自分が生涯の専門とする領域は何なのか?医学はモラトリアムの期間が長いので,いろいろな試行錯誤があり得る。その試行錯誤はまさに個人の人生の姿そのものであるのだろう。「呼吸」と「呼吸器」という言葉を使い分けるのは,私の人生の履歴として,明確に違いがあるからである。「呼吸器」は肺を中心としたhealth and diseaseとして臨床的色合いを持った言葉である。医学を志し,肺の病気を専攻する一般の呼吸器科医にとっては,「呼吸」という用語で,呼吸中枢調節異常や,COPD口すぼめ呼吸などを思い浮かべることだろう。