ヒト血漿に含まれるUDP-GlcNAc : Gal β1-4Glc (NAc) β1-3N-acetylglucosaminyltransferaseには陽イオン交換体, CM-Sepharose, に結合するもの (Hosomi et al. 1989, JPn. J. Med. Sci. Biol., 42, 77.) 以外に, このゲルに結合しないN-acetylglucosaminyltransferase (GlcNAc-transferase) が含まれることを明らかにした.そして, この酵素の活性画分は陰イオン交換体のDEAE-sepharoseによって更に二つの活性画分に分離された (GNA-TIII, GNA-TIV).これらのGlcNAc-transferaseの反応には2価金属のMn
2+を必要とし, 反応の至適pHは7.5-8.5の範囲にあった.N-acetyllactosamine (Gal β1-4GlcNAc) とlactose (Gal β 1-4Glc) に対する
Km値は, それぞれ8.8-9.2と12.3mMであった.これらの酵素で生成された
14C又は
3H標識のGlcNAc-Gal β 1-4Glcを分解酵素やメチル化によって調べると, 共にGlcNAc β 1-3Gal β 1-4Glcであることが判明した.また, それらGlcNAc-transferaseの分子量を測定すると, 共に約130,000であった.
これらから, 今回部分精製した二つのGlcNAc-transferaseは, 共に, lactoseのgalactoseにβ1-3でN-acetylglucosamineを転移する酵素であることが明らかになった.
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