小笠原諸島父島において, 貯穀害虫およびその天敵類の種類相を明らかにするために, 貯穀環境およびその周辺部でトラップ等を用いた採集調査を行った.その結果, オナガシミCtenolepisma longicaudata Escherich, コヒゲジロハサミムシEuborellia annulipes (Lucas), ワモンゴキブリPeriplaneta americana(Linnaeus), ミナミナガカメムシClerada apicicornis Signoret, ヨツボシキノコカスミカメFulvius anthocoroides(Reuter), ヒロズコガ科の一種Opogona sacchari(Bojer), ヒロズコガ科の一種Tineidae gen. spp. 2種, メイガ科の一種Pyralis sp., アメリカミズアブHermetia illucens(Linnaeus), クロチビエンマムシCarcinops pumilio(Erichson), パークホソカタムシEuxestus parki Wollaston, Murmidius ovalis(Beck), ヒメゴミムシダマシAlphitobius laevigatus(Fabricius), コクヌストモドキTribolium castaneum(Herbst), カドムネチビヒラタムシPlaconotus testaceus(Fabricius)およびツヤオオズアリPheidole megacephala(Fabricius)の8目16種の昆虫類が得られた.これらのうち貯穀害虫として知られるものはヒメゴミムシダマシ, コクヌストモドキの2種のみであった.また貯穀害虫の天敵として従来より知られているものはクロチビエンマムシのみであったが, ミナミナガカメムシとヨツボシキノコカスミカメの2種のカメムシも, その幼虫がヒラタコクヌストモドキ幼虫を餌として発育し, 成虫に羽化したことから, 貯穀害虫の天敵であると考えられた.
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