国語科教育
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Ⅰ 研究論文
  • 池田 匡史
    2020 年 88 巻 p. 3-11
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/10/23
    ジャーナル フリー

    本稿では、1950年代のアメリカで、主題単元・話題単元がいかに論じられていたのかを検討した。その際、NCTEが編集する、English Journal誌の中で、主題単元・話題単元に言及した論考をすべて抽出し、内容を検討した。

    その結果、当時の見方には、次のことがあった。①学習者の興味、経験、多様性を重視した、言語活動領域を跨ぐ学習として意義づけられていたこと、②当時のアメリカでの課題を乗り越えられ、生徒からも支持されているなどの理由で展開されたこと、③主題と教材との無理な関連付け、能力面、興味の継続などが、留意点とされていたこと。

    これらの内容の一部は、日本に持ち込まれ、主題単元を推奨する論が展開されていったのである。

  • 宇賀神 一
    2020 年 88 巻 p. 12-20
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/10/23
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は、石森延男と第4期国定国語教科書の関係性を考究することである。本稿ではとりわけ、石森が同書の編纂にかかわることになった経緯と、石森が寄稿した「満洲教材」の成立過程を検討した。結果として、当代の同教科書の編纂過程において外国教材のリアリズムが重視されており、石森が「満洲」を舞台としてその課題に応え得る人材であったことから教材の執筆が依頼されたことが明らかになった。このように嘱望された石森の教材原案は、そのままで教科書に収録されることはなく、原案に由来する感情や心情を表現した記述が削除された。その一方で、「満洲」の言語面における日本化が強調されており、また、日本「内地」からみた「満洲」という視点が取り入れられて、教材として成立した。

  • 酒井 晴香, 関 玲
    2020 年 88 巻 p. 21-29
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/10/23
    ジャーナル フリー

    本研究は、大学生のアカデミック・ライティングの運用能力について、レポートの文末モダリティ表現(「と考えられる」等)に焦点を当てて問題を明らかにするものである。文末に出現する推量、蓋然性、証拠性に当たるモダリティ表現を分析対象とし、学術論文と大学生のレポートを収集して作成したコーパスを用いて調査を行った。

    その結果、1)動詞の形態に関して、学術論文ではラレル形が多く使用される一方、レポートではル、タ、テイル形の使用が多いこと、2)レポートでは漢語動詞のバリエーションが少なく、また学術論文には出現しない「と考察される」が特異的に使用されていること、3)「のではないか+と考える」のようなモダリティ重複表現がレポートに多く出現していることが明らかとなった。さらに、この結果から、学術論文では文末モダリティ表現がより広範な用法で使用されていること、レポートではモダリティ重複表現が定型化している可能性を指摘した。

  • 内藤 三和子
    2020 年 88 巻 p. 30-38
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/10/23
    ジャーナル フリー

    大村はまの単元学習には劇化や演劇活動が取り入れられているものが見られる。その実践の記録は大村の著作にあるだけではなく、生徒が記録した「学習記録」にも残されている。本研究では、鳴門教育大学附属図書館所収の「学習記録」にある台本を考察対象の中心として、大村の劇化指導の展開と変遷、及びその理由について明らかにした。

    大村の劇化指導は戦後すぐと定年間際のそれぞれ3、4年の間に集中して行われ、その間に当たる27年間には行われていない。唯一既成の台本を演じた放送劇「須川おろち」の実践があるのみである。戦後すぐの実践では教科書教材の場面をシナリオに書き直して発表させているが、それらには教材の理解に留まらない演出の姿勢が認められた。定年間際の単元では学習材に多様性があり、発表の活動もインタビュー(劇)、放送劇、人形劇などをより生徒に委ねた発表会の形式で展開させていた。「須川おろち」は大村の劇化単元の変遷をつなぐ実践として位置づけることができる。「須川おろち」で展開された放送劇を大人数で行う演劇活動のありようが、大村の劇化指導におけるその後の生徒一人ひとりの力を伸ばす学習方法、学習発表会の取り組みにつながっていったと言える。

  • 永田 麻詠
    2020 年 88 巻 p. 39-47
    発行日: 2020/09/30
    公開日: 2020/10/23
    ジャーナル フリー

    性的にマイノリティとされる子どもが「言葉の暴力」にさらされているという問題から、国語科教育としてどのように「言語環境の整備」に取り組むことが多様な性への対応となりうるのか、「言語感覚」と社会言語学の知見を手がかりに検討を行った。その結果、(1)多様な性に対する意識変容を目標として、言語感覚の育成をめざす(2)多様な性への対応として言語感覚を育てることにより、すべての子どものエンパワメントをめざす(3)アウティングやカミングアウトの強制を避けるために、文学的教材を用いて実践を構想する(4)性をめぐることばに対する具体的な違和感を検出することで、多様な性に対する社会的な価値観を批判的に検討できるような学習展開を具体化するの4点を、多様な性への対応としての言語感覚を育成する手がかりとした。

Ⅱ 書評
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