石油化学工業廃水は有機物を多く含み,その他油分や窒素,イオウなどの無機成分を含むことがある。含有有機物量の表示法にはBOD,CODのほかTOC,TODが用いられるようになり,分析が迅速化されるようになり,また廃水処理設備の水質自動管理も可能になりつつある。有機性廃水の処理法としては生物化学的処理法が主流であるが,これらの示標は廃水の種類によって必ずしも一定した処理結果上の相関を示さないことは問題である。
比較的大規模の石油化学コンプレックスにおける廃水の水量,水質の調査,分類,処理実験,処理計画,処理設備設置後の処理効果の確認に至るまでの実例を資料に基き紹介した。高濃度廃水の分別と燃焼処理,中および低濃度廃水の処理については水質の監視,変動のあった場合の対処が円滑に行なえれば所定の性能が持続できる。
今後は高濃度部分の可及的分別と廃水処理対象としてのCOD,油分などの高度な処理目標に到達可能な技術対策が必要である。
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