国語科教育
Online ISSN : 2189-9533
Print ISSN : 0287-0479
81 巻
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I シンポジウム(要旨)
秋期学会 第131回 東京大会
II 研究論文
  • 下田 実
    2017 年 81 巻 p. 14-22
    発行日: 2017/03/30
    公開日: 2017/09/07
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は、「場」との関わりに目を向けた学習者研究の構築に向けて、実践主体である当事者が「物語る」研究手法の必要性と、研究のフィールドを国語科とインクルーシブ教育の接点に求めることの意義を明らかにすることにある。研究を進めるにあたって、「場」を「授業の目標に沿って学習に取り組んでいる状況」と定義した。また、研究方法として当事者(教師自身)が実践を物語る形式の「当事者参加型アクションリサーチ」を用いた。

    研究の結果は次の通りである。(1)研究の枠組み:「疎外」と「受容」の視点から「個」をとらえ、その指導過程を実践当事者が物語化することによって「個」のあらわれを意味づける。(2)研究のフィールドを国語科とインクルーシブ教育の接点に求めることの意義:「個」の「内的言語活動を支える独自な認識」が可視化され、言葉の学びによる成長過程の典型が見出されてくる。

  • 冨安 慎吾
    2017 年 81 巻 p. 23-31
    発行日: 2017/03/30
    公開日: 2017/09/07
    ジャーナル フリー

    本研究では、自己調整学習者の発達を支援する方法について、特に学習観の形成を支援する視点から検討を行った。その際、事例として漢字学習を取り上げた。

    漢字学習観は、漢字学習方略・漢字学習動機・漢字観によって構成される。特に漢字学習方略は学習者の漢字学習に直接的に関係する。しかし、学習者は漢字学習に際して適切な漢字学習方略を選択するとは限らない。このことから、漢字学習観の形成を支援するためには、漢字学習方略を含む漢字学習観をメタ認知させることが重要ではないかと考えられた。

    そこで、漢字学習方略をパターンランゲージというメディアを用いて記述し、それを用いたワークを実施した。その結果、ワークの中で漢字学習方略と漢字学習動機・漢字観のメタ認知が行われることが確認できた。

  • 若木 常佳
    2017 年 81 巻 p. 32-40
    発行日: 2017/03/30
    公開日: 2017/09/07
    ジャーナル フリー

    教師は,自分の内なる自己(「ゲシュタルト」)を教師にとって望ましい形で育成する必要がある。この目的のために,教師を養成し指導する機関はどうすればよいのか? この課題に対し,自己の内面を教師として望ましい姿に育て続けているY氏を対象として,Y氏の内面に構築された「思考様式」の形成過程を追究した。その結果,教師の養成と指導に3つの手掛かりを得た。1点めは,指導技術と教育観についての学修の順序に関すること,2点めは,教師(教師になろうとする者も含む)と教師教育者の両者が「ゲシュタルト形成に関わる成長史」について理解すること,3点めは,他者との関わりも含め,学修内容の相対化を意識させることである。

  • 酒井 達哉
    2017 年 81 巻 p. 41-49
    発行日: 2017/03/30
    公開日: 2017/09/07
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は大正末期に古市尋常高等小学校において展開された、俳句指導の特徴とその実践的意義を、それを支えた地域的基盤に留意しつつ明らかにすることである。

    大正末期、俳句に対して強い関心があった地域を背景に、同校では自ら俳句を詠む教員の指導により児童が大いに俳句を詠んだ。また、俳句による表現の指導が行われ、兼題や賞の設定などを取り入れることによって作句の動機付けが図られた。俳句は定型詩という制約をもつものであるが、同校では、あえて定型詩の形をとるなかで子どもらしい、ものの見方や考え方を表現することが指導された。国語教育史研究において大正時代の小学校における俳句指導は、これまでほとんど注目されていないが、本研究で取り上げた事例から明らかなように、地域によっては俳句指導が小学校で盛んに行われたことは注目に値する。

III 資料
  • 谷木 由利
    2017 年 81 巻 p. 50-58
    発行日: 2017/03/30
    公開日: 2017/09/07
    ジャーナル フリー

    この調査研究は大村自身が編著に携わった教科書、昭和50(1975)年版『改訂標準中学国語』(教育出版)における「読書指導カリキュラム」の重要なコンテンツである ①単元 ②読書教材 ③学習の手びき ④ブックリスト の関わりと機能を分析したものである。この分析によって、大村はま読書生活指導の「構造」と「展開」を明らかにできる。

    この教科書で大村はまは、学習者が目的意識と必要感に支えられて読む場を、中学校における読書指導カリキュラムに位置づけた。そのカリキュラムは、学習者を自己の課題発見と解決に向けた「探究的な読書」へと導くものである。

    この教科書での「読書活動」は、1)データベースである『読書生活通信』から、積極的に読書に関する情報や技術を取り込みつつ、2)様々なジャンルの本を実際に読む展開となっている。さらに3)「読書活動」の全ては、「記録・報告」を「書く」活動に収束されていく。学習者がこれらの「読書活動」を段階的・系統的に体験していく過程において「読書力」を獲得する構造が、ここにはある。

IV 書評
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