神奈川県の丹沢山地ではブナババチの大発生が頻発し,度重なる食害によりブナの衰弱や枯死が発生している.天敵相の解明の一環として,2008年から2010年にかけて天王寺尾根で採取したブナハバチの繭を飼育し,羽化してくる捕食寄生蜂相を調べた.その結果,ヒメバチ科10種とセイボウ科1種の捕食寄生蜂が羽化した.ヒメバチ科の捕食寄生蜂は未記載種が多いトガリヒメバチ亜科,フタオヒメバチ亜科,ハバチヤドリヒメバチ亜科に属しており,既知種に同定できる種はなかった.3年間の羽化個体数の合計はCteniscus sp. Aが52個体,Aptesis sp. Aが25個体,Cteniscus sp. Bが17個体,Endasys sp.が11個体であり,これらの合計で全体の86.8%を占めた.ヒメバチ科については同定を容易にするため,図解検索表を作成した.
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