本稿は,米中間の貿易関係を主な対象にして,Global Value Chainsの視点から考察した。米中間の貿易関係(特に中国から米国への輸出の増大)には,アジア太平洋地域で形成された国際分業構造が大きくかかわっており,米国の対中貿易赤字の大部分を占めるICT業種では,中国における外資系企業が主な主体となって対米輸出を増大させていったことを明らかにした。中国を輸出拠点とする国際分業の展開は,中国の付加価値貿易にも反映されていることを示した。
本稿では,ニューケインジアンモデルをベースにカルマンフィルターで得たデータを用いて,ECB(European Central Bank)の政策正常化を採り扱う。1. 自然利子率自体の水準と,2. 自然利子率の政策弾力性の観点から非伝統的金融政策の政策正常化による民間投資逸失利益のコストの観点から,ECBは自然利子率の水準が低いうちに政策正常化を開始すべきであるという結論に至った。