国語科教育
Online ISSN : 2189-9533
Print ISSN : 0287-0479
91 巻
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Ⅰ シンポジウム(要旨)
秋期大会 第141回 世田谷大会(オンライン)
Ⅱ 研究論文
  • 長田 友紀, 小林 祐美, 矢澤 真人
    2022 年 91 巻 p. 9-17
    発行日: 2022/03/30
    公開日: 2022/03/30
    ジャーナル フリー

    小学生(3年生と5年生)における教科書教材文の辞書を使った語句調べを実験的に調査した。リサーチクエスチョン(RQ)1で教材文の中で学習者が分からなかった語(辞書で検索した語)を分析した結果、上位層では教師がその教材で教えたいと思われる典型的な語が多かったが、他層では日常的な語が多く検索されていた。RQ2で紙辞書と電子辞書とで検索方法がどう異なるのかを分析した結果、紙辞書よりも電子辞書の方が検索が速くでき、これは学力層に関係なかった。RQ3で検索語の辞書での掲載状況を分析した結果、学習者がその後の意味を理解することが難しいと思われる語は40%もあった。RQ4で学習者はどう感じたのかを分析した結果、紙辞書よりも電子辞書の方が楽しかったという意見が多くみられた。

  • 長岡 由記
    2022 年 91 巻 p. 18-26
    発行日: 2022/03/30
    公開日: 2022/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究では、国語科におけるローマ字学習の今日的な意義を整理した上でその課題について明らかにし、課題解決の糸口を示すことを目的として検討を行った。

    まず、国語科におけるローマ字学習の意義の変化について、学習指導要領の変遷を辿りながら整理した。次に、英語教育やコンピュータの入力の視点から指摘されているローマ字学習の課題を取り上げ、①訓令式を中心に指導すること②複数のローマ字表記の扱い③国語科と外国語科(英語科)との連携のあり方④国語科におけるローマ字入力学習の範囲という4点において課題があることを明らかにした。

    最後に、国語科におけるローマ字学習の指導内容を明確化した上で英語科との連携をはかることや、ローマ字綴りの理解と関連させたローマ字入力法の指導法の開拓の必要性などについて言及した。

Ⅲ 実践論文
  • 古賀 洋一
    2022 年 91 巻 p. 27-35
    発行日: 2022/03/30
    公開日: 2022/03/30
    ジャーナル フリー

    現在、探究的な授業を各教科で行うことが求められている。本稿では、学校司書との高次の協働が、探究的な国語科授業についての教師の学びを促すのではないかとの想定にもとづき、そうした協働を通して教師が何を学び、それはその後の探究的な授業の構想にどのような形で生かされていくのかについて、事例研究を行った。

    その結果、次のことが明らかになった。まず、教師が情報活用能力や批判的思考力の視点を国語科の教科内容に取り入れていくうえで、高次の協働が非常に有効であったことである。次に、教師が探究的な国語科授業を構想する際には、教材の同一性や問題の性質の類似性、学習者の学校段階の相違点に着目し、これらの協働から学んだことを様々な形で生かしていたことである。とりわけ、問題の類似性に着目した生かされ方は、探究的な国語科授業を構想する場合に特有のものだと考えられた。

  • 山田 深雪, 河上 裕太
    2022 年 91 巻 p. 36-44
    発行日: 2022/03/30
    公開日: 2022/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究では、教師の読みと相違するかもしれない学習者自身の読み、更には個々の学習者がもつ「複数の」読み(このような読みを生みだす自己の総体を「複数の自己」という)を実際に教室に提出させようとする際に浮かび上がる問題について、寛容という切り口から文学の授業実践の理論と方法を検討した。

    小学校第五学年を対象とした実践では、文学作品を読んだ感想を人物Aと人物Bの問答体としての戯文形式で書かせ、同じ作品を読んだ他の学習者と対話する活動を設定した。その結果、戯文の創作は「複数の自己」を可視化し、その戯文を用いて他者と対話をすることで、「複数の自己」それぞれへの価値・意味の気付きがもたらされることが明らかとなった。

Ⅳ 資料
  • 勝田 光
    2022 年 91 巻 p. 45-53
    発行日: 2022/03/30
    公開日: 2022/03/30
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は、アメリカの英語教師が様々な制約の中で生徒に読み書きをどう教えているか、実際の文脈において検討し、国語科の授業改善に資する知見を得ることである。事例研究の手法を用いて、フロリダ州ベイ学区における2つの学校で幼稚園から高等学校までの授業を観察し、教師らにインタビューとメールによる質問を行った。(1)リテラシー・センター、(2)長編小説を読む活動、(3)手引きのある指導、以上3つの国語科では馴染みのない指導法を取り上げて分析した。また、言語知識や読みのスキルを習得する学習と、創造的な言語活動の両立をどう図っているかを検討するために、1人の教師による1日の英語の授業全体も分析した。その結果を踏まえて、(1)読み書きを学ぶ方法について、生徒が選択する機会を作ること、(2)教材や介入の程度について、生徒の読み書き能力を踏まえること、(3)知識・スキルの習得を目指す学習と創造的な言語活動との関係について、熟考すること、以上3点をアメリカのリテラシー教育が国語科に与える示唆だと結論づけた。

Ⅴ 書評
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