1.日本産トンボ目2亜目5科10属15種の卵巣形態を観察し,その詳細な形態や構造を明らかにした.
2.トンボ目の卵巣前端は,中胸後背板前縁の内突起下から生じ,その末端は第8腹節の産卵管または産卵弁に開口する.
3.これまでトンボ目の卵巣で「側輸卵管」と呼ばれてきた部分は,その機能及び構造から,他の目の昆虫でcalyxと側輸卵管と呼ばれる2つの器官に分けられる.
4.卵巣小管は,calyx腹面のほぼ全面にわたって規則的に配列し,開口する.
5.卵巣小管の平均数は著しい種間差および種内変異がみられるが,均翅亜目やアカネ属といったグループにおいては,他のグループよりも平均数にまとまりが見られた.
6.卵巣全体は,一部のハエ目において成虫期にも観察されるperitoneal sheathと構造的に類似した膜質で覆われる.
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