コンピュータ&エデュケーション
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50 巻
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特集「COVID-19 パンデミックと遠隔講義 我等(CIEC)斯く戦えり」
  • 毒島 雄二, 田中 絵里子, 小林 貴之, 大川内 隆朗
    2021 年 50 巻 p. 12-15
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

     日本大学文理学部における,新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて実施された遠隔授業について,学部共通のシステムとしてのLMSのクラウド移行を含む環境の整備を行うとともに,学生及び教員へのサポート体制の整備を実施した。本稿では,遠隔授業をささえるサポート体制についての取り組みの整理とその実績に対する評価を行い,今後の課題について考察する。

  • -2019年度の対面授業と2020年度の非対面授業との比較において-
    菅原 良, 鈴木 浩子
    2021 年 50 巻 p. 16-19
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

     緊急事態宣言を受け,明星大学では1年次前期必修科目であり小グループによる対面授業をアクティブ・ラーニングで実施するように設計されている「自立と体験1」を非対面授業に再構成して実施した。その結果,非対面授業であってもオンライン会議ツールと様々な教材を適切に組み合わせて使うことによって対面授業に劣らない品質の授業を展開することができる可能性が示された。

  • -小樽商科大学の取り組み事例-
    田島 貴裕, 大津 晶, 西出 崇, 藤原 健祐, 佐野 博之
    2021 年 50 巻 p. 20-23
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

     小樽商科大学では,コロナ禍以前からLMSやクリッカーを積極的に活用したアクティブラーニングや遠隔授業方法の開発に取り組んでいたが,必ずしも全教職員で情報共有している状態とは言えなかった。そこで,新型コロナへの対応として,オンライン授業に関するFDチームを発足し,サポート体制の整備,各種マニュアルの作成,FD研修会などを実施した。FD研修会では,オンライン授業の定義,著作権の取り扱い,試験の実施方法と成績評価,サポート体制などが課題として浮き彫りとなった。全学の授業改善アンケートの分析結果,どの学年の学生も,概ね問題なくオンライン授業で学習ができていることが確認された。

  • 安井 浩之, 伊藤 通子
    2021 年 50 巻 p. 24-27
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

     COVID-19感染症対策のための全面遠隔講義化に向け,全学的な研修会だけでは十分な準備ができないという教員からの声を背景に,ウェブ会議システムなどの一般的なツールを活用した「小規模学び合い型FD」と「オンラインFD駆け込み寺」という2つの教員間学び合い(相互研修型FD)環境を構築し,運用を行った。前期だけでなく,後期も引き続きFDが開催され,多くの参加者があった。今回構築した教員間学び合い環境は,一般的なツールだけで実現可能で,大きな負担を伴わず,柔軟な開催も可能であることから,変化の速い遠隔講義などの新しい教育方法の普及・発展に寄与するものと考える。

  • -COVID-19下における授業対応-
    永江 貴子
    2021 年 50 巻 p. 28-31
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

     本稿では,資格中国語という授業におけるオンデマンド型授業の実践について述べる。授業は,学習管理システム(LMS)上に学習内容と課題を提示した。その学習内容とは,e-learningで学生が学習する設問の指定である。同時に,学生がその設問で誤答した部分の解説を学生が視聴できるような解説サイトのリンクも表示した。この解説サイトは,学生のユーザビリティを考慮して筆者が新たに構築したサイトである。課題は,e-learningで学習した内容に関わる問題で,学生にその回答を課した。解説サイトに関し,履修者のアンケートを参照すると,半数以上が解説サイトを活用したことがわかった。一方で,サイトのアクセシビリティに関する問題がPCの操作が不得手な学生から生じたり,更に課題の未提出が続く学生も出た。

  • 森鼻 久美子, 中村 泰之, 清水 康弘, 水野 亮, 槇 亙介
    2021 年 50 巻 p. 32-35
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

     COVID-19パンデミックにより,大学でも対面講義・実験を実施することが難しく,部分的または全面的にオンラインで授業を行わざるを得ない状況となった。大学が展開する授業の中で特に学部1,2年生を対象とする全学教育における実験科目は,高校までに十分な実験を経験していない現在の大学生にとって基礎的な実験知識,技術を身につける上で重要な科目である。対面での教育効果が高い物理学実験において我々は,COVID-19パンデミックの中で,オンラインでの物理学実験を名古屋大学において実施した。実施した実験テーマは,ネットワークを用いた遠隔操作によるオシロスコープの実験と共振回路実験,ビデオオンデマンドによる重力加速度の測定実験,演示実験の動画配信とネットワークを介した遠隔操作による物性実験,ネットワーク上のプログラミングツールを用いたシミュレーション物理実験(モンテカルロシミュレーション)等多岐にわたる。教員と学生のやりとりが少なくなりがちなオンラインにおいて,我々は実験中や実験後に実験結果と考察について,オンライン会議システムを用いてフィードバックした。また,オンライン上でグループに分かれて行なった実験についてアンケートを実施した。その結果,グループで実験を行う方が満足度は高いことが分かった。

  • 岩居 弘樹
    2021 年 50 巻 p. 36-39
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

     2020年の1年生向けドイツ語クラスは,Zoomを利用し,学生とのコミュニケーションや学習状況の把握ができるさまざまなICTツールを活用しながら同時双方向授業を実施した。すでに対面授業で行っていた音声認識アプリによる発音トレーニングや,学習成果をビデオ撮影し共有するという取り組みも導入したが,特にビデオ撮影はオンライン授業でも学習モティベーションの維持に大きく寄与していた。また,グループ活動を通して一緒に学ぶ仲間ができたことも,モティベーションを高める重要な要因になっていた。

  • 北島 茂樹, 山中 脩也, 長 慎也, 今野 貴之
    2021 年 50 巻 p. 40-43
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,オンラインで効果を発揮するよう設計されたプログラミングの授業実践を,教育学部の2年生37名に対して行い,評価・分析をすることで,その成果と課題について検討することである。授業実践をSIEMアセスメント尺度で評価した結果,「授業構成因子」,「自発性因子」,「双方向性因子」の平均値の向上が有意であることが示され,モチベーションも全体として高い状態を維持しつつ向上が見られた。本実践から,遠隔による個別最適化された学びの環境の提供に向けての可能性が示唆された。

  • 𠮷田 拓也
    2021 年 50 巻 p. 44-47
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

     本稿では,COVID-19の影響下において,オンラインによる学習教材を開発して実践し,教室での授業と比較する質問紙調査を実施した。中学生155名,高校生237名を対象者にした調査結果では,中学生で「理解度」,高校生で「積極的な参加」を除くすべての項目で回答に有意な差がみられた。中でも「参加の容易さ」,「ハードウェア設定の障壁」,「発言の容易さ」については,中高共通で回答に有意な差がみられ,教室での授業に比べて,オンライン授業は,参加が容易であり,授業に積極的に参加できると評価した生徒が多かった。さらにオンライン授業のためのハードウェアの準備は,参加の障壁ではなかった生徒が多かった。これらのことから,本稿で示したオンライン教育について,生徒の前向きな反応が明らかになった。

  • 笹倉 理子, 中島 啓光
    2021 年 50 巻 p. 48-51
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

     電気通信大学では2016年度より,高校1~2(中等教育学校4~5)年生を対象に高大接続教育プログラムUECスクールを実施している。UECスクールには複数のプログラムが存在するが,このうち高大接続教室は,大学1年生の物理・化学の実験とレポート作成の基礎を学習する理科学実験と,プログラミング入門の2つの講座を実施している[1]。本報告では,2020年度の高大接続教室がCOVID-19の感染拡大の影響により,急遽,対面から遠隔に変更となり,そのために取り組んだ「多くの工夫」について報告する。

  • -マンガ教材と意見分析ツールを活用したオンライン授業-
    阿部 学, 谷山 大三郎
    2021 年 50 巻 p. 52-55
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

     コロナ禍の今だからこそ「SOSの出し方に関する教育」を実施することが重要だと考え,マンガ教材と意見分析ツールを活用したオンライン授業を構想し,小学校5年生(2クラス合同)を対象に実践した。実践の結果からは,本授業が概ね有効なものであったこと,マンガ教材や「書く・読む」活動の可能性,外部講師の役割の重要性などが示唆された。

  • 明石 萌子, 藤川 大祐, 阿部 学, 和田 翔太, 植木 久美
    2021 年 50 巻 p. 56-59
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

     筆者らは異文化間コミュニケーションについて学ぶ小学校高学年~中学生対象の授業を実施してきたが,新型コロナウイルスの影響で学校への出張が難しくなった。そこで本研究では,オンラインで上記の授業を行う方法を検討した。中学生を対象に各クラスと講師をZoomで繋いで授業を実施したところ,アンケートや学習者の感想から対面授業と同様の学習が可能であることが示された。他方,映像の乱れや,クラス間で声が混ざることによる学習者のストレスを軽減する方法に検討の余地があることがわかった。

実践論文
  • -文系学部生,文系学部出身社会人の「データサイエンスへの抵抗感」に配慮して-
    綿貫 真也
    2021 年 50 巻 p. 60-65
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

     本研究では,マーケティング実務への応用を志向する文系学部生,文系学部出身の社会人を対象としたデータサイエンス学修カリキュラムの提案を行う。本提案カリキュラムの特徴は,人材育成目標をシチズンデータサイエンティストという具体的な職能に設定し,データサイエンスに対する「抵抗感の低減」という学修意識の変化を最終的な学修効果とすることにより,バックキャスティング的に学修コンテンツの設計を行うことにある。本提案カリキュラムを大学講義にて実践し,当該カリキュラムの効果を平均共分散構造モデルによって検証した結果,学修後におけるデータサイエンスに対する抵抗感が,学修前に比して有意に低下したことから,本提案カリキュラムの有効性を検証することができた。

  • -クイズで効果的にドイツ語学習を楽しむ試み-
    大前 智美, 山岡 正和
    2021 年 50 巻 p. 66-71
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

     2020年はコロナの影響でオンライン授業の導入が必須となり,対面授業が再開されてもICT活用は後戻りできない状況となった。本研究は,大学初年次のドイツ語初級クラスでオンラインクイズツール「Kahoot!」と「Quizizz」を用いた授業実践を通し,クイズツールの比較,効果の検証を行なった実践研究である。まず「Kahoot!」と「Quizizz」の機能の比較を行い,2つのクイズツールを対面授業におけるICT活用という点から実際の授業に導入し,アンケートによって学生のクイズツールに対する評価と学習への効果を検証した。クイズツールの導入は他者との競争という面で学生の学習意欲を高め,画面表示を含めた操作性という点では「Quizizz」を用いた学習活動を高く評価するという結果が得られた。「Quizizz」はクイズ終了後の再チャレンジや出題された問題がフラッシュカードとして振り返り学習が可能な点を活かし,より効果的な学習を行うために有効なツールと考えられる。

  • 田場 真理, 石垣 恭子
    2021 年 50 巻 p. 72-77
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

     授業のオンライン化が加速し,グループワーク(GW)もオンライン上で実施されるケースが増えている。しかし、オンライン上GWにおいて、学生の態度や認知はどのような状況にあり、それがどのように学習成果へとつながるか、といった実態は明らかではない。本研究では,看護系大学生を対象に演習授業においてオンライン上GWを試みた後,アンケート調査によりオンライン上GWの実態として,学生の態度や認知,学習成果の状況を明らかにした。その後,さらに分析により学習成果に繋がる態度と認知の関係をモデル化した。結果,オンライン上GWにおいて,学生の学習理解の高まりには自信の高まりとの関係があり,自信の高まりにはGWの良さ,そしてGWへの貢献の双方の認知の高まりを伴うことが明らかとなった。他方で,やりがいやスキルといった態度の高まりや,事前学習,自室で授業参加,心理的安全性も,間接的に学習成果と関係することが明らかとなった。

  • 三井 一希, 佐藤 和紀, 渡邉 光浩, 中野 生子, 小出 泰久, 堀田 龍也
    2021 年 50 巻 p. 78-83
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

     本研究では,1人1台の情報端末を活用した児童の発表場面に,モバイルディスプレイを導入することの効果を検討した。その結果,モバイルディスプレイの導入前は,情報端末の画面サイズや画面の提示方法に困り感を持つ児童が一定数いたが,モバイルディスプレイの導入によってこれらの困り感が軽減され,グループ発表の場面にモバイルディスプレイが有効に作用する可能性が示唆された。また,モバイルディスプレイの活用を経験すると,多くの児童が必要感を持つことが示された。

  • 渡邉 光浩, 三井 一希, 佐藤 和紀, 中野 生子, 小出 泰久, 堀田 龍也
    2021 年 50 巻 p. 84-89
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

     本研究では,1人1台情報端末の環境で初めて学習する児童の情報端末や周辺機器等を操作するスキル(以下,ICT操作スキル)の習得状況を明らかにするため,1)キーボードによる日本語入力の速度と2)基本的な操作やアプリの操作の習得に関する意識を調査した。キーボードによる日本語入力は,活用開始から2か月,3か月,4か月と入力速度が有意に速くなり,文章を見たままに入力する視写入力の方が,文章を読んで考えたことなどを入力する思考入力より速いが,4か月でその差が縮まった。また,基本的な操作やアプリの操作は,活用の多い基本操作や授業支援,プレゼンテーションのアプリから身に付き始め,4カ月で多くの学習ツールなどのアプリの操作が身に付く一方,4か月を経過しても難しい操作や活用の少ないものの操作はまだ身に付かないことが明らかになった。

  • -コロナ禍における代替案ではなく,「留学体験」を取り入れた最善案の実現にむけて-
    近藤 雪絵, 角本 幹夫, 服部 尚樹
    2021 年 50 巻 p. 90-95
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/12/01
    ジャーナル フリー

     世界的に新型コロナウィルスの感染が拡大する状況下において,オンライン留学プログラムの開発は急務である。本稿の目的は,立命館大学薬学部が2021年2月に実施したカナダのトロント小児病院とのオンライン留学プログラムの概要を報告し,「留学体験」という観点で今後のオンライン留学プログラム開発に向けて成果と改善点を抽出することである。参加学生への事後アンケートの結果から,トロント小児病院の講義だけでなく,立命館大学側で提供したセッションが学生にとって有益であり,留学先の講義の理解や異文化理解を深めたことがわかった。また,Slackのワークスペースが連絡手段としてだけでなく,学生同士をつなぎ,引率教員から必要なサポートを即座に提供できるバーチャルな空間として機能したことがわかった。このように,留学プログラムを授業のオンライン受講ではなく「留学体験」とするためには,留学先が提供する授業以外の点でも工夫が必要となる。今後,オンライン留学プログラムを開発するにあたり,セッションの提供元を留学渡航先や学生の所属大学に限定せず,よりグローバルな視点からプログラムを創り上げることが,時宜にかないつつも代替案ではない最善のオンラインプログラムに繋がると考えられる。

研究ノート
実践報告
ソフトウェアレビュー
誤植のお詫びと訂正
  • 寺尾 敦
    2021 年 50 巻 p. 118
    発行日: 2021/06/01
    公開日: 2021/06/01
    ジャーナル フリー

    『コンピュータ&エデュケーション』Vol.49のp.62からp.65に掲載された実践報告「Thai MOOCにおける他国の教育機関による講座開講の実践」吉嶺加奈子において,著者が最終的に提出した原稿でのTableタイトルとは異なるTableタイトルが印刷されるという誤りが生じました。組版において,別の論文でのTableを流用して編集を行ったとき,その別の論文でのTableタイトルが残されてしまったことが原因です。

     著者校正は行われていたとはいえ,このような誤りが生じることは著者にはまったく想定できないことであり,著者に責任はないと考えます。著者にお詫びいたします。組版と印刷を行った大日本印刷株式会社では,今後このような誤りが生じないよう注意いたします。

     当該論文でのTable 1(Vol.49, p.62)を,以下に示すように訂正いたします。

編集後記
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