日本蚕糸学雑誌
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20 巻, 2 号
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  • (I) 桑交雜に於けるPost-harvest pollination
    杉山 多四郎
    1951 年 20 巻 2 号 p. 79-83
    発行日: 1951/04/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    從來の桑の交雜技術上の不備な点を除いて手軽に確実な人為交雜極子を得る目的で弐のようた実験を行つた。すなわち前年生長の休眠期をすぎた枝條を発芽前に圃場から切りとつて2.5-5.0℃ に冷藏し, 随時これを取り出して普通の挿木に用いるようた2-3芽を有する3-4寸の雌雄夫々の挿穗をつくり, 先端の1芽を残して他は除去し, これを簡單な温床設備を利用して挿穗の基部に25℃ 前後の熱を与えて発根の予措を行つた後, 他の鉢に移植するかあるいはそつまま熱の刺戟を除去しただけで開花後交雜を行つて人為交雜種子を得ることができた。
    この方法によれば從來の桑の交雑技術上の欠点を除去し, たお遠隔地の親樹を自由に選択したり, 枝條の長期冷藏が可能なことを利用して開花條件をかなり自由に変更することも可能であつて, 圃場または大きな植木鉢に栽植されている親樹を利用すろ從來の桑の交雜技術に優ることが期待される。
    またこの技術はいわゆるPost-harvest pollinationを木本性植物に適用した1例と考えてよく, 更に実験を進めることによつて將來桑の遺傳及び育種研究上の交雑技衛として十分な価値があると思われろ。
  • (I) 培養子坐の色彩並びに発育型
    松尾 卓見
    1951 年 20 巻 2 号 p. 84-91
    発行日: 1951/04/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    桑芽枯病菌40培養系についてその培養中に生産する色素並びに発育型について分類を試みた。供試培養基は蜜柑皮煎汁寒天, 1及び5%葡萄糖加馬鈴薯煎汁寒天, 蒸米及び馬鈴薯円筒の5試驗管培養墓であり, 25℃ で培養1ケ月後に調査した。
    1) 培養中生産する色素の著しいものをA, B2系統に区分し, その両色素系生産の有無によつて各培養系をA型, AB型, B型及び一型 (両系とも生産しないもの) の4型に分類することができる。
    2) 発育型については, 室中菌糸, 菌核, Sporodochia, Pionnotes及び粉状胞子出現の有無によつて10型に分類することができる。
    3) これら両性質の「種」または「生態種」分類上の意義については後報にゆする。
  • 室賀 兵左衞門
    1951 年 20 巻 2 号 p. 92-94
    発行日: 1951/04/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
  • 櫻井 基, 門田 久士, 松本 正
    1951 年 20 巻 2 号 p. 95-99
    発行日: 1951/04/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    The writers examined every day the specific gravity of the blood of silkworms from the beginning of the 2nd stage of larvae to the last day of moths by means of the copper sulphate method of R. A. Phillips et al. The results obtained are as follows:
    1) It is certified that the tendency of rise and fall of the specific gravity of the blood is about the same in every one of the 2 nd-5 th stages; namely, the specific gravity of the blood rises rapidly until the voraceous period after a little descent at first, and then falls again until the setting in molt or the spinning period.
    2) In the pupal stage the specific gravity of the blood descends gradually though sometimes it rises a little at the beginning, and falls rapidly at the end.
    3) The specific gravity of the blood of moths ascends speedily about first 3 days and then descends slowly to the death. The writers explained these changes of specific gravity as follows:
    4) At the beginning of each larval stage, the nutriment in the blood is consumed by the restoration of molting period and so the specific gravity descends.
  • 入戸野 康彦
    1951 年 20 巻 2 号 p. 100-105
    発行日: 1951/04/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1) 從來の諸成績からみて家蚕体液のチロシナーゼ作用と変態との間には相当密接な関係があるように思われる。
    2) 4令脱皮60時間目, 5令起蚕及び4日目に頭部と前胸部との間を結紮した蚕の体液のチロシナーゼ作用を結紮翌日あるいは翌々日に測定したところ, 絶食蚕のそれに比較して強い。また5令起蚕及び4日目の蚕について第3腹環節と第4腹環節との間を結紮して結紮部位の前牛と後牛との体液チロシナーゼ作用を比較すると, 前半と後牛との間に差異を認めない場合が多い。しかるに5令起蚕及び4日目の蚕の頭部と胸部との問及び第3腹環節と第4腹環節との間の2ケ所を結紮した場合は, 体液チロシナーゼ作用は腹部結紮部位の前孚は後牛よりもはるかに強い。しかし以上のような結紮がチロシナーゼ作用に及ぼす影響は5令6, 7日目あるいは8日目に結紮した場合には現われない。
    3) 以上の成績から, 少くとも5令4日目頃までは蚕の頭部にはチロシナーゼ抑制作用があり, 胸部にはチロシナーゼ促進作用があるので, 頭部と胸部の間を結紮すると体液のチロシナーゼ作用が強くなり, 頭部と胸部との闇及び第3腹環節と第4環節との問の2ケ所を結紮すると腹部結紮部位の前半のチロシナーゼ作用が強くなり, 第3腹環節と第4腹環節との間を結紮すると結紮部位の前半と後牛との間には体液チロシナーゼ作用に大差のない場合が多いのではないかと思われる。またチロシナーゼ抑制作用及びチロシナーゼ促進作用は5令6, 7日目あるいは8日目には失われるのではないかと思われる。そしてそのチロシナーゼ抑制作用をcorpora allataホルモンの作用に, チロシナーゼ促進作用を前胸腺ホルモンの作用に帰する可能性もあるが, これについては更に検討する必要がある。
  • (III) 蚕による桑葉中ビタミンCの攝取利用の状況に就いて
    蒲生 俊興, 関 博夫, 故瀧 沢七朗
    1951 年 20 巻 2 号 p. 106-110
    発行日: 1951/04/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    第5令蚕発育中毎日の給与桑葉及び蚕糞中に含まれる還元型V. C量を測定して毎日の還元型V.Cの吸收量を測定し, さらに消食管及び血液の一部を除去した蚕体, 絹糸腺並びに残りの蚕体諸組織内に於ける還元型V. Cの留存量並びに消耗量などを調査した。その結果を概録すれば次のとおりである。
    1) 還元型V. Cの食下及び排泄1頭1日のV. C食下量 (♀♂平均) は5日目ころ最も多く5.4mgくらいに達し, 蚕糞中のV. C含量は2日目ころ最も多く1日間に凡そ0.19mgである。
    2) 還元型V. Cの吸收1日間のV. C吸收量は5日目ころ最高に達し凡そ5mgくらいであり, その近似吸收率は平均96%を示している。
    3) 蚕体内還元型V. Cの含有量1頭の蚕体 (浩食管及び血液を除く) に含まれる。V. C量は6日目0.9mgに達し, 絹糸腺では0.24mg, 残りの諸組織中には0.67mgである。の蚕体内組織器官のV.C留存率蚕体 (消食管及び血液を除く) 内に於けるV. C留存率は1日目最も多くV. C吸牧量の凡そ12%に達し, 2日目から一時低下するが4日目から再び増加する。絹糸腺中へのV. C留存率は2日目から急に増加して6日目ころには4.6%に達し, なお残りの諸組織内のV. C留存率は1日目ころ最も多く約11%に達し, 2日目から一時低下し5日目に再び増加する。
    5) 蚕の成長と還元型V. Cの浩耗発育中24時間内に消耗されるV. C量は3-5日目ころ最高値を示し凡そ4mgに達するが, その消耗率は6日目ころ最も多く平均99%を示している。
    6) 單位生体重の成長と還元型V. C量蚕体重 (消食管及び血液を除く) 1gの成長に必要なV. C吸收量は4-5日目ころ最も多く22mgを示し, そのうち蚕体内に留存する量は僅に1.2mgにすぎないがその消耗量は21mgに達する。
  • (III) 呼吸気流に就いて
    布目 順郎
    1951 年 20 巻 2 号 p. 111-127
    発行日: 1951/04/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1. This was studied on the gasdynamic relation of the tidal air to the respiratory organ.
    2. The flow of the tidal air in the respiratory organ is considered as a laminar flow, the Reynolds number of which is small.
    3. Unless there is excessive turbulence in the open air, the flow which is composed of radial stream lines seems to be arised in just outer side of the stigma, at this time the atmospheric pressure decreases as it approaches toward the stigma. The rate of decrease of the atmospheric pressure ∞1/(distance from stigma) 4and this is significant when the outside of the stigma is considered as the extension of the stigma.
    4. The size of the angle (121.6°-178.9°) between two tangents drawn from the boundary portion between the peritreme and the sieve plate to the body surface around the stigma is inversely proportional to the size of stigma in most cases. This trumpet-shaped curvature seems to make the flow of the inspiration smooth and consequently increases the quantity of the inspiration. If the circumference of the stigma was angular, the air would not be able to change its direction smoothly because of its inertia even after it has already reached to the entrance.
    5. At the boundary portion between the peritreme and the sieve plate, the velocity of the inspiration flow seems to be considerably fast, as the flow must move around the angle of 30°-40°.
    6. According to the opening and closing of stigma, the velocity of the tidal air flow seems to vary in a wave form. The sudden increase of the velocity when it opens reaches the clown-stream, which seems to increase the quantity of the inspiration. The quantity of the inspiration on the atrial valve side seems to be always larger than that on the opposite side.
    7. The trachea becomes gradually narrower as it goes further from the stigma, . In such a shape of the trachea, the velocity of inspiration seems to become gradually faster as it goes toward the down-stream by changing a part of the pressure of inspiration into the energy of motion. The trachea which is located near the stigma becomes gradually wider as it goes further from the stigma. In such a shape of the trachea, a part of the energy of motion of the inspiration seems to change into pressure with a high rate in the direction of the down-stream. The latter shape of the trachea is nothing but the former one when placed the other way around. Therefore, this shape seems to make the flow of the expiration easy, and hereupon the theory, that the carbonic acid gas is isolated into \V de trachea also, will be said to be affirmed.
    8. Compared to all other trachea, in the sack-like trachea in the 8th abdominal segment:
    (1) The shape of its transverse section is elliptical. The frictional drag of the flow in the elliptical tube can be considered smaller than when it is transformed into a circular tube. Therefore, the quantity of the fluid seems to increase that much.
    (2) The dimension of its transverse section is larger than the longitudinal trachea (×1.39). Consequently the quantity of the fluid seems to increase that much.
    (3) The angle of narrowing in some branches from the sack-like tracheae (approx.19°) is large compared to other tracheae (less than 8°) and tracheoles (less than 2°). This also seems to increase the quantity of the fluid, since it is said that, the larger the “Siborarekata”(angle of narrowing) is, the less the loss of energy of the flow is.
  • 石森 直入, 武藤 聰雄
    1951 年 20 巻 2 号 p. 128-131
    発行日: 1951/04/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
  • 田中 義麿
    1951 年 20 巻 2 号 p. 132-138
    発行日: 1951/04/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1) 柞蚕の休眼性支配に関しては從來全く文献を見なかつたが, 著者は柞蚕蛹の越年不越年 が遺傳的素質と日長, 温度, 飼料等の環境要素とによつて決定されることを確めた。
    2) 中でも幼虫期の光週効果は決定的で, 第1, 第2化期ともに日長処理だけで全部越年させることも或いは全部不越年にすることも意のままである。
    3) 幼虫期は稚蚕と壮蚕とを問わず, 短日は越年化, 長日は不越年化の方向に働き, その効果は同一処理に遭遇させる期間の長短に比例し, 蚕令の老若には関係がない。卵期は反対に短日不越年化, 長日越年化の現象が認められたが, これにはなお幾分疑問がある。蛹期は殆んど日長の影響を受けない。
    4) 1晝夜を單位とする日長処理に於て完全な短日として作用するのは1日5-13時間明で, 長日作用は16時間以上の照明に於て完全に発現し, 14-14.5時間は中間日長として中性的に作用する。換言すれば中間日長の場合は遺傳的特性または他の環境要素の影響が最もよく発現する。
    5) 2晝夜單位の場合は48時間のうち39時間以上明が長日, 37時間以下が短 (日として働き, 3晝夜單位の処理に於ては72時間のうち62時間以上明が長日, 60時間以下が短日として作用する。
    6) 常暗及び常明はそれぞれ短日及び長日の極端な場合として作用せず, 両者の効果は相伯仲してほぼ中間日長に近い。しかし精査すれば常暗は常明に比して幾分越年化の傾向がある。光週効果の完全な発現には, 明暗が一定の週期を以て交替することが必須條件である。
    7) 光週効果が單に日の長さに支配されるというのも, 反対に夜の長さで決定されるというのも共に正しい表現でない。日長, 夜長とも一定の継続時間を必要とする。
    8) 柞蚕の光週性は單眼を通じて起るものではなく, 恐らく全身の皮膚に光線の刺戟を感受するためであろう。
    9) 越年性の強弱に関し量的に種々の段階の存することが不時発蛾その他の実驗結果から推測される。
    10) 越年性に関するA, Bという2つの物質を仮定した。A物質は明中に於て光化学的に形成せられ, B物質は暗中に於てA物質より化成される。B物質が一定量に達すれば蛹体は硬化して越年性を帯び, それ以下では蛹体は柔軟で不越年となる。A物質の生成には比較的短い明時間, B物質の転化には稍々長い暗継続時間が必要である。
    11) 越年性の支配は実際上並びに研究上幾多の重要な応用領域を有する。
  • (II) 前部糸腺の分泌物に就いて
    中川 義和
    1951 年 20 巻 2 号 p. 139-145
    発行日: 1951/04/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    オビヒトリの前部糸腺は他に類例のない形態をとり, 分泌腺化するのでその内容物について調査した。
    1) 成熟期に前部糸腺は肥大して腺腔内に液状絹を充たすが, これは前部糸腺の構成細胞の分泌したものである。
    2) この液状絹は2種の混合物で, 同一の腺細胞から別々に分泌され, 一つは第2 fibroinといい粘稠度は高く僅かにoxyphylに反応するfibroin様物質 (固定標本では流雲状物質) であり, 他は粘稠度の低いbasiphylのsericinである。
    3) 中部糸腺には2種の絹糸物質があり, その1つはfibroinで中軸をなす円柱及び成熟期にそれを取り巻く多数の小滴として存在し, 他はそれらを囲繞しているsericinである。後部糸腺にはfibroin, がある。
    4) 営繭期に吐糸直後の繭糸を見ると念珠状に膠質状物質 (糸膠) が附着している。これは繭糸が交叉重複するとき互に附着し合つて繭を網目状にする役目をしている。眠中の掛糸では左右の絹糸腺に由來する2本の繊糸は1本に合着せず且糸膠も見られないから, 糸膠は営繭期に特有のもので肥大した前部糸腺から分泌されたものである。
    5) 繭糸の構造は左右の絹糸腺に由來する繊糸が並行合着し, 更に前部糸腺の液状絹に由來する糸膠が点々とこれに附着している。各繊糸は2層に分れ, 周辺部は顆粒状に染るsericinであり, 中心部は均質なeosin嗜好性のfibroinである。更にその中にsericinの芯が通つているものもある。なお糸膠は基質と顆粒質とに染め分けることができる。
    6) 前部糸腺の分泌物 (糸膠) は2本の繊糸を1本の繭糸に合着し, 且営繭時に各繭糸の交叉及び重複した処を互に粘着させて繭を網目状にする接着劑としての働きを有している。
  • (I) 二・三のアミノ酸の挙動
    中西 正喜
    1951 年 20 巻 2 号 p. 146-148
    発行日: 1951/04/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
  • 浜田 成義, 本多 恒雄, 大沢 一衛, 齊藤 金兵衛, 大谷 章, 櫻井 仁, 柳沢 新一, 横川 正一, 田島 彌太郎, 原田 忠次, ...
    1951 年 20 巻 2 号 p. 151-167
    発行日: 1951/04/25
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1.桑樹のTR相関々係について
    2.2信性桑と6倍性桑との難種の細胞学的研究
    3.2・4-Dの土壌面撤布による除草について
    4夏作緑肥大豆群蚕一号に就いて
    5.桑園に於ける家畜飼料自給度に関する試驗
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