北関東医学
Online ISSN : 1883-6135
Print ISSN : 0023-1908
ISSN-L : 0023-1908
42 巻, 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 伊藤 賢
    1992 年 42 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 1992/01/01
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    上部消化管疾患を疑われた小児306例に内視鏡検査を行い, 胃では発赤36例, びらん19例, 出血12例, 潰瘍16例, 十二指腸ではびらん・出血9例, 潰瘍38例, および食道病変8例の合計138例 (45.1%) に異常をみとめた.胃のびらんは年長児 (9歳以上) の腹痛, 嘔吐などの慢性腹部症状に, 胃体部の出血は小児期全般の吐血に, 前庭部の出血は年長児の腹痛にみとめられた.胃潰瘍は全例8歳以上で, 11歳以下では前庭部潰瘍が多く, 胃体部潰瘍は13歳以上にみとめられた.十二指腸潰瘍は71%は年長児の慢性腹部症状であり, 年少児では大量出血で発症するのが特徴であった.各症状, 徴候, の診断価値は年長児と年少児 (8歳以下) で異なるが, (1) 嘔吐, (2) 吐下血, (3) 貧血, 年長児ではさらに (4) 夜間の腹痛, (5) 消化性潰瘍の家族歴, (6) 消化管病変の原因となりうる薬剤の内服歴の各項目が胃, 十二指腸病変の存在を示唆するものとして重要であった.
  • 車回し運動および飲水行動
    内橋 慶隆, 安田 秀子, 梅津 豊司
    1992 年 42 巻 1 号 p. 15-29
    発行日: 1992/01/01
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    マウスの車回し運動と飲水を1~3か月間にわたって連続的に観測し, methamphetamine (MAP) の急性および亜急性効果について, 用量-効果相関, 投与時刻による差異, さらに投与間隔を変え反復投与した場合の効果変遷について検討した.回転かご付きの行動観測装置内でマウスを飼育すると, 車回し運動活性は約3週間にわたり進行的に自然増加 (約3倍) し, その後安定した.明期 (11 : 00) に MAP 1~4mg/kg を 3~4 日間隔で 5 回投与すると, 2~4 時間持続する車回し運動の一過性促進と用量依存的な効果持続時間の延長が認められ, その効果は反復投与によってほとんど変化せず, 逆耐性形成は明瞭ではなかった.またMAPの明期投与は, 当日の暗期に起こる車回し運動と飲水の自然促進を明らかに抑制した (反跳現象).この抑制現象には明瞭な用量依存性がみられず, 翌日には回復傾向を示した.しかし回復は不完全なため反復投与によって, 暗期の行動基線は徐々に低下した. MAP の明期投与時刻を変え15 : 00と7 : 00に投与すると, 行動抑制は7 : 00投与時の方が著明であった.また間欠投与より連日投与の方が, 強い抑制を誘発した.さらにMAP投与後, 車回し不能の状態にしても同様な抑制がみられたところから, 単なる身体的疲労に起因するものではないことも確認された.一方, MAP を暗期 (18 : 00) に投与すると, MAPの運動促進効果およびその後の抑制現象は不明瞭になった.さらにMAP投与は非投与日においても, MAP経験の時間帯に一致した両行動, 特に飲水の自然促進を誘発した.この現象は明期投与で著明であり, 条件づけに起因するものと推測された.
  • 石川 進, 飯島 哲夫, 吉田 一郎, 坂田 義行, 浜田 芳郎, 津田 京一郎, 柳沢 肇, 大滝 章男, 安斉 徹男, 森下 靖雄
    1992 年 42 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 1992/01/01
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    30歳以上の心房中隔欠損症 (ASD) 108例を対象とし, 術後遠隔期の心房細動 (Af) の有無, 心胸郭比 (CTR), 自覚症状及び合併症より, 成人例の手術時期を検討した.遠隔期には, 退院時のAfが4例で洞調律となり, また退院後に4例が新たにAfに移行した.Afとなった4例では術前の左房径 (平均44mm) とCTR (平均59%) はAfのない症例に比べて有意に (P<0.01及びP<0.05) 大きかった.不整脈の自覚, 手足のしびれ等の自覚症状や要通院の率では, 遠隔期にAfを有する症例が洞調律例に比べて有意に (P<0.01) 高かった.New York Heart Association機能分類では洞調律例の84%がI度であったのに対し, Af症例の48%はII度に留まっていた.中高年のASD症例は, 左房拡大を来す以前に手術を施行すべきである.
  • 設楽 利二, 由上 伸一郎, 外松 学, 井嶋 裕子, 黒梅 恭芳, 亀山 憲明, 藤井 佐司
    1992 年 42 巻 1 号 p. 37-40
    発行日: 1992/01/01
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    サイトメガロウイルス (以下 CMV) による間質性肺炎は骨髄移植 (以下 BMT) 後の主要な死因であり, 一旦発症すると効果的な治療法がないため, その予防は重要な課題である.輸血は最も危険な感染源の一つで, これらの患者に血液製剤を供給するためには, CMV 陰性の供血者をスクリーニングすることが重要である.今回我々は BMT における CMV 感染予防のため, CMV 陰性血液製剤の確保についての検討を行った. (1) 成分輸血に備え CMV 陰性・献血予定者として若年者における CMV 抗体陰性者を選択し, 登録したリストに基づき必要時に成分採血による輸血を行った. (2) 一般若年令献血者1,827人における CMV 抗体陰性者は18.3%で, これら CMV 陰性血液製剤を BMT の際に優先的に使用した. BMT に際して CMV 陰性血液製剤の使用は CMV 感染の予防, ひいては BMT による治癒率を上昇させることになるものと思われる.
  • 末武 教行, 由上 伸一郎, 外松 学, 井嶋 裕子, 設楽 利二, 黒梅 恭芳
    1992 年 42 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 1992/01/01
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    我々は, 小児の急性巨核芽球性白血病 (以下AMKL) 患者より, 巨核球系マーカーを持つ細胞株 (IEZ-3) を樹立した.IEZ-3は, 形態および細胞化学的検討において, 患者の白血病細胞と類似し, GPIIb/IIIaの発現が認められた.巨核球系の造血に関する研究は, 均一な細胞を得ることのできる細胞株が存在しなかったため, 顆粒粒球系および赤芽球系に比し遅れていた.近年, 数種の巨核球系細胞株が樹立され, 検討がなされているが, ダウン症候群以外のAMKL患者より樹立された細胞株は, いまだ存在しない.IEZ-3は, 巨核球系細胞およびAMKLの研究に有用な細胞株と思われた.
  • 小須田 貴史, 曽根 克彦, 小林 富男, 広野 一輝, 篠原 真, 田代 雅彦, 田端 裕之, 小林 敏宏
    1992 年 42 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 1992/01/01
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    原発性心内膜線維弾性症 (Endocardial fibroelastosis, 以下EFE) は新生児乳児期早期に心不全症状を主徴として発症する予後不良の疾患だが, その左室造影シネフィルムより左室局所壁運動の解析を行い若干の知見を得た.
    対象は心内膜心筋生検にて診断したEFEの7例である (E1群).対照としてEFE以外の心内膜心筋疾患の7例 (E2群), また他に合併心奇形のないsmall shunt VSDの10例 (V群) の3群間にて比較検討した.
    E1群では左室拡張末期容積は統計学的有意差はないものの他より大きい傾向に有り, Global ejection fractionは有意差をもってV群より低値を示した.しかし, Cardiac indexに関しては3群間に有意差は認められなかった.左室局所壁運動の解析ではE1群では全体的に壁運動の低下を認めたが, 特に下壁, 心室中隔と後壁において有意に収縮の低下を認めた.
    E2群では左室局所壁運動の有意な低下はなく, 左室拡張末期容積やGlobal ejection fractionに関してもV群と有意差は認められなかった.
    EFEでは前側壁側の収縮が比較的保たれることにより心拍出量を維持していると考えられ, 心室中隔から下壁にかけての壁運動の低下に加えて前側壁側の壁運動の低下を認めることは重症度を示すひとつの所見と考えられた.
  • 川田 悦夫, 久保田 一雄, 倉林 均, 田村 耕成, 田村 遵一, 村上 博和, 白倉 卓夫
    1992 年 42 巻 1 号 p. 53-55
    発行日: 1992/01/01
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    プレドニソロン及びアザチオプリンには反応しなかったが, 脾摘が有効であった特発性血小板減少性紫斑病の67歳女性例を報告する.老年者では脾摘の有効率は低いと報告されているので, その結果を予知する方法の確立が望まれる.
  • 栗原 照昌, 青柳 秀忠, 佐藤 尚文, 長谷川 紳治, 石田 常博, 森下 靖雄
    1992 年 42 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 1992/01/01
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    乳癌の心外膜転移により心タンポナーデを引きおこし, 心嚢造影で転移巣の広がりを確認した症例を報告する。症例は51歳, 女性で, 6年前にStageIII bの乳癌で拡大乳房切除術を受けた.易疲労感, 労作時呼吸困難, 動悸を主訴に来院し, 胸部X-Pで胸水と心陰影の拡大を認め, 癌性胸膜炎および心嚢炎の診断を受けた.中心静脈圧は22cm H2Oと高く心タンポナーデの状態であり, すみやかに心嚢ドレナージを施行した.心嚢造影では心外膜に大小多数の腫瘤形成像が広範にみられた.癌性心嚢炎は致死的な疾患であるため, 術後のfollowには, 心エコーを行い, 心嚢液貯留の有無を積極的に確認していくことが必要である.また, 心嚢内の転移巣の広がりを知る上で, 心嚢造影は有用な検査法であると思われた.
  • 小浜 智子
    1992 年 42 巻 1 号 p. 63-68
    発行日: 1992/01/01
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
feedback
Top