本研究では,発達障害の心理療法における「キャッチボールモデル」について検討する手がかりを得るために,プレイセラピーにおいてボールが果たす役割について,ボールという遊具の歴史的な背景とその本質,そして主として幼児教育と心理臨床の事例研究等の先行研究を踏まえて検討した。その結果,プレイセラピーにおけるボールの役割は,従来考えられてきた,クライエントとセラピストの関係構築のための道具や,その関係における言葉等といった役割だけでなく,自他の分離とその分 離を前提とした一体感,さらには自他を超える体験の契機となる役割を持ち得ることが示唆された。 以上のことから,心理療法における「キャッチボールモデル」について,プレイセラピーにおける実際のボールの役割を出発点として検討していくことの意義が明らかになった。
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