本研究では,独歩自立例と独歩非自立例が混在する等尺性膝伸展筋力(以下,膝伸展筋力)水準と下肢荷重率水準を 4 群に区分し,各群の独歩自立例の割合を検討した.対象は65歳以上の入院患者43名であり,膝伸展筋力と下肢荷重率,歩行自立度を評価した.膝伸展筋力が0.250kgf/kg以上0.325kgf/kg未満で下肢荷重率が80%以上85%未満の者をⅠ群( 5 例),筋力が0.325kgf/kg以上0.400kgf/kg未満で下肢荷重率が80%以上85%未満の者をⅡ群(17例),筋力が0.250kgf/kg以上0.325kgf/kg未満で下肢荷重率が85%以上90%未満の者をⅢ群( 8 例),筋力が0.325kgf/kg以上0.400kgf/kg未満で下肢荷重率が85%以上90%未満の者をⅣ群(13例)とし,各群の独歩自立例の割合を比較した.独歩自立割合は,Ⅰ群から順に, 0 %,59%,75%,85%であり,独歩自立割合に有意差を認めた(p<0.05).膝伸展筋力,下肢荷重率とも低いⅠ群では独歩自立例を認めなかった.また,両者とも高いⅣ群では独歩自立割合は最も高かった.以上のことから,混在区分においても膝伸展筋力および下肢荷重率の要因は一定の影響を及ぼすものと考えられた.
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