西風 (1) が疲勞の一測定法として提唱した尿Vakat 沃度酸値係數は單に筋肉運動に伴ふ疲勞のみならず, 種々の疾病状態, 手術的侵襲等によつても變化を示すといわれ, 疲勞判定法その他の目的における今後の應用が期待されるが, それが變動を示す生化學的理由は未だ明らかでない.
尿 Vakat 沃度酸値係數 (以下 VIQ と略す) とは尿 Vakat 酸素 (以下VOと略す) を尿沃度酸値 (以下IOと略す.西風は尿沃度酸値をKとあらわし, Vakat 沃度酸値係數をO/Kとあらわしたが, Kはカリウムと混亂するおそれがあるので假に上記のようにあらわした) で除した商であるから同じくVIQの増加あるいは減少といつてもVO及びIOの變動の方向は一様でない.元來二つの變動する困子の比率を求めることは便宜上の問題であることが多く, 生体それ自身の變化としては比率よりもむしろ各因子の増減に意味があると考へられる.よつて私はVIQの變動をVO及びIOの兩因子の變動との關連において觀察し, その意義を明らかにするため本實驗を試みた.
これまで行つた比較的短時間の實驗の範圍内では種々の條件に伴うIOおよび VIQ の變動には法則性を見出すことが困難であり, 從ってVIQの増大に一元的意味を認めることが出來なかつたが, 一應これまでの實驗成績を報告して参考に供したい.
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