北関東医学
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46 巻, 2 号
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  • 富田 治芳
    1996 年 46 巻 2 号 p. 89-102
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    臨床分離Enterococous faecalis YI17から分離した高頻度接合伝達性プラスミドpYI17は宿主菌に性フェロモン応答能と, bacteriocin 41 (Bac41) 生産能を与える.Bac41はE.hirae, E.faecium, Listeria monocytogenes に対し活性を持つ.pYI17の制限酵素地図を連関クローン法によって作製した.pYI17のEcoRI断片Bを含むクローンを用いた欠失変異株と塩基配列の解析から, バクテリオシン遺伝子 (bacA) と自身のバクテリオシンに対する免疫遺伝子 (bacB) が1.0kbの断片内に存在することが解った.この断片を含むクローンで形質転換したE.faecalis OG1XとE.hirae 9790は共にバクテリオシン活性を示した.bacAはpYI17の制限酵素地図上の3.37~3.57kbに, bacBは3.59~3.87kbの領域に存在した.bacAとbacBはそれぞれ, 67個, 94個のアミノ酸をコードしていた.BacA蛋白質のアミノ酸末端側には疎水性の高い典型的なシグナルペプチドが存在した.予想される成熟型BacA蛋白質 (43アミノ酸) は乳酸菌 (LAB) の生産するII型の細胞膜障害性バクテリオシンと高い相同性を示した.Tn5によるトランスポゾン挿入変異株と転写産物の解析からpYI17のバクテリオシン遺伝子はbacA, bacBとその下流に位置するORF3の3個の遺伝子から成る1つのオペロン構造を形成することが解った.
  • 藤田 耕一郎
    1996 年 46 巻 2 号 p. 103-111
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    ミオシン軽鎖キナーゼ (MLCK) はミオシン軽鎖をリン酸化する酵素である.しかし骨格筋ミオシンはリン酸化の有無に関わらず活性型であり, しかもMLCKは細胞内でミオシンではなくアクチンに結合して存在するなどMLCKの機能については解明されなくてはならない点が多い.アクチンに結合してアクトミオシン相互作用を修飾する平滑筋MLCKの性質 (Kohama K, et al : Biochem Biophys Res Commun : 184, 1204-11, 1992.) を参考に, MLCKの骨格筋アクトミオシン系に対する制御機構を検討した.ニワトリ胸筋のMLCKは結合定数10-7Mレベルで濃度依存性にアクチンに結合した.このMLCKはアクチンに結合する濃度ではミオシンには結合しなかった.ミオシンのactinactivated ATPase活性測定結果からは, MLCKはミオシンのリン酸化, 非リン酸化どちらの場合でも濃度依存性に同じ程度ATPase活性を抑制した.即ち, ATPase活性の抑制はMLCKのミオシンをリン酸化する作用ではなく, アクチン結合を基にした作用と考えられる. MLCKのアクチン結合はCa2+とカルモジュリン (Ca2+-CaM) により阻害され, 同時にMLCKによるATPase活性抑制はCa2+-CaMにより解除された.MLCKの抑制作用とCa2+-CaMによる抑制解除はアクチンとミオシンの間のATP依存性の相互作用を直接観察しうるin vitro motility assayにおいても確かめられた.以上より骨格筋MLCKはキナーゼ作用とは無関係にカルモジュリンのCa2+の結合成分としてアクチンに結合し, アクチン-ミオシンの相互作用に制御効果を与えると考えられた.またこの制御効果の生理的役割について考察を加えた.
  • 中村 彰男
    1996 年 46 巻 2 号 p. 113-129
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    カルシウム抑制因子 (Calcium-dependent lnhibitory Factor, CIF) は真性粘菌 Physarum Polycephalumのミオシン軽鎖キナーゼの活性をカルシウム依存的に抑制する蛋白質として発見されたものである.本論文はこのカルシウム結合蛋白質の構造と機能を知るためにクローニングにより一次横造を推定し, 存在様式を含め報告するものである.CIFはアミノ酸355個からなるEF-hand構造をもつ蛋白質で, 分子量は40,508であった.また, 遺伝子解析により, 生活史上変形体特異的に発現していること, ゲノムDNAには翻訳領域中にイントロが存在しないことも明らかになった.抗CIF抗体を用いた間接蛍光抗体法によりCIFは細胞質のみならず核にも分布していた.また高等動物の培養細胞や多形核白血球にも抗CIF抗体に反応する抗原が存在し, CIFは広く分布している可能性が示唆された.
  • 薛 音歓
    1996 年 46 巻 2 号 p. 131-137
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    ニワトリ中枢神経系からmRNAを抽出し, 発生段階における抑制性グリシン受容体の発現の変化を解析した。胎齢10日及び20日の脊髄mRNA, 胎齢10日, 20日及び生後10日の脳mRNAを注入したアフリカツメガエル卵母細胞では, グリシンによる膜電流応答は検出されなかった.これに対し, 生後10日及び20日の脊髄mRNAを打ち込んだ卵では弱いグリシン応答が記録された.ラットよりのグリシン受容体α2サブユニットcDNA断片をプローブとしてノーザンブロット解析すると, 各年齢の脊髄及び脳由来のmRNAからシグナルは検出できなかったが, 同じプローブを用いてサザンブロットすると, ニワトリのゲノムDNAからプローブと反応するDNA断片が検出された.このことから, ニワトリ中枢神経系では, グリシン受容体α2サブユニット類似転写産物は遺伝情報として存在するものの発現していないと結論した.これらの結果から, 鳥類中枢神経系におけるグリシン受容体の発現機構は, 哺乳類中枢神経系とは異なっていることが示唆された.
  • 大竹 哲也
    1996 年 46 巻 2 号 p. 139-146
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    骨粗鬆症は疼痛管理と同時に骨量の減少を抑えることが重要である.今回, 桂枝加朮附湯・Ipriflavone・Oxaprozineを長期にわたって内服した症例の骨量の推移と, 疼痛の経時的変化を検討した.骨量測定法は Microdensitometory法 (MD法) を用い, 初診時より3カ月毎に9ヶ月まで測定した.疼痛の推移はペインスコアで検討した.MD法の主要なパラメーターデあるMCI・ΣGS/DでみるとIpriflavone 群・桂枝加朮附湯群は9ヶ月間にわたり初診時との差は認められず骨量は維持された.Oxaprozine 群は約7~8%の骨量減少を認めた.疼痛の経時的変化では3, 6, 9 カ月後においてOxaprozine 群・桂枝加朮附湯群はともにIpri-flavone群より有意に疼痛は改善した.桂枝加朮附湯は骨粗鬆症に対して疼痛を軽減するだけでなくIpriflavoneと同等に骨量の減少を抑制した.
  • 鈴木 孝憲, 黒川 公平, 東 洋臣, 鈴木 和浩, 深堀 能立, 今井 強一, 鈴木 慶二, 山中 英寿
    1996 年 46 巻 2 号 p. 147-154
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    経尿道バルーンレーザー高温度治療 (TUBAL-T) を前立腺肥大症30症例に行い, TUBAL-Tの作用機序について検討した.尿道冷却法により尿道の温度上昇は抑制され, 5-10mmの深さの前立腺組織は45℃以上に加温された.CTまたはMRI検査では組織障害の深さは10-20mmであった.治療直後の病理検査では, 前立腺上皮細胞の剥離・脱落, 平滑筋細胞の核変性・凝固壊死, 微小血管の内皮細胞腫大・剥離, 血管内好中球静止が見られた. TUBAL-Tの作用機序としては高温度による直接的な細胞障害と循環障害による組織障害の助長が考えられた.
  • 竹澤 豊, 柴田 康博, 岡村 桂吾, 大竹 伸明, 中野 勝也, 栗田 晋, 深堀 能立, 黒川 公平, 鈴木 孝憲, 山中 英寿
    1996 年 46 巻 2 号 p. 155-160
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    1987年6月1日から1994年12月31日までに利根中央病院泌尿器科において37例の急性陰嚢症例を経験した.疾患の内訳は急性精巣上体炎21例, 外傷6例, 精巣捻転症4例, 腫瘍3例, 付属器捻転症2例, 精巣炎1例であった.急性陰嚢症の自他覚所見, 発症から受診までの時間, 予後, 手術所見などについて検討した.平均年齢は急性精巣上体炎43.8歳, 外傷41.4歳, 精巣捻転症10.5歳, 腫瘍30歳, 付属器捻転症8歳, 精巣炎27歳であった.発症から受診までの平均時間は急性精巣上体炎72.5時間, 外傷8.2時間, 精巣捻転症7.3時間, 腫瘍84時間, 付属器捻転症42時間, 精巣炎24時間であった.腫瘍の3例を除き精巣はすべて保存できた.精巣捻転症はいずれも固有鞘膜内で起こり, 何らかの解剖学的異常を認め, また対側の精巣固定術をいずれも行った.
  • 中田 誠司, 佐藤 仁, 大竹 伸明, 山中 英壽
    1996 年 46 巻 2 号 p. 161-167
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    群馬県の悪性新生物死亡の特徴について検討した.日本の各癌の年度別年齢調整死亡率 (昭和60年モデル人口にて年齢調整) では, 増加傾向の部位は, 結腸 (男女), 胆嚢 (男女), 腎 (男女), 肝 (男), 肺 (男女), 前立腺, 乳房 (女), 卵巣で, 減少傾向の部位は, 食道 (男女), 胃 (男女), 直腸 (女), 膀胱 (女), 子宮であった.最も増加の著しい部位は, 男女とも結腸で, 最も減少の著しい部位は, 男では胃, 女では子宮であった.群馬県の各癌の標準化死亡比 (SMR) は全体的に低く, 全部位では男女ともに全国順位は40位代であった.比較的SMRの高い部位は, 食道 (男女), 胃 (男), 胆嚢 (男女), 前立腺であった.群馬県の主要癌の地区別SMRは, それぞれの癌により特徴のある分布をしていた.同部位の癌の男女の分布はあまり似ていなかった.地区別SMRの分布が似ている部位の組み合わせは, ほとんど無かった.
  • 大嶋 清宏, 石田 常博, 草場 輝雄, 柿沼 臣一, 坂田 一宏, 勅使河原 修, 津田 京一郎
    1996 年 46 巻 2 号 p. 169-174
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    乳癌術後局所胸壁再発を来した2症例に対して, 胸壁全層切除術を施行した.胸壁欠損部は, 1例に同側大胸筋弁, 他方に対側縦軸型腹直筋皮弁を用いて各々胸壁再建術を行った.術後, flail chestや創部感染等の合併症は見られず, 経過良好で軽快退院した.現在, 外来治療中であるが, quality of lifeの改善がみられた.
    乳癌胸壁再発に対して, 胸壁全層切除と筋皮弁を用いた同時胸壁再建は有用であり, 放射線療法, 化学療法, 内分泌療法との組み合わせによる集学的治療が必要である.
  • 1996 年 46 巻 2 号 p. 175-177
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
  • 1996 年 46 巻 2 号 p. 179-194
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
  • 1996 年 46 巻 2 号 p. 195-201
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
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