本研究では、漢字に関する学習内容のうち、特に「漢字に関する知識」を整理するための具体的な分類表の作成を行うことを目的とした。
まず、分類表の枠組みを作るために、先行研究において漢字に関する学習内容を整理する枠組みとして用いられているタキソノミーについての検討を行った。対象にしたのは、Andersonら(2001)による「改訂版タキソノミー」と、Marzanoら(2007)による「新分類体系」である。この検討の結果、Marzanoらのタキソノミーを枠組みとした上で、分類表の作成を行うこととした。
次に、Marzanoらのタキソノミーにおける「知識の領域」をもとに、小学校国語教科書の漢字に関する単元に含まれる学習内容を抽出し、整理を行った。この整理の結果、漢字に関する知識を「情報」と「心的手続き」とに分類し、それぞれの詳細な分類表を作成することができた。
最後に、作成した分類表により、小学校国語教科書についての分析の試行を行った。結果、試行の対象とした一般概念のひとつ「音符」について、教科書会社により、その取り扱いに大きな差が見られることが明らかとなった。このことから、本研究において作成した分類表は、漢字学習のカリキュラムを「漢字に関する知識」の側面から見直すことに資するものであると考えられた。
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