北関東医学
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16 巻, 3 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 藤間 幸道
    1966 年 16 巻 3 号 p. 157-190
    発行日: 1966年
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    性腺と副腎皮質との間の深い関係は両者が発生学的に近似していることと共に古くから知られており, すでにKolmer (1912), Takechi (1926), Poll (1933), Llusia (1949), Tonutti (1942) 及びParkes (1945) 等が種々の観点から論述している。両臓器の病変で相互に夫々が影響し合うことも多くの事実から理解されているが, 卵巣機能異常だけをとり上げてみても両内分泌系の密接な関係を知らせるいくつかの臨床的事実に相遇する。即ち, Cushing's Syndromeの際の無月経の頻発, Adrenogenital Syndromeの無月経等がCortisoneにより治療されうるというWilkins et al. (1950) の知見などは両臓器の関連を示すにたる事実であり, 更にSubclinicalなAdrenogenital syndromeがcortisoncその他の副腎皮質ホルモンの投与で排卵, ときには妊娠さえすることが, また最近では単に無月経や不妊がこれらcorticoidの投与で治療され排卵や妊娠を見ることが知られていて, その機序や病態についても色々研究されている。
    そこで卵巣機能なかんづく月経周期機能に対し副腎皮質がどんな役割を果しているかが問題となるが, 従来よりこの面の観察は比較的乏しく未だ明確な結論が得られていない。
    一方, 副腎皮質機能検査法としては, いわゆるThorntcst (アドレナリン試験), ACTH注射後の好酸球減少率を見る方法, 尿中尿酸-クレアチニン比, ACTH投与後尿中17-KS並びに血中または尿中17-OHCS排泄量の変動から判定する方法 (ACTHテスト), Robinson-Kepler-Powerテスト, 糖負荷テストやOlesky testなど種々の方法があるが, これらのうち好酸球減少率による判定法には種々問題があり, また尿中17-KS排泄量をもってする判定法にも特異性の点で問題があり, 現在では尿中17-OHCS排泄量測定が示標として最も意義があるとされている。
    そこで種々の卵巣機能不全なかんづく月経異常を示す患者に対して表1に示すような系統的検索と同時に尿中総17-OHCS値測定を行ない卵巣機能と副腎皮質機能との関係を追及した。
  • 倉茂 達徳, 木村 裕一, 加藤 英輔, 佐川 孟三
    1966 年 16 巻 3 号 p. 191-198
    発行日: 1966年
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    マウスの実験チフス症に於いては, 生菌ワクチン免疫を施したマウスの腹腔, 肝および皮下の大単核喰細胞は, 組織培養下での菌感染に対し, 強い抵抗性を獲得している。この細胞の抵抗性を細胞性免疫と呼び, 血清抗体は関与していないことが知られている。このような細胞性免疫は, 死菌ワクチンで免疫を施したマウスの大単核喰細胞には認められず, 生菌免疫マウスの細胞に特異的である。更に最近, 生菌ワクチンで免疫したマウスの腹腔大単核喰細胞および脾細胞には, 死菌によって吸収されず, 生菌と特異的に反応し得る抗体があり, この抗体は, 補体とlysozymeの関与により, Salmonclla enteritidis強毒株の増殖を阻止することがわかって来た。
    本報に於いては, この細胞抗体の由来および抗体産生細胞について考察して見たい。
  • 松山 研二, 牛久保 量平, 砂長 武志
    1966 年 16 巻 3 号 p. 199-204
    発行日: 1966年
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    外傷性大動脈破裂は, 交通外傷などにより, 上半身とくに胸部に激しい鈍的な外力が加わった際に生ずるもので, まったく病的変化のない健常な大動脈が, 外傷を与えた物体による直接損傷, あるいは骨折などによる損傷ではなしに, 特発的に一定の部で破裂する。この外傷性大動脈破裂の破裂部位や裂け方はかなり特徴的なので, 生前どのような外力が加わったかをある程度推察することができるほどである。
    近年, 欧米諸国においては交通機関の発達とともに, 自動車事故や飛行機事故による外傷性大動脈破裂の増加が報告されているが, わが国においては昭和10年より昭和40第に至る30隼間に, 明らかに外傷性大動脈破裂と考えられる報告は谷 (墜落死)の1例にすぎない。
    最近, わたくしたちは自動車事故によって生じた外傷性大動脈破裂の典型的な1例を経験したのでここに報告する。
  • 星 昭二, 阿藤 紀夫, 半田 喜胤
    1966 年 16 巻 3 号 p. 205-211
    発行日: 1966年
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    An autopsy case of primary mesothelioma of the pericardium was reported. The case was male Japanese, 53 years old.
    He was admitted to this hospital with chief complaints of tightnese sensation in the chest, he had a large heart shadow and numerous, tumor cells were found in the hemorrhagic pericardial fluid.
    However, tumor formation was not discovered anywhere by clinical examination.
    At autopsy, left lung was displaced laterally and posteriorly by greatly enlarged pericardial sac. The pericardial cavities contained hemorrhagic fluid and all pericardial surfaces were studded with gray and brown nodules, and so the parietal pericardium was thickened. There were no metastases in other organs.
    Microscopic examination and multiple sections revealed tumor tissue invasing visceral and parietal pericardium.
    The tumor was composed of two main cell types, epithelial and spindle. Cells were arranged in a fibrous tissue with a small amount of interspersed hyaline matrix. In most areas the tumor was papillary or formed clefts while elsewhere sheets of spindle cells were prominent.
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