「めまい」 は日常診療において多い症状の一つであり,その症状は多彩であり非特異的である。西洋医学診療においては原因となる疾患も様々である。
一方,東洋医学では虚・風・火・痰飲により生じ,五臓では “肝・脾・腎” の機能失調に関連するとされている。
我々は眩暈に対して漢方薬が奏功した39症例を経験し,苓姜朮甘湯が12例,苓桂朮甘湯が11例,半夏白朮天麻湯が6例であり,この上位3剤は痰飲に対する方剤で,全体の70%以上を占めていた。痰飲とは体内の水液代謝が失調し,身体のある部位に停滞することによって発生する病証をさす。
これら3剤を検討した結果,苓桂朮甘湯は胃腸障害や気の上衡と思われる頭痛・頭重感・頸部痛や動悸が,苓姜朮甘湯は冷えや腰痛が,半夏白朮天麻湯は胃腸障害 (脾虚) や倦怠感や冷えがあればよい適応と考えられた。
眩暈診療においては,まずは痰飲の可能性を考えて,その原因となる脾虚・腎虚・気の異常に着目して方剤の選択をすべきであると考えられた。
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