影響を及ぼすことが懸念された. 当院調剤室での術前チェック業務の取り組みについてと, これらの取り組みにより調剤業務と術前チェック業務が両立できているか調査した.
対象と方法:2013年8 ~10月の3ヶ月間について術前チェック件数と調剤時間の相関を調べた. 指導内容の検討として, 2013年4 ~12月の間で薬学管理が不十分なため手術中止に至った症例について調査した.
結 果:術前チェック件数, 調剤時間に相関は見られなかった. 2013年4月から12月の期間中に術前チェックを行った患者数は延べ1,186件で, その内192名 (16.2%) に中止薬の指導を行った. 指示が守れなかったため手術延期になった症例は2例だった.
結 語:薬剤師外来など特別な部門を設けなくても, 工夫次第で術前チェックは調剤室業務として行える.
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