日本蚕糸学雑誌
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20 巻, 6 号
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  • 有賀 久雄, 吉武 成美, 石川 誠男
    1952 年 20 巻 6 号 p. 399-402
    発行日: 1952/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1) ペーバークロマトグラフ法により黄体色蚕 (lem) と正常蚕 (+lem) とを比較しつつ, Xanthopterin-B の幼虫期における消長を調べ, あわせて Leucopterin-B についても調査した。
    2) Xanthopterin-B は lem の皮膚 (眞皮細胞) に多量に存在し, 血液へは第4眠中において少量溶出し, 最終糞には多量に排泄される。
    3) Leucopterin-B は+lemにおいて lem に存在する Xanthopterin-B とほぼ同様の消長が認められる。lem では Leucopterin-B の含量が明かに少ない。
  • 長谷川 金作
    1952 年 20 巻 6 号 p. 403-406
    発行日: 1952/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1) 越年卵を産む蛹を化蛹直後第6, 7腹節の間で体の前方に卵巣があるように結紮し, 直ちに後部を除去して放置し, これが羽化した後その卵の越年, 不越年性を EHRLICH の Diazo 反応によつて調べた結果, 第7腹節以後の蛹体後部がなくても越年的傾向の卵が生産された。
    2) 化蛹直後第3, 4腹節の間で卵巣が後部にあるように結紮してそのまま放置した場合の発育した卵には, 無処理区と同様に越年的傾向の強いものもあるが, 不越年的傾向のあるものもあつた。
    3) 化蛹直後断頭すると化蛾したものは不越年卵を多く産み, また化蛾産卵しなかつた全ての個体の卵には不越年的傾向のもの示含まれていた。
    4) 以上の結果から蚕の化性を決定する部位は蛹体の前部, とくに頭部あるいは頭部附近であると思われる。
  • 佐々木 靜
    1952 年 20 巻 6 号 p. 407-412
    発行日: 1952/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 河合 孝
    1952 年 20 巻 6 号 p. 413-417
    発行日: 1952/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    越年蚕種を冬季に洗落を行うと死卵が多発し孵化不良となるが, この原因が洗落用水の水温にあるか, または洗落時期までの蚕種の保護温度によるものかを明らかにするために実験を行い, 次のような結果を得た。
    1) 洗落区は対照区に比べて孵化歩合・最多2日孵化歩合ともに不良であつた。
    2) 洗落区に於ては5℃区のほうが15℃区に比べて死卵が多発し, 両孵化歩合ともに著しく不良であり, とくに2月1日区の洗落区は最も孵化不良である。
    3) したがつて自然温度に保護した蚕種に於ては, 冬季洗落を実施する際には15℃以下の用水の使用を避け, とくに新潟県の平坦地に於ては1月中旬より2月上旬までの間は絶対に避けるべきである。
    4) 5℃の水で洗落する際は蚕種が3.6~6.4℃の平均気温に接する日数が増加するにつれて両孵化歩合ともに不良になり, とくた3.5℃以下の日数が30日未満で3.6~6.4℃の日に最も多く接した時期が両孵化歩合とも最も不良になり, それ以後は3.5℃以下の日に接することが増加するにつれて両孵化歩合ともに良くなつてゆく。
    5) 越年蚕種を12月初旬以降15,10及び5℃の水で洗落すると, 5℃区から最も多く再出卵が発生し, 水温の高いほど発生が少い傾向にある。なお再出卵の発生の最も少なかつたのは12月15日区であつた。
  • 佐藤 春太郎, 田中 茂光
    1952 年 20 巻 6 号 p. 418-422
    発行日: 1952/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1) 人為的単性生殖法と人工孵化法とを併用したものから多くの畸型蚕を得た。ここでは主としてこれ等の畸型蚕のうちで腹部の畸型と, これに関連して起つた卵巣の異常現象 (数, 位置及び導管) を取り扱つた。
    2) 腹部における畸型現象の多くは第8体節及びその前後の体節に起つた。
    3) 腹部の畸型と卵巣の異常との間には密接な関連があるが, 勿論例外も稀に見受けられる。
    4) 卵巣の数に於ては1,3及び4個のものが見出された。4個を有する場合には体の両側に2個ずつ位し, 3個の場合には片側に2個位していた。
    5) 卵巣の位置は後部のものは第8体節で, それより下部の体節には発見されなかつた。前部の卵集は第7体節または第6体節に位し, 中には1体節に2個の接着卵巣を有するものもあつた。
    6) 体の片側に2個の卵巣を有するものの導管は多くの場合共通であつたが, 時には個々独立的のものもあつた。
    7) 卵巣内の卵管は正常のものに比べて小さいが卵管内の構造, 細胞の配列状態は正常のものと同様である。
    8) 卵原細胞には45個以上の染色体が数えられたから, 正常のものと同様に56個を有するものとみなしてよい。
  • (III) 蚕の行動から見た合理的給桑法について
    竹内 好武
    1952 年 20 巻 6 号 p. 423-430
    発行日: 1952/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • (II) 二, 三硬化病菌の病原性及び昆虫体液中に於ける発芽発育 (1)
    青木 清, 中里 泰夫, 藤本 勲
    1952 年 20 巻 6 号 p. 431-438
    発行日: 1952/06/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    以上硬化病菌の病原性及び昆虫体液中に於ける発芽発育比較試験の結果を概括すると次のとおりである。
    1)家蚕, 〓蛆及びスキムシに夫々最も多く見出される白彊病菌, 赤彊病菌及び黄彊病菌のこれら3種の寄主昆虫相互に対する病原性は, それぞれの菌が自然に於て最も多く見出された寄主昆虫に対して最も大きかつた。
    2) 白彊病菌の病原性は, 家蚕に近縁な桑蚕に対してよりも家蚕自身に対して強く, さらに同じ家蚕でも蚕品種によつて大差のあることを確かめた。
    3) 白彊病菌の病原性が蚕の令期に余り関係なく常に強いのに対し, 線彊病菌の家蚕に対する病原性は令期によつて大差があり, 稚蚕に対して強く壯蚕に対しそは急激に低下すること並びにその潜伏期間が白彊病菌に比較して遙かに長いことを確かめ, さらに緑彊病が主として第3眠前後に一斉に多発する理由に就いて考察した。
    4) 白彊病菌, 赤彊病菌及び黄彊病菌の家蚕, 〓蛆及びスキムシに対する病原性の強弱並びに緑彊病菌の各令期の蚕に対する病原性の大小は, それらの菌の昆虫体液中に於ける胞子の発芽率, 発芽管伸長の速度及び円筒形胞子形成の早晩と全く平行関係にあることを確かめた。
  • 吉武 成美, 有賀 久雄, 渡邊 兵一郎
    1952 年 20 巻 6 号 p. 439-443
    発行日: 1952/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    スペクトロホトメーターを用いて家蚕の各種斑紋系につき, 斑紋色素の吸收曲線をしらべた。
    1) 斑紋色素の化学的性質, 紫外部における吸收曲線及び可視部における吸收曲線から, これらの色素はメラニンであることを明らかにした。
    2) 第1の方法で精製した試料の吸收曲線には2900Åに吸收極大が見られるが, これは精製の不備によつて混入した物質の影響であると考えられる。
    3) 斑紋系の外皮色素は表現型は異つており色々な色調を示すが, この色調の相違はメラニンの質的な差異によるものではなく, 結合状態, 重合状態などによる量的な差異にもとずくものであろうと考察した。
  • 福田 紀文
    1952 年 20 巻 6 号 p. 444-447
    発行日: 1952/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    ある範囲内に於ける糖の増給は, 消化窒素の蚕及び絹糸腺への留存率を高める結果になり, さらに絶食生命時数をも長くさせることができる。
  • (I) 家蚕の趨化性と桑葉の臭気に就いて
    佐々木 周郁, 渡辺 忠雄, 田阪 由正
    1952 年 20 巻 6 号 p. 448-452
    発行日: 1952/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1) Forty kinds of leaves were investigated as to the chemotropism of silkworm. On the whole, these leaves exhibited more or less positive, and the leaves of soy-bean, mulberry and tea possessed the strong chemotropism.
    2) Several kinds of commercial volatile acids, alcohols, aldehydes and ketones showed scarcely positive in this test.
    3) Volatile substances were fractionated from the mulberry leaves. The neutral fraction (b. p. 100-170°C.) was positive, but the acidic and basic fractions were negative.
  • 堀田 禎吉
    1952 年 20 巻 6 号 p. 453-457
    発行日: 1952/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    アマクサグワ (Morus Miyabeana) の他にヤマグワ系にクカメバグワ (var. Hamadai) の1変種およびミズホグワ系にキンリュー (var. inflexa) の1変種, ロソウ系においてフイリロソウ (f. flavoviridia) の1品種を創定した。また野生種としてシマグワ系のテリハシマグワ (var. glabra) の1変種を九州地方において発見し, ヤマグワ系のケヤマグワ (var. pubescens), キレバケヤマグワ (var. vestita), タチバナワセ (var. Tachibanawase), ザラバグワ (var. asperata), オニヤマグワ (var. diabolica), キリサキヤマグワ (var. subulata) の6変種およびオキナヤマグワ (f. anormalis) の1品種を本州において発見した。さらに4栽培種についてその類縁関係を確認した。
  • 相田 二三夫, 藤原 茂正
    1952 年 20 巻 6 号 p. 458-465
    発行日: 1952/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1) 東京附近に於ける品種園植栽の285品種の桑樹に就いて, 冬期間の樹色を色名帖により肉眼鑑定を行い4色群17色種に分類した。
    2) 枝條を組織学的に観察した結果樹色の構成はつぎの要素によるものとした。
    a) 木栓層の色と層数及びその厚さ b) 木栓皮層並びに初生皮層の色及びその厚さ c) 表皮細胞とくに角皮の色とその厚さ
    3) 色名帖により選定した枝條の樹色と組織学的観察を綜合考察して, 桑樹の1年生枝條に於ける樹色は2)のa)及びb)の色の合色を以て基本色となし, これにc)の色を加色することによつて帯灰色を呈するものと推論したが, 後者は屡々枝條の方位とくに南北により樹色の色調を異にする。
    4) 春季樹液の流動開始は固有の樹色を転色させるが, とくにG色群品種は顕著に緑色度を増加した。
  • 勝又 藤夫
    1952 年 20 巻 6 号 p. 466
    発行日: 1952/06/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 1952 年 20 巻 6 号 p. e1
    発行日: 1952年
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
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