北関東医学
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45 巻, 6 号
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  • 中村 多美子
    1995 年 45 巻 6 号 p. 451-464
    発行日: 1995/11/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    アルツハイマー病 (Alzheimer'sDisease : AD) 患者および正常者の脳脊髄液中amyloid βprotein (Aβ), α1-antichymotrypsin (ACT) を測定し, ADの診断マーカーとしての意義を検討した.対象はAD患者38例 (早期発症AD14例, 晩期発症AD24例), 正常対照25例, その他の神経疾患患者32例の合計95例である.ACTではさらにAD66例 (早期発症AD27例, 晩期発症AD39例), 正常対照54例の検討を行った.脳脊髄液中Aβは早期発症ADにおいて有意に増加していた (p<0.01).脳脊髄液中ACTは晩期発症ADで上昇していた (P<0.01).さらに対象を増して検討した脳脊髄液中ACTについても晩期発症ADにおいてACTの有意な上昇を認めた (P<0.001).以上の結果より, 早期発症ADでは脳脊髄液中Aβが上昇し, 晩期発症ADでは脳脊髄液中ACTが上昇するものと思われた.ADの診断には, 臨床症状や画像所見とともに脳脊髄液中AβやACT値を考慮する必要がある.
  • 片野 進
    1995 年 45 巻 6 号 p. 465-478
    発行日: 1995/11/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    頭蓋内限局性小病変に対して, 汎用の高エネルギーX線治療装置である直線加速器 (Linac : ライナック) を用いて小照射野 (ナロービーム) で治療する試みがなされてきている.しかし, 現在のところナロービームの線量分布測定, 吸収線量測定法には確立された方法が存在しない.そこで, ライナックX線と集光照射用ビームブロックを組み合わせて種々の線量測定を試み, 基礎的検討を行った.また, 1回大線量照射が行われることが一般的であるが, 1回ないし数回の大線量照射では隣接組織の晩期障害が問題となるため, われわれは時間的線量配分には分割照射法を採用した.非侵襲的な固定法を考案すると共に治療全体の不確定度について検討を加えた.その結果, 線量測定についてはSi半導体検出器を用いて十分信頼性の高い測定値が得られた.また, 分割照射についても許容しうる不確定度にて定位的放射線治療を行うことが十分可能であると考えられた.
  • 甘利 雅邦
    1995 年 45 巻 6 号 p. 479-487
    発行日: 1995/11/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    脳梗塞患者184例と健常者14例に24時間血圧モニタリングを行った.脳幹梗塞, 穿通枝領域多発梗塞および Binswanger 型梗塞では, 血圧値の正常な概日リズムが崩れ, 睡眠時血圧が有意に上昇していた.脳幹の病巣別の検討から橋被蓋外側に正常な血圧日内変動を維持する中枢があると推測された.Binswanger病の成因に関しては, 30分ごとの血圧の短期変動性が大で, 血圧の程度と長谷川式簡易痴呆診査スケールの得点が相関したため, これまでの高血圧と血圧の大きな日内変動が白質病変の形成と痴呆の発現をもたらし, その後の何らかの原因による血圧低下が知的機能をさらに悪化させていると推測された.また, 95例の脳梗塞再発の追跡調査の結果, 年平均4.9%の再発を観察.観測期間中 (平均36.5ヶ月) の脳梗塞再発の最も少ない血圧値は, 拡張期血圧で80-84mmHg, 収縮期血圧で130-139mmHgであり, この程度の血圧が脳梗塞の降圧目標値であると思われた.
  • 近藤 進
    1995 年 45 巻 6 号 p. 489-502
    発行日: 1995/11/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    慢性脳循環不全症とは新しく提唱された診断名で脳の循環障害に起因する病態である.この病態を詳細に検討するため慢性脳循環不全症 (CCCI) 群60例, 動脈硬化 (AS) 群44例, 対照 (Co) 群40例を対象に超音波ドップラー法, ポジトロンCT (PET), MRIを施行した.その結果, 1) 総頸動脈血流量は加齢とともに低下した.年代ごとの比較ではCo群に比べCCCI群の低下が高度であり, AS群がこれに次いだ.2) PETでは, CCCI群はCo群に比し大脳皮質の全ての部位で脳血流量と脳酸素代謝率の有意な低下がみられた.3) MRIT2強調画像で認められる白質高信号域の程度は加齢とともに, またCCCI群, AS群, Co群の順に進行していた.4) この白質高信号域の進行と関連して総頸動脈血流量, 脳血流量が低下した.これらのことより脳の灌流動脈の動脈硬化が進行すると禰慢性に脳血流と脳代謝が低下して, 自覚症状を伴った慢性脳循環不全症の病態が形成されることが示された.
  • 斯波 俊祐
    1995 年 45 巻 6 号 p. 503-513
    発行日: 1995/11/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    無蛋白培養液にて増殖可能なマウス線維肉腫 Gc-4 PF細胞に conditioned medium 濃縮液 (CM) を添加して培養すると, 今まで多く報告されている結果とは異なり, 細胞が障害され増殖が抑制されることをdye exclusion法と3- (4, 5-dimethylthiazo1-2-yl) -2, 5-diphenyl tetrazolium bromide (MTT) 法にて確認した.増殖の抑制効果は, 培養開始時の細胞数が多いほど早期に認められたので分泌因子によるものと考えられた.Hoechst33342にて染色した細胞をフローサイトメトリーで検索したところ, CMの添加により小型高染色細胞が有意に増加し, アポトーシスを誘発することが示唆された.しかしながら, DNAの断片化は, 高分子量のレベルでむしろ抑制されていた.細胞周期を調べると, CMの添加によりS期の細胞が約10%減り, G2/M期の細胞が増加したが, phase特異的な細胞周期の静止状態は明らかではなかった.以上の結果より, 蛋白非依存性培養株である線維肉腫細胞は, 自己の死を導く因子を分泌していることが示唆された.さらにその死滅過程は, クロマチンの変化には依存しないタイプのアポトーシスの関与が考えられた.
  • 恒常状態と低灌流状態での犬における比較研究
    今 紀子, 今井 孝祐
    1995 年 45 巻 6 号 p. 515-528
    発行日: 1995/11/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    代謝性アシドーシスの補正に重炭酸ナトリウムを使用することは依然として論争の的である.低灌流状態では静脈血の高炭酸ガス血症が顕著であるにもかかわらず, アルカリ化薬の効果は主として動脈血で判断されてきた.本研究の目的は, 等価の重炭酸ナトリウム (1mM/kg) と炭酸ナトリウム (0.5mM/kg) それぞれの効果を, 混合静脈血, 門脈血, 肝静脈血において, 恒常状態と, 低灌流状態の間で比較検討することにある.雑種成犬の, 動脈, 肺動脈, 門脈, 肝静脈にカニュレーションを行い恒常状態とし, その後平均動脈圧40mmHgの出血性ショックを1時間維持し低灌流状態とした.8頭に重炭酸ナトリウム (Bicarbonate : B群), 7頭に炭酸ナトリウム (Carbonate : C群) をショックの前後で投与し, 循環動態, 血液ガス, 乳酸値を投与前, 投与1分, 15分後に測定した.時間経過による変動と, また同一時点での両群間の差を検討した.低灌流状態で混合静脈血の炭酸ガス分圧は一定の変動を来さなかった.しかし, 動脈血の炭酸ガス分圧は上昇し, この動静脈における相違はHaldane effectによるものと考えられた.混合静脈血pHの上昇は, 投与1分後で, B群よりもC群で顕著であり (p<0.05), これは両薬物問の炭酸ガスの変化量の差を反映した.また, 低灌流状態での重炭酸ナトリウムの投与は, 肝臓における乳酸の摂取を増加させた.重炭酸ナトリウムは炭酸ナトリウムと比較して, 混合静脈血, 門脈血, 肝静脈血のpH, 炭酸ガス分圧に悪影響を与えず, 中等度の循環不全に安全に使用できる.
  • 鈴木 和浩, 松本 和久, 黒川 公平, 鈴木 孝憲, 吉田 一郎, 大滝 章男, 石川 進, 横江 隆夫, 今井 強一, 山中 英寿
    1995 年 45 巻 6 号 p. 529-535
    発行日: 1995/11/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    シスプラチンを中心とした化学療法と残存腫瘍に対する救済外科療法は, 進行性精巣腫瘍に対する治療戦略の2本柱であり, 両者を適切に組み合わることが要求される.腹部, 胸部あるいは頸部に多発性同時性に残存腫瘍を認めた4例に対し泌尿器科・外科による一期的摘出術を施行した.いずれも非セミノーマの症例で, 1例は病期IIA奇形腫の縦隔・頸部再発であった.化学療法により腫瘍マーカーの陰性化をはかった後, 後腹膜リンパ節廓清を全症例に施行し, 2例で肺切除, 2例で縦隔廓清を胸部病変に施行し, 更に2例では頸部廓清を施行した.手術時間は10時間10分から21時間45分までと長時間を要したが, 術後重篤な合併症を認めなかった.対象が20から30歳台であるものの, 化学療法後の状態であるため全身機能の十分な検索により可能と判断されれば, 残存腫瘍の完全摘出を目指し外科的治療を積極的に取り入れ, 治療を組み立てていく方針である.
  • 鈴木 和浩, 田村 芳美, 黒川 公平, 神保 進, 鈴木 孝憲, 今井 強一, 鈴木 慶二, 山中 英寿
    1995 年 45 巻 6 号 p. 537-541
    発行日: 1995/11/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    精巣腫瘍を中心とした胚細胞性腫瘍に対し, 陰嚢内発生の非胚細胞腫瘍は頻度は非常に稀であるが, 胚細胞腫瘍と全く異なった病期決定法や治療法を考慮する必要があり, その臨床的特徴を十分知る必要がある.当科で1986年1月より1994年12月の間に経験した95例の精巣および傍精巣発生の腫瘍のうち非胚細胞性腫瘍を5例経験した.悪性リンパ腫2例 (60歳, 51歳), 横紋筋肉腫2例 (26歳, 10歳), 腎細胞癌の転移性精巣腫瘍1例 (67歳) であった.悪性リンパ腫ではアドリアマイシンを中心とした第一世代の化学療法を, 横紋筋肉腫ではサイクロフォスファマイド, アクチノマイシンD, ビンクリスチンによる化学療法を施行し, どちらも転移症例を含んでいたが, いずれも良好な結果をえた.いずれの症例も生物学的悪性度は高く, 精巣腫瘍の鑑別診断として非常に重要であることが示唆された.
  • 井上 洋, 甲賀 英明, 藤巻 広也
    1995 年 45 巻 6 号 p. 543-549
    発行日: 1995/11/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    手術が難しい頭蓋底中央部病変に対してより安全にアプローチするために, 眼窩上縁骨を一時的に除去する我々の手術手技を報告する.前頭蓋底の前方移動を必要とする頭蓋縫合早期愈合症 (短頭蓋, 尖頭蓋, 三角頭蓋, 斜頭蓋) や頭蓋底広範病変に対しては, 冠状頭皮切開より両側前頭開頭後, 両側の眼窩上縁骨を鼻根部より除去する (total superior orbitotomy). 正中部病変 (髄膜腫, 高位の前交通動脈瘤) やトルコ鞍上部, 第三脳室内腫瘍に対しては, 両側前頭開頭後, 左右の眼窩上縁内側部を鼻根部より除去する (superomedial orbitotomy). 眼窩側方から蝶形骨縁の病変, 海綿静脈洞病変や高位の脳底動脈瘤に対しては, 前頭側頭開頭後, 眼窩上縁外側および頬骨を除去し, 蝶形骨縁を切除する (superolateral orbitotomy).これらのアプローチにて, 術中の脳圧排を最小限にすることが可能である.閉頭には前頭洞の処置を充分に行い, 硬膜や骨欠損部は骨膜あるいは有茎骨弁にて形成し, 下腹部より採取した脂肪を充填し髄液痩を予防することが大切である.
  • 小切開開腹による直視下縫合止血術
    佐藤 尚文, 高井 良樹, 小林 功, 山田 勲, 荒井 清充, 三ツ木 禎尚, 大嶋 清宏, 饗場 正明, 武市 卒之, 長谷川 紳治, ...
    1995 年 45 巻 6 号 p. 551-555
    発行日: 1995/11/01
    公開日: 2010/02/09
    ジャーナル フリー
    出血性胃潰瘍に対する治療は内視鏡的止血術が第一選択である.現在では内視鏡的エタノール注入やマイクロウェーブ凝固療法が主流となっている.これらの治療で止血される例も多いが, 一方では全く止血不能であったり, いったん止血しても再出血する事も少なくない.そのような内視鏡的止血不能例に対し, 従来は止血と潰瘍の原因治療を目的に幽門側胃切除が行われる場合が多かった.しかし薬物治療が進歩した現在では, 緊急手術は低侵襲で確実な止血が得られればよく, その目的で我々は小切開 (5cm) による開腹胃切開・潰瘍部直視下縫合止血術を行っている.1994年1月から現在まで, 内視鏡的止血不能例12例 (26~91歳) に対して本手術を行ったが, 平均手術時間53分, 平均入院日数12日で全例元気で退院し, 再発を見ていない.本術式は極めて低侵襲で確実な止血が得られるため, 内視鏡的止血不能例には第一選択とすべき治療法であると考える.
  • 石山 延吉, 小浜 智子, 小林 功, 長嶋 完二, 森 昌朋, 河津 捷二
    1995 年 45 巻 6 号 p. 557-561
    発行日: 1995/11/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    群馬県における15歳から45歳までの比較的若い糖尿病患者の実態調査を行った.その比率は群馬県の22施設からの糖尿病患者9,522名のうち, 1,110名で10.4%であった.10代と20代の若い層の患者の比率は17.2%であった。男女別では, 男性471名, 女性329名であり, 男性に多かった.病型の判別可能な275名のうちIDDMは64例で23.3%, NIDDMは211例で76.7%であった.そのうち性別の明らかなのは264例で, 男性患者133例のうちIDDM患者は22例で16%, 女性患者131例のうちIDDMは40%で女性患者のIDDMの比率が高かった.糖尿病性合併症の有無の明らかな患者は238例であり, 合併症を有する例は83例であった.15歳から45歳までの比較的若い糖尿病患者が約1割を占める事は注目に値し, すでに合併症を有する者もあり, 積極的な治療を行う必要性を示唆していると考えられた.
  • 茂原 淳, 石田 常博, 草場 輝雄, 塩谷 恵一, 山田 達也, 吉成 大介, 坂田 一宏, 勅使河原 修, 津田 京一郎
    1995 年 45 巻 6 号 p. 563-568
    発行日: 1995/11/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    1984年から1995年6月までに国立高崎病院外科で経験した原発性両側乳癌17例 (全乳癌の4.2%) について臨床病理学的特性, 治療法, 予後などを検討した.同時性は5例 (全乳癌の1.2%), 異時性は12例 (3.0%) であった.同時性と異時性の比率は1 : 2.5であった.同時性の平均年齢は59.0歳で, 異時性の平均年齢は第1癌48.0歳, 第2癌60.8歳であった.異時性の発生間隔では30年以上の症例を2例認めた.病期は同時性乳癌ではTis 1例, I期6例, II 期2例, III b期1例と早期のものが多かった。異時性では第1癌がI期6例, II 期4例と早期であったが, 第2癌はI期4例, II期5例, III a期1例, IV期2例と進行癌も認められた.組織型ではいずれも充実腺管癌, 乳頭腺管癌が多かった.リンパ節転移は同時性の2病巣 (20%), 異時性の10病巣 (42%) に認めたが, 両側とも n (+) の症例は異時性の1例のみであった.予後は良好で同時性は5例中4例が健存, 異時性では12例中7例が健存であった.一側乳癌術後は再発だけでなく, 両側性発生を念頭に置き, 対側乳房の検索, 定期的かつ長期の経過観察, 自己検診の実施が第2癌の早期発見上重要である.
  • 乳房温存療法の臨床病理学的検討
    石田 常博, 鈴木 良彦, 草場 輝雄, 坂田 一宏, 津田 京一郎, 杉山 純夫
    1995 年 45 巻 6 号 p. 569-577
    発行日: 1995/11/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    1992年1月から1995年7月までに当院での乳癌縮小手術26例 (乳房温存手術17例, 乳頭温存乳腺全切除9例) と乳房温存療法の放射線治療23例につき, 臨床病理学的に検討した.乳房温存手術17例は全乳癌の11%であった.平均年齢は50.8歳, 病期はTis 2例, Stage I 8例, II 7例であった.平均腫瘤径は1.9cm, 腫瘤・乳頭間距離4.7cmで, 術式は wide excision が14例と多かった.リンパ節転移は4例 (25%) に認めた.残存乳房照射は14例に行われた.観察期間中央値22カ月で再発・転移は認めなかった.乳頭温存乳腺全切除例は平均腫瘤径2.7cm, 腫瘤・乳頭間距離3.1cmで, Tis 2例, Stage I 1例, II 6例であった.全てnOで, 7例に同時乳房再建を行った.乳房温存療法の乳房照射はリニアックX線 (10MV) で2Gy/5日間/5週間/計50Gyを行い, 局所再発を認めなかった.照射の副作用は少なく, 乳房の外観は87%が良好以上であり, 患者の満足度も高かった.乳房温存療法は美容上のQOL面の向上と良好な予後が期待できることが示唆された.
  • 鈴木 和浩, 竹沢 豊, 中沢 康夫, 黒川 公平, 神保 進, 蔵屋敷 隆二, 鈴木 孝憲, 今井 強一, 山中 英寿
    1995 年 45 巻 6 号 p. 579-582
    発行日: 1995/11/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    前縦隔原発の embryonal carcinoma を経験したので報告する. 症例は21歳男性.発熱, 胸部不快感, 易疲労感を主訴とし胸部X線, 胸部CTにて発見され, 右下肺野に転移を伴っていた.前治療の効果が不十分のため, 当科入院となった.通常量のPEB療法を1コース施行後, 自家骨髄移植を併用した同剤による大量化学療法を施行した.腫瘍マーカーの低下, 肺転移巣の消失を認め, 残存腫瘍は完全壊死に陥っていた.化学療法を2コース追加後4年経過し再発を認めていない.胚細胞腫瘍であるが, 精巣原発に比し予後不良とされている前縦隔腫瘍である.初期より施行した intensive な大量化学療法が奏功したと考えられた.
  • 岡部 和彦, 中里 晴樹, 吉田 正, 土屋 清隆
    1995 年 45 巻 6 号 p. 583-585
    発行日: 1995/11/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    柴苓湯による好酸球性膀胱炎の一例を経験した.患者は43歳の男性で, 潰瘍性大腸炎の治療中に頻尿, 排尿時痛が出現したため当科を受診した. 急性膀胱炎と診断し抗菌剤の投与を行ったが, 膿尿の改善がみられないため膀胱生検を施行し, 好酸球性膀胱炎の病理診断を得た. 患者は膀胱刺激症状が出現する約6カ月前から柴苓湯を処方されており, 同薬剤の投与を中止することにより尿所見は速やかに改善した.
  • 高井 良樹, 佐藤 尚文, 小林 功, 武市 卒之, 長谷川 紳治, 三島 敬明, 飯島 耕作, 大和田 進, 森下 靖雄
    1995 年 45 巻 6 号 p. 587-591
    発行日: 1995/11/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    絞扼性イレウスをきたした虫垂粘液嚢腫の1手術例を経験した. 症例は71歳女性で腹痛, 腹部膨満感, 嘔吐を主訴に来院した. 絞扼性イレウスの診断で緊急手術を施行した. 虫垂粘液嚢腫が回腸末端より約2mの小腸に癒着していた.この係蹄により小腸が回腸末端から約1.5mにわたり絞扼されていた. 虫垂切除に続いて壊死した回腸を切除した. 虫垂粘液嚢腫の合併症としの絞扼性イレウスは稀で, 著者らの調べ得た限り本邦で14例目であることから若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 1995 年 45 巻 6 号 p. 593-595
    発行日: 1995/11/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 45 巻 6 号 p. 597-605
    発行日: 1995/11/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
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