1) 人為的単性生殖法と人工孵化法とを併用したものから多くの畸型蚕を得た。ここでは主としてこれ等の畸型蚕のうちで腹部の畸型と, これに関連して起つた卵巣の異常現象 (数, 位置及び導管) を取り扱つた。
2) 腹部における畸型現象の多くは第8体節及びその前後の体節に起つた。
3) 腹部の畸型と卵巣の異常との間には密接な関連があるが, 勿論例外も稀に見受けられる。
4) 卵巣の数に於ては1,3及び4個のものが見出された。4個を有する場合には体の両側に2個ずつ位し, 3個の場合には片側に2個位していた。
5) 卵巣の位置は後部のものは第8体節で, それより下部の体節には発見されなかつた。前部の卵集は第7体節または第6体節に位し, 中には1体節に2個の接着卵巣を有するものもあつた。
6) 体の片側に2個の卵巣を有するものの導管は多くの場合共通であつたが, 時には個々独立的のものもあつた。
7) 卵巣内の卵管は正常のものに比べて小さいが卵管内の構造, 細胞の配列状態は正常のものと同様である。
8) 卵原細胞には45個以上の染色体が数えられたから, 正常のものと同様に56個を有するものとみなしてよい。
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