約30年前,京都大学桜田研究室で初めて弾性率が驚くほど低く,強ーじんでしかもきわめて弾性度の高いナイロン繊維に出会って以来,つねに繊維の弾性に興味をもちつづけてきた著者は, Spandex の出現にさらに一段と興味をかきたてられ,高分子科学の粋を集めているかのような羊毛繊維をモデルにしながら, グラフト共重合反応と分子間橋かけの理論に立って天然, 再生および合成繊維のゴム状弾性化研究を進め,高性能でしかも安価な弾性繊維の夢を追っている。あたかも時を同じくして各方面でこの種の耐究がなされてきたのを機会に,研究の現況を概観して読者の参考にしたい。
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