1) 富山県の山地(標高330 m,標高664 m,および標高1,120 m)に2009年7~9月の約2か月間連続して合計6機のマレーズトラップを設置し,ゴミムシ類5亜科27種76個体を捕獲した.
2) 捕獲個体数がもっとも多かった種はハラアカモリヒラタゴミムシで,全個体数の21.1%を占めた.そして,ホソアトキリゴミムシ(18.4%),オオズケゴモクムシ(7.9%)と続いた.ハラアカモリヒラタゴミムシとホソアトキリゴミムシは,どちらも樹上で生活することが知られており,よく飛翔する可能性が高いと考えられた.
3) ナガゴミムシ亜科,ゴモクムシ亜科,アトキリゴミムシ亜科は,種数個体数ともに多く捕獲された.これらのうち,ナガゴミムシ亜科については,種数個体数ともにヒラタゴミムシ族がその大部分を占めた.本調査とピットフォールトラップによる先行研究とでは,捕獲された亜科の構成が大きく異なっていた.これは,捕獲方法の違いに起因する可能性が高いと考えられた.
4) ナガゴミムシ亜科は,すべての標高で捕獲され,標高664 mと標高1,120 mで種数が多かった.ゴモクムシ亜科は,標高330 mと標高664 mで種数が多かったが,標高1,120 mではまったく捕獲されなかった.アトキリゴミムシ亜科は,標高330 mではまったく捕獲されなかったが,標高1,120 mでは種数が多かった.
5) マレーズトラップはゴミムシ類の捕獲に有用であるといえる.特定の地域のゴミムシ相全体を把握するためには,従来のピットフォールトラップに,マレーズトラップやライトトラップなどを組み合わせて調査を行うことが望ましいといえる.
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