(1) 斑油蠶を中性赤にて生體染色すると皮膚の不透明部は濃赤菫色に染色せらるゝに反し油部は極徴赤色に染まるか或は殆ど染色せられぬ。
(2) 班油蠶の頭部もマダラ性を呈し頂間板、頭楯、觸肢、小顋瘤状體、小顋肢、小願、單眼大額及び頂板等に於て濃赤菫染部と極淡乃至は殆ど不染色部を觀察し得る。
(3) 斑油蠶の中性赤による生體染色に於ては絹絲腺、フィリッピ腺、マルピギー氏管.唾腺, エノサイト、前胸帶状腺、紳経球等に於てもマダラ性を呈するが絹絲腺、マをピギー氏管、唾腺、エノサイト竝に前胸帶状腺等に於ては皮膚の場合とは逆に油蠶遺傳子の發現する細胞の方が正常遺傳子の夫に比し濃赤色に染色する。
(4) 黒縞及び虎斑竝に之等の突然變異に黄體色を結合せしめたる場合に於ては白色部の真皮細胞中には黄色物質が沈積するに反しメラニン系黒色々素部位の真皮細胞中には黄色物質は形成せられぬ。
(5) 普通斑紋、暗色斑紋、褐圓斑及び褐色斑等と黄體色との結合に於ては黒褐色のメラニン系色素部位の真皮細胞は他の白色部同様黄色物質を生成する。
(6) 黒縞、虎斑竝に夫等の突然變異の正常體色蠶を中性赤によつて生體染色せしむると皮膚の白色部は濃赤菫色に染色せらるゝに反し黒色のメラニン系色素部位の真皮綱胞は殆ど染色せられぬ。
(7) 普通斑紋、暗色、褐圓、褐色斑竝に飛白等を中性赤によつて生體染色すると黒色及び褐色の色素部位の眞皮細胞は白色部の夫と同様に雰色に染まる。
(8) 暗色蠶の突然變異たるMtと黄體色との交雜種より分離する4表現型間に斑紋、體色、氣門の節板色、蛹體色、蛾の翅斑紋等に種々なる差異を認め得る。
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