本稿の目的は,メタ言語能力を育成する引用指導構築の一環として,引用指導における情報資源を提示する「ように」の有用性を示すことにある。具体的には,情報資源を提示する「ように」の学術論文における使用実態調査とその分析を行った上で,国語科における指導事項・教材((i)引用と意見の書き分け,(ii)事実と意見の区別,(iii)譲歩の構造)との接続を試みた。本稿で提案した活動を通して成長が期待される力は以下のとおりである。
(i)「引用だからかぎでくくる」という手順的な理解を越えた,引用と意見を自覚的に書き分ける力
(ii)事実と意見が分かち難い場合や重なる場合があるということへの理解と,その理解に基づく自覚的な言語運用力
(iii)文章をメタ的に捉える力,ならびに,引用を自分の意見に対して相対的に位置付ける思考力
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