コンピュータ&エデュケーション
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32 巻
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特集 「今様のICT」
  • 渡部 信一
    2012 年32 巻 p. 10-15
    発行日: 2012/06/01
    公開日: 2014/09/01
    ジャーナル フリー
    これまでのテクノロジーは,短時間で効率よく学習するための「便利な道具」として活用されてきた。しかし,社会システムの行き詰まりや大震災を経験した現在,従来の考え方から一歩前進した人間とテクノロジーの新たな関係,そして「学び」とテクノロジーの新たな関係の探求が強く求められている。本稿では,筆者がこれまで10年あまりの間に実施してきた6つのプロジェクトを紹介するとともに,そこから見えてきた「学び」に対するテクノロジーの新たな役割を示す。結論を言えば,これからの「超デジタル時代」では,人間の感性を刺激し「学びの質」にまで影響するようなテクノロジー活用が重要になるだろう。
  • ―学習に組み込まれたテスト―
    池田 央
    2012 年32 巻 p. 16-21
    発行日: 2012/06/01
    公開日: 2014/09/01
    ジャーナル フリー
    学習は教師と生徒の絶えざる情報交換によって促進される。テストは生徒からのフォーマルな情報発信の役割を持つが,生徒の人数が多く,またテストの回数が増えると教師はそれを処理できない。各生徒がPCを持つ時代では,処理の一部を各自のPCが分担し,e-テスティングが生まれる。しかし学習プロセスの中に組み込まれたテストが生徒の学習ナビゲータとして役立つには,教材開発,問題設計,解答処理,データの蓄積,フィードバックの仕方など,個々の反応データを集めそれを集約する技術がうまく機能する学習管理システムの構築が大事である。ここではそれに係わる人たちが前もって考えていた方がよいと思われる事項を挙げ,そのための一助となることをテスト理論と技術の立場から考えてみた。
  • ―最新技術と今後の方向―
    石岡 恒憲
    2012 年32 巻 p. 22-28
    発行日: 2012/06/01
    公開日: 2014/09/01
    ジャーナル フリー
    従来の紙筆テストに替わって行なわれつつあるコンピュータによる作文テストについて,NAEP(全米学力調査)を例にとり,その仕様や電子化の背景,及び自動採点されない理由について考察する。またNAEPで実施されていない作文の自動採点について,GMAT(Graduate Management Admission Test)やMCAT(Medical College Admission Test)で使われている,代表的な採点システムの現在の仕様を紹介するとともに,ETS(Educational Testing Service)が進めている,教師による作文指導を支援するシステムText Adaptorについて詳解する。現在は,書かれた作文の内容,構文について意味的な評価・コメントを与えることや,段落構造の自然な流れについての評価など,より高度な処理に関心が移りつつある。
  • ―『株式学習ゲーム』による金融教育の効果―
    太郎良 留美
    2012 年32 巻 p. 29-34
    発行日: 2012/06/01
    公開日: 2014/09/01
    ジャーナル フリー
    筆者は短期大学における金融教育の一環として「株式学習ゲーム」を実践した。この教材は実際の株価に基づいて株式の模擬売買を行うシミュレーションゲームであり,コンピュータリテラシーの養成も期待できる。短期大学の演習授業に「株式学習ゲーム」を取り入れた理由は,消費者を取り巻く経済環境の変化が著しいという背景があるが,同時に,金融教育を通して,短期大学に求められる教育的役割を果たすことができると考えたためである。短期大学における教育には,教養教育とその基礎のうえに立った実務教育・職業教育を目指すことが求められている。短期大学には,将来を担う若者たちに社会情勢の急激な変化に対応できる能力や知識習得を支援しなければならない使命が課されている。それには単に職業に直結する技能や資格取得を目指すことだけではなく,社会の変化に対応できる課題探求能力や専門的知識の涵養を図る教育プログラムが必要であり,短期大学の役割はそこにあると考える。
  • ―中学・高等学校での課題とこれからの可能性―
    橘 孝博, 吉田 賢史
    2012 年32 巻 p. 35-40
    発行日: 2012/06/01
    公開日: 2014/09/01
    ジャーナル フリー
    ICT(Information and Communication Technology)教育のこれまでの10年を振りかえり,その展開を概観する。はじめに,高等学校での情報科に関して,歴史や教育目標などを確認する。その上で,現在のICT教育の取り組みにおける問題点や課題を考察し,最近よく耳にするようになったデジタルネイティヴたちにどのように対応できるのかも考えてみたい。さらに,高度情報通信社会に積極的に参画するために必要な,情報モラルについても議論する。最後に教育現場におけるこれからの情報化について,いくつかの観点から話題を提供する。
活用事例
論文
  • カレイラ松崎 順子
    2012 年32 巻 p. 53-58
    発行日: 2012/06/01
    公開日: 2014/09/01
    ジャーナル フリー
    2004年2月14日に韓国の教育人的資源部は所得格差が教育機会の不平等を招いているとし,家庭の私教育費の負担を段階的に解決し,公教育を正常化するために,2004年4月1日からEducational Broadcasting System(EBS)の大学修学能力試験(修能試験)のための講座を開始し,修能試験対策講座の専門サイトであるEBSiをオープンした。本研究ではEBSiの電子掲示板である「コミュニティ」に焦点をあて,学生は「コミュニティ」をどのように活用し,評価しているのかを明らかにする。また,EBSiを「放課後学校」に取り入れている高等学校と取り入れていない高等学校において「コミュニティ」の使用率などにおいてどのように異なるかを明らかにしていく。調査対象者はEBSiを「放課後学校」に取り入れている高等学校(85名)およびEBSiを「放課後学校」に取り入れていない高等学校(123名)の2年生である。質問紙調査の結果,「コミュニティ」を読むのは入試の情報を得るためであり,一方で,「コミュニティ」に書き込むのは講義の内容を質問するためであることが明らかになったが,概して利用率が低く,十分に「コミュニティ」を活用していないようであった。さらに,「放課後学校」にEBSiを行う時間を取り入れている高等学校のほうが「コミュニティ」を積極的に活用していた。
  • ―漢字を媒体とした語彙知識移転を目指して―
    袁 広偉, 葛 崎偉, 成富 敬
    2012 年32 巻 p. 59-64
    発行日: 2012/06/01
    公開日: 2014/09/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,中国人日本語学習者向けの日本語語彙e-learningシステムの構築に向け,中国語語彙知識の日本語語彙への移転を検討している。まずは,著者らのこれまでの研究結果を踏まえ,日本語と中国語の間に語彙の類似性について分析する。その分析結果を用いて,語彙イメージ連結マップを提案する。最後に,語彙要素とイメージ表象の連携を強める学習法を提示する。
  • ―異なる学習背景を持つ大学生学習者に対するアンケート評価より―
    金 義鎭, 金 惠鎭
    2012 年32 巻 p. 65-70
    発行日: 2012/06/01
    公開日: 2014/09/01
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,著者達が開発した手書き韓国語の文字を認識するソフトウェア(以下,手書き電子教材)が韓国語の学習に有益であることを分析的に示すことにある。分析には異なる習熟度の学習者からの調査データ(18項目への3段階評価)を利用した。統計分析は,性別と習熟度に着目したコレスポンデンス分析と多分割表によるχ2検定を用いた。その結果,初学者には韓国語の文字の構成や理解,韓国語の文字に親しんだ経験者にあっても単語の記憶や文法の学習に効果があることが示唆された。
  • 次郎丸 沢, 松尾 徳朗
    2012 年32 巻 p. 71-76
    発行日: 2012/06/01
    公開日: 2014/09/01
    ジャーナル フリー
    多くの私立大学において,学生の就職難は問題視されている。現在の就職試験はSPIなどの筆記試験の重要度が増しているが,選抜性の低い大学に通う大学生に対する効果的な筆記試験対策手法が確立されていない。本論文では,当該大学生の指導支援向けの筆記試験対策システムOMES(Order-Made Education System)を提案する。本システムは,講座中に指導者が使用する。ひとつの講座は,講義と演習をセットとしたユニットで構成される。本システムは,学力やバックグラウンドの異なる学生に対応した演習問題をリアルタイムに探索し,効果的に就職支援のための講座を実施することを実現する。OMESを用いない従来型の講座においては,演習問題がすべての学生の学力に応じていないため,学生が意欲を失うなどの問題が出ていた。一方,OMESを導入することで,学生の意欲を維持することが出来,受講し続けたいと思う学習者が増えたことが確認された。
編集後記
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