高知リハビリテーション学院紀要
Online ISSN : 2433-4553
Print ISSN : 1345-5648
17 巻
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  • 松井 剛, 山﨑 裕司, 加藤 宗規
    原稿種別: 本文
    2016 年 17 巻 p. 1-7
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2019/07/05
    研究報告書・技術報告書 フリー
    Pusher現象を呈し,座位,立位が困難な重度片麻痺例に対して,5段階の難易度調整からなる座位,立位保持練習を考案し,その効果について検討した.介入前は座位保持,立位保持ともに多大な介助を要していた.発症26病日から介入を開始し,28日間にて上肢支持なしでの端座位保持,手掌支持での立位保持が可能となった.介入中,運動麻痺の重症度,日常生活動作能力に大きな改善はなかった.比較的短期間で端座位,立位保持が可能となったことから,今回の段階的な座位保持,立位保持練習プログラムはPusher現象を有する重度片麻痺患者の座位,立位保持能力を向上させる上で有効なものと考えられた.
  • 急性期・慢性期の2症例による検討
    川口 沙織, 内野 利香, 山﨑 裕司, 加藤 宗規
    原稿種別: 本文
    2016 年 17 巻 p. 9-13
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2019/07/05
    研究報告書・技術報告書 フリー
    立位での方向転換が困難なため移乗の介助量が多い状態が続いていた急性期と慢性期の重度片麻痺患者2症例に対して段階的な難易度設定を用いた行動分析学的介入を実施した.介入前までは移乗動作を総課題提示法によって練習したが,移乗動作能力に変化はなかった.そこで困難であった立位での方向転換に特化した介入を実施した.介入では,平行棒につかまっての約120°の方向転換を30°ごとの4範囲に分割し,段階的に回転角度を拡げていった.その結果,両症例とも介入開始後1週間以内で方向転換が可能となり,移乗動作は監視下で実施できるようになった.したがって,一連の行動連鎖の中で特に困難な行動要素が存在する場合,その行動要素を切り離して段階的な難易度設定による介入を導入することが有効なものと考えられた.
  • すべり止めシートと連鎖化の技法を用いた介入
    中山 智晴, 山﨑 裕司, 森野 勝憲, 和田 譲, 有澤 雅彦
    原稿種別: 本文
    2016 年 17 巻 p. 15-19
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2019/07/05
    研究報告書・技術報告書 フリー
    半側空間無視,失語症を合併した重症片麻痺患者(79歳)に対して,無誤学習の技法を適応した新たな車椅子駆動練習を考案し,その効果について検討した. 介入1では,下肢での駆動感覚学習のために右下肢でタオルの引き寄せ練習を実施させた後,靴底に滑り止めシートを張り付け下肢のみで車椅子駆動練習を実施した.その際,ガイドとなる直線をテープで示した.介入2では,上肢駆動を連鎖化させた.動作が成功した際は賞賛を行い,毎回1分間に駆動できた距離を測定し,それをフィードバックした. ベースライン期では,車椅子駆動は不可能であった.介入1により車椅子駆動距離は延長し,プローブ期においても駆動距離は維持された.介入2により,車椅子駆動距離はさらに延長した.最終的には,自室からリハビリ室(約100m)までの駆動が可能となり,院内の車椅子駆動が監視下で自立した. 介入中,機能障害の明らかな改善は認めなかった.また,車椅子以外のADL能力に変化はなかった.以上のことは,今回の効果が病態の改善ではなく,車椅子操作の学習によってもたらされたことを示している.段階的な難易度設定,連鎖化の技法を用いた今回の介入は,重症片麻痺患者に車椅子駆動を学習させるうえで有効なものと考えられた.
  • 市川 祐生, 濱田 啓太, 山﨑 裕司
    原稿種別: 本文
    2016 年 17 巻 p. 21-25
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2019/07/05
    研究報告書・技術報告書 フリー
    意識レベル低下と指示理解が困難な重症片麻痺者に対して5段階に難易度を変化させた座位保持練習を考案し,行動分析学的な介入を実施した.症例は,左被殻出血により右片麻痺を呈した59歳男性.第37病日の意識レベルはJapan Coma ScaleⅡ-20,Brunnstrom Recovery Stageは上肢Ⅰ,手指Ⅰ,下肢Ⅰ.感覚は重度鈍麻.改訂長谷川式簡易知能検査は4/30点,指示理解は不可能であった.基本動作は全て全介助,機能的自立度評価法にて18点であった. 座位保持練習は,1日に2分間の練習を3回実施した.第1段階は,5度の楔を麻痺側殿部に敷いて左においた20cmの台上に肘立て位をとらせた.第2段階は,5度の楔を麻痺側殿部に敷いて体側で手支持を行わせた.第3段階は楔を除いて,20cmの台上に肘立て位をとらせた.第4段階は楔を除いて体側で手支持を行わせた.第5段階は非麻痺側上肢を大腿部に乗せて端座位をとらせた.いずれの段階も2分間の座位保持が自力で可能となれば次へ進んだ. 第1段階は3日間,第2段階は1日間,第3段階は2日間,第4段階は4日間,第5段階は1日間で通過した.介入期間中に意識レベルやその他の機能障害に変化はなかった.短期間の間に座位保持を可能とした今回の座位保持練習は意識レベルの低下した重症片麻痺患者に対しても有効に機能するものと考えられた.
  • 上村 朋美, 加藤 宗規, 山﨑 裕司
    原稿種別: 本文
    2016 年 17 巻 p. 27-30
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2019/07/05
    研究報告書・技術報告書 フリー
    理学療法を拒否していた失語症患者に対して入浴を強化刺激とした行動分析学的介入を実施した.対象は,60歳代男性.左脳梗塞による右片麻痺.失語症のため言語理解・表出は不可能であった.運動療法を開始した翌日から拒否が生じた.そこで,自ら希望していた入浴を理学療法室内の浴室で実施し,これを強化刺激として理学療法参加率の向上を図った.入浴直後に理学療法を実施することで運動療法に対する拒否はみられなくなった.運動量は徐々に増加し,23病日からは理学療法後に入浴を実施することが可能となった.最終的には,すべての運動療法メニューが実施可能となった.拒否がみられなくなった39病日からは入浴頻度を隔日に減らすことが可能であった. 理学療法に対する拒否がなくなり,運動療法メニューの増加が可能であったことから今回の介入は有効に機能したものと考えられた.
  • 山﨑 裕司, 柏 智之, 稲岡 忠勝, 平賀 康嗣, 宮崎 登美子, 栗山 裕司, 片山 訓博, 重島 晃史
    原稿種別: 本文
    2016 年 17 巻 p. 31-34
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2019/07/05
    研究報告書・技術報告書 フリー
    下肢筋力の基準値を提供するため,20歳代健常者の股関節伸筋,屈筋,外転筋,膝関節伸筋,屈筋の等尺性筋力を測定した.対象は,健常者40名(男性20名,女性20名)で,年齢は22.2±4.9歳であった.筋力測定には,ハンドヘルドダイナモメータ(アニマ社製μTas F-1)を使用し,いずれの筋力測定もベルト固定を併用して行った.男性の筋力体重比は股関節伸筋,屈筋,外転筋,膝関節伸筋,屈筋の順に,0.58±0.10,0.62±0.17,0.46±0.13,0.95±0.31,0.41±0.09kgf/kgであった.女性の筋力体重比は股関節伸筋,屈筋,外転筋,膝関節伸筋,屈筋の順に,0.46±0.18,0.51±0.16,0.33±0.07,0.70±0.23,0.32±0.08kgf/kgであった.股関節伸筋,外転筋,膝関節伸筋,屈筋の筋力は女性に比較して男性で高値を示した(p<0.05). これまで固定ベルトを併用したハンドヘルドダイナモメータによって下肢の主要筋群の健常者データを測定した報告はない.本研究結果は,下肢筋力の基準値として活用できるものと考えられた.
  • 北川 了三, 山﨑 裕司, 澁谷 桂
    原稿種別: 本文
    2016 年 17 巻 p. 35-37
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2019/07/05
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,健側股関節伸展可動域が患側股関節屈曲可動域に与える影響について検討した.対象は健常者20名(男性17名,女性3名,年齢20.1±1.1歳,身長169.6±9.1cm,体重62.6±11.7kg)と股関節屈曲可動域練習実施中の整形外科疾患女性患者8名(年齢71.6±15歳,身長151.1±9.9cm,体重49.9±9.1kg)である. 健常者群,整形外科患者群ともに股関節伸展方向へのストレッチ後,伸展可動域は有意に増大し,同時に反対側股屈曲可動域も有意に増大した.股関節伸展可動域が増大すると,骨盤のより大きな後傾が可能となる.その結果,反対側の股関節屈曲可動域が増大したものと推察された. 人工股関節置換術後や変形性股関節症によって股関節屈曲可動域が制限された症例に対する反対側の股関節伸展可動域練習は,制限された屈曲可動域の拡大を図るうえで有用かもしれない.
  • 柏 智之, 稲岡 忠勝, 片山 訓博, 重島 晃史, 平賀 康嗣, 宮崎 登美子, 栗山 裕司, 山﨑 裕司
    原稿種別: 本文
    2016 年 17 巻 p. 39-41
    発行日: 2016/03/31
    公開日: 2019/07/05
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本研究では,徒手圧迫力の再現性とその規定要因について検討した. 対象は,健常学生50名で,年齢は21.8±5.0歳であった.徒手圧迫力の測定には,アニマ社製徒手筋力測定器μTas F-1を用いた. 男性徒手圧迫力は23.9±6.2kgf,女性は15.4±4.3kgfであり,有意差を認めた(p<0.01).握力,体重,身長と徒手圧迫力の間には,r=0.64,0.57,0.58の有意な相関を認めた(p<0.01).握力が30kgfを下回る対象者では,14名中12名(全て女性)において徒手圧迫力が20kgfを下回った.1日目,2日目徒手圧迫力の平均値は20.8±6.9kgf,21.7±8.3kgfであり,有意差を認めなかった.1日目と2日目徒手圧迫力の間の級内相関係数は0.924であった(p<0.01). 女性で握力が30kgfを下回り,体格が小さい対象者において徒手圧迫力が弱くなることが確認できた.また,徒手圧迫力の再現性には問題がないものと考えられた.徒手圧迫力は高い妥当性と再現性を有し,徒手固定力の評価指標となり得る.
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