高知リハビリテーション学院紀要
Online ISSN : 2433-4553
Print ISSN : 1345-5648
11 巻
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  • 理学療法士,作業療法士養成課程の学生を対象に
    中野 良哉, 大倉 三洋, 酒井 寿美, 栗山 裕司, 稲岡 忠勝, 宮﨑 登美子, 柏 智之
    原稿種別: 本文
    2010 年 11 巻 p. 1-8
    発行日: 2010/03/31
    公開日: 2018/11/06
    研究報告書・技術報告書 フリー
    医療系専門学校生117名を対象に進学志望動機と職業的同一性の関係について検討を行った.重回帰分析の結果,進学志望動機の「他律的動機」「無目的・漠然」が高いほど,「対他的同一性」が低いことが示された.また,進学志望動機の「適性考慮」が高いほど,「対他的同一性」を除く,職業的同一性の全ての下位尺度得点が高いことが示された.さらに,進学志望動機の「自己の可能性追求」が高いほど,職業的同一性の「被信頼感」を除く,下位尺度得点が高いことが示された.医療系専門学校生のキャリア発達を促す上で,学生ごとの進学動機の特徴をふまえ,職業的同一性に対する教育を行っていく必要性が示唆された.
  • 山﨑 裕司, 上村 朋美, 中屋 久長, 山本 双一, 平賀 康嗣, 片山 訓博, 重島 晃史, 高地 正音
    原稿種別: 本文
    2010 年 11 巻 p. 9-12
    発行日: 2010/03/31
    公開日: 2018/11/06
    研究報告書・技術報告書 フリー
    筋力増強訓練の基礎的データを得るため,重錘バンドを用いて膝伸展筋群・股伸展筋群・股外転筋群・股屈曲筋群の1RM値を測定した.対象は,健常女性20例20脚(右脚)で,年齢は19.7歳,体重50.4kg,身長153.6cmであった.1Repetition Maximum(以下1RM)の平均値は,膝伸展筋群12.6±3.7kgf,股伸展筋群12.7±3.6kgf,股外転筋群8.7±2.6kgf,股屈曲筋群12.1±3.4kgfであった.1RM体重比の平均値は,膝伸展筋群0.24±0.07kgf/kg,股伸展筋群0.24±0.06kgf/kg,股外転筋群0.16±0.05kgf/kg,股屈曲筋群0.23±0.06kgf/kgであった.股関節外転筋力は,他の筋群に比べ有意に低値を示した(p<0.01 ).
  • 中野 良哉, 中屋 久長, 山本 双一, 山﨑 裕司, 平賀 康嗣, 片山 訓博, 重島 晃史, 高地 正音
    原稿種別: 本文
    2010 年 11 巻 p. 13-18
    発行日: 2010/03/31
    公開日: 2018/11/06
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では医療系専門学校に在籍する学生の進学志望動機と学校適応感の関連について検討を行った.その結果,まず,医療系専門学校生の進学志望動機として,「無目的・漠然」「適性考慮」「可能性追求」「他律的動機」「専門性追求」の5つの因子が抽出された.次に,学校適応感の関連について重回帰分析を行ったところ,進学志望動機のうち「適性考慮」「専門性追求」が専門学校生の学校適応感を高め,その一方で「無目的・漠然」は適応感を低めることがわかった.また,「他律的動機」と「可能性追求」は学校適応感には関係しないことが分かった.これらのことから,医療系専門学校を志望する学生への進路指導において「適性考慮」「専門性追求」といった動機付けに焦点を当てるとともに,そうした側面での動機付けを入学後も維持していくような環境作りがその後の学校適応にとって重要となることが示唆された.
  • 濱窪 隆, 明﨑 禎輝, 平賀 康嗣, 野村 卓生, 佐藤 厚
    原稿種別: 本文
    2010 年 11 巻 p. 19-22
    発行日: 2010/03/31
    公開日: 2018/11/06
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究は,客観的な体幹回旋関節可動域測定方法を考案し,その妥当性について検討した.検者は,臨床経験21年目の男性理学療法士1名とし,測定補助者2名の協力を得た.被験者は健常成人男女3名(A,B,C)とした.測定項目は,レーザー体幹回旋角度測定法による左右体幹回旋角度,測定時間,動画解析ソフトを用いた左右体幹回旋角度とした.体幹回旋角度は自動運動で左右各10回ずつ測定し,測定前に被験者に対して体幹回旋角度を任意に変化させるよう指示した.そして,レーザー体幹回旋角度と動画解析ソフトを用いた体幹回旋角度をそれぞれ測定した.レーザー体幹回旋角度と動画解析ソフトを用いた体幹回旋角度の関連について,Pearsonの積率相関係数を用いて分析した.レーザー体幹回旋角度測定と動画解析ソフトを用いた体幹回旋角度との関係において,被験者A,B,Cの順に左体幹回旋はそれぞれr=0.92,0.92,0.98,右体幹回旋はそれぞれr=0.97,0.96,0.96の正の相関を認めた(p<0.05 ).レーザー体幹回旋角度の測定時間は,被験者A,B,Cの順に左体幹回旋角度4.9±0.6秒,4.1±0.7秒,4.4±0.5秒,右体幹回旋角度は4.7±1.0秒,4.1±0.6秒,4.5±0.5秒であった.これらのことから,本研究で用いた方法は体幹回旋関節可動域測定を行う上で妥当性の高い測定方法であることが示唆された.
  • 明﨑 禎輝, 野村 卓生, 山﨑 裕司, 佐藤 厚
    原稿種別: 本文
    2010 年 11 巻 p. 23-26
    発行日: 2010/03/31
    公開日: 2018/11/06
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,脳血管障害患者に対して,逆方向連鎖技法に基づく床からの立ち上がり動作練習を実施し,その有効性を検討した.対象は,68歳,男性,診断名は脳出血であった.床からの立ち上がり動作は,仰臥位から片膝立ち位までは可能であったが,片膝立ち位から立ち上がることが困難であった.方法は,シングルケースデザインのAB法を用い,ベースライン期(4日)後に,介入期( 6日)を設けた.介入期では,症例の前に台を置き,片膝立ち位で台を押さえながらの立ち上がり動作練習を行った.台の高さは40cmから30cm,20cm,10cmと徐々に低く設定した.介入開始から6日目には台無しでも床からの立ち上がり動作が可能となった.また,床からの立ち上がり動作に対する不安感(Visual analogue scale)はベースライン期に8点であったが,介入期には3点へと減少を認めた.本研究で用いた動作練習によって,短期間のうちに床からの立ち上がり動作を獲得できたことから,床からの立ち上がり動作練習方法として有用なことが示唆された.
  • 中屋 雄太, 片山 訓博, 橋本 良平, 西本 和弘, 中屋 久長, 山本 双一, 山﨑 裕司, 平賀 康嗣, 重島 晃史, 高地 正音
    原稿種別: 本文
    2010 年 11 巻 p. 27-30
    発行日: 2010/03/31
    公開日: 2018/11/06
    研究報告書・技術報告書 フリー
    股関節外転運動中のExercise-Bandの抵抗力を測定するとともに,抵抗力に影響を与える因子について検討した.対象は,健常成人33名(年齢39.3±11.9歳)である.Exercise-Bandには,酒井医療社製MEDIUM(青)とHEAVY(オレンジ)を2種類の長さで用いた.仰臥位で両大腿遠位端にExercise-Bandを装着して外転運動を行った際にExercise-Bandと大腿側面の間に生じる圧迫力を計測し,それを抵抗力とした.Exercise-Bandの長さ40cm,30cmの順に抵抗力は,青が2.1±0.3kgf,3.3±0.3kgf,オレンジが2.7±0.4kgfと3.8±0.5kgfであった.Exercise-Bandの種類,長さの違いによって抵抗力には有意差を認めた(p<0.01).各Exercise-Band抵抗力と両側大腿幅,股関節外転筋力,大腿周径などの身体的因子間には有意な相関を認めなかった.以上のことから,Exercise-Bandは対象者の身体的因子に影響を受けることなく一定の抵抗力を負荷できるものと考えられた.
  • 試行回数と非測定側下肢支持の影響
    山﨑 裕司, 有澤 亜弥, 大倉 三洋, 酒井 寿美, 栗山 裕司, 稲岡 忠勝, 宮﨑 登美子, 柏 智之, 中野 良哉
    原稿種別: 本文
    2010 年 11 巻 p. 31-34
    発行日: 2010/03/31
    公開日: 2018/11/06
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,より正確な膝伸展筋力測定方法を確立することを目的として,筋力測定試行回数と非測定側下肢の接地条件の違いが測定値に与える影響について検討した.対象は,健常成人25名の両下肢,計50脚である.まず等尺性膝伸展筋力測定を非測定側下肢が台上に接地した状態で左右4回実施した.次に日を変えて,非測定側下肢を接地させない条件で筋力測定を3回実施した.測定回数内の膝伸展筋力最大値を採用した場合,測定回数が多くなるにつれ,有意に最大値は大きくなった.右脚・左脚とも,1-4回目の最大値と1回目測定値,1-2回目最大値間に有意な差を認めた.1-3回目の最大値を採用した場合,下肢接地時の膝伸展筋力値は右脚48.2±12.0kgf,左脚46.9±13.9kgf,非接地では右脚41.3±11.9kgf,左脚39.6±12.2kgfであり,両脚ともに有意差を認めた(p<0.01).以上のことから,最大値を得るためには非測定側下肢を接地させた条件で,3回の試行が望ましいものと考えられた.
  • 久保川 温加, 黒澤 保壽, 遠藤 慎一
    原稿種別: 本文
    2010 年 11 巻 p. 35-39
    発行日: 2010/03/31
    公開日: 2018/11/06
    研究報告書・技術報告書 フリー
    慢性閉塞性肺疾患患者の急性増悪例に対して廃用の悪循環を断ち切るため人工呼吸器管理下からの早期リハビリテーションを実施したので,その経過と効果について検討した.症例は,86歳男性,診断名は肺気腫.肺感染症による急性増悪によって,気管切開,人工呼吸器管理が開始された.入院後,3日目より人工呼吸器装着下でのリハビリテーションを開始.入院10日目には人工呼吸器からの離脱に成功した.早期離床訓練によって座位保持能力,立位能力,座位保持時間は短期間で改善し,入院13日目には入院前の移動能力に到達した.酸素投与のない状態で入院から28日目に退院した.日常生活動作能力を低下させることなく在宅復帰できたことから,急性増悪例に対する人工呼吸器管理下からの早期リハビリテーションは有用なものと考えられた.
  • 高次脳機能障害を合併した重症脳血管障害患者における検討
    中山 智晴, 山﨑 裕司, 斉藤 誠司
    原稿種別: 本文
    2010 年 11 巻 p. 41-46
    発行日: 2010/03/31
    公開日: 2018/11/06
    研究報告書・技術報告書 フリー
    右片麻痺,運動性失語症の既往のある重度左片麻痺患者の座位訓練に応用行動分析的技法を導入し,その効果について検討した.介入では,60秒間の座位保持を目標行動とした.手がかり刺激として,身体傾斜の情報をフィードバックするため適切な右手のつき位置を手形で示した.目標時間への接近を視覚・聴覚的にフィードバックし,60秒間の座位保持が成功すれば,即時的に注目・賞賛を行った.さらに座位保持時間をグラフ化してベッドサイドに提示し,時間が延長した場合にはPT,Ns,家族から注目・賞賛が得られるように配慮した.ベースライン期は,目標時間に到達することはなかった.介入期には座位保持時間は延長し,6日のうちの3日は目標を達成した.プローブ期では,座位保持時間が減少し,目標を達成することはなかった.2度目の介入では4日の内3日は目標時間に到達した.フェイディング(10日間)は,失敗が極めて少ない状態で実施できた.介入中には,運動麻痺や筋力,高次脳機能に著変はなかった.以上のことから,本介入は座位保持能力を向上させる上で有効に機能したものと考えられた.
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