日本蚕糸学雑誌
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21 巻, 5-6 号
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  • 相田 二三夫
    1952 年 21 巻 5-6 号 p. 215-222
    発行日: 1952/12/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    現在我国に栽培されている桑樹250余の品種を環境條件を同じくする一ケ所に集めて栽植したものに就いてまず文献に照してこれ等を系統的に分類し, つぎに同一の方法によつて一斉に雌花の外部形態すなわち雌花穗の大小, 雌花の着生方, 雌花数, 花柱の長さ, 柱頭の形態と長さ, 花被の大小及びその長巾率等を求め, 各系統ごとにその系統の特徴を完全に具えたもの (仮りに代表品種または基本種と呼称する) の現わす数値を比較の基準として1つの類別法を試みてみた。元々本観察の目的が直接個々の品種に対する分類を意図するものでなかつたため, その観察の結果は遺伝学的な検討を省いた従来の分類法と全く同様であつて, 極めて表型的なものに過ぎなかつた。また供試品種中には基準となる代表品種が少く, かつ調査の項目を雌花に限定したために, 求め得られた数値から直ちに眞の系統的な差異と断定することは勿論できないが, ただ花柱の長さ, 雌花の着生方, 柱頭の形態等は比較的系統間の差異を顕著に示したのに反して, その他のものは傾向程度であつた。さらに現在の分類法が表型的であるという考えの下に各系統を構成する品種の分布を求め, 幾つかの類型の存在することを確めた。
  • (I) 病原菌の培養上の性質について
    横川 正一
    1952 年 21 巻 5-6 号 p. 223-228
    発行日: 1952/12/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    桑の紫紋羽病菌Helicobasidium Mompa TANAKAを罹病桑樹から純粹分離し, 桑樹に対する病原性を確認し, その培養菌糸を用いて培養上の性質について試験した。
    1) 滅菌直後の蒸溜水, 再蒸溜水中では移植後30日までは発育しなかつたが, 井水中では発育することを認めた。
    2) 2%加糖馬鈴薯煎汁寒天, 同桑皮煎汁寒天, 同蚕蛹煎汁寒天, 醤油寒天, 麹汁寒天, 肉汁寒天, 土壤煎汁寒天の何れにも発育するが, 最も良かつたのは前2者で, 僅かに発育したのは土壤煎汁寒天であつた。寄主 (桑皮) 培地ではよく生育するが, 加糖のものが稍々良好であつた。
    3) 本菌の発育は25℃附近で最も良好であつた。
    4) 本菌の発育にはpH価6.2から5.0内外の酸性側が良かつた。
    5) 本菌の発育は Bouillon, Beef Extract, 1% Pepton等の粗蛋白質ではその濃度の小さくなるほど劣るが, 原液から64倍稀釈までは僅かに発育し卵黄, 卵白では生・煮ともに発育し, その際卵白よりも卵黄, 生よりも煮熟したものが良好であつた。一般に粗蛋白質にはよく発育するが菌叢, 培地の色調は稍々黒味を帯びた褐色を呈する。炭水化物では Starch soluble, Corn starch の20~0.1%, Dextrin, Glycerin, Glucose の5~0.1%は何れも発育するが, 濃度の低下とともに発育は劣る。概して炭水化物では色調は鮮褐色である。粗脂肪では動物性, 植物性ともに発育しなかつた。無蛋白培養液として USCHINSKY液, FRAENKEL液, PROSKAUER u. BECK液及びCOHN液について調べたが, USCHINSKY液で発育最もよく, COHN液は劣る。
    6) 気中酸素の存否と発育との関係は, 寒天高層穿刺培養の表面並びに酸素が存在すると考えられる穿刺上半部には発育したが, 内部及び流動パラフィンを注加したものでは発育しなかつた。また酸素を完全に除去したものにも発育しない。過酸化水素を用いたものには発育はしたが空中菌糸は認められなかつた。
  • (IV) 桑樹根端細胞における polysomaty について
    関 博夫
    1952 年 21 巻 5-6 号 p. 229-231
    発行日: 1952/12/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
  • 桑原 昂
    1952 年 21 巻 5-6 号 p. 232-234
    発行日: 1952/12/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
  • 平田 行
    1952 年 21 巻 5-6 号 p. 235-236
    発行日: 1952/12/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    本実験の結果を概録すると次のようになる。
    1) 生繭々層は乾繭々層より含有蝋質物量は多い。
    2) 生繭々層から抽出された蝋質物は白色蝋状を呈するが, 乾繭々層から得られたものは茶褐色油脂状である。
    3) 解じよ率, 解じよ格ともに大なるものはその含有蝋質物量は多い。
  • 坂手 栄, 川口 和夫, 佐藤 清夫
    1952 年 21 巻 5-6 号 p. 237-239
    発行日: 1952/12/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    1) 家蚕繭の螢光性物質と雌雄との関係を観るため実験を行つた。
    2) 繭をメタノールで抽出し paper chromatography で分離したが, 繭螢光色の如何にかかわらずRf 0.82~0.75明青螢光性物質と0.59~0.52青紫螢光性物質を有し, 黄螢光繭 (殆んど♂) はこれらの外に紫螢光繭 (大部分♀) より2つの黄螢光性物質 (Rf0.05及び0.02) を多く持つていた。
    3) 各抽出物質は極めて類似した紫外線吸收スペクトル曲線を示した。
  • (I) 家蚕蛾吸胃液セリシナーゼの分別セリシンA及びBに対する作用
    西沢 一俊, 小河原 茂
    1952 年 21 巻 5-6 号 p. 240-244
    発行日: 1952/12/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    The observation has been carried out, with a view to find out possible differences between the behavior of sericin fractions A ans B, prepared by means of the MOSHER's method, toward protease in the sucking stomach of silkworm moth just before emergence. The results obtained are summarized as follows.
    1) The activity-pH curves of A and B show almost entirely similar form, maximum of which lies on about pH 8.0 in both curves.
    2) The curves of the activity-substrate concentration are also similar form, which rise rapidly to the concentration of the total nitrogen of 80mg. %, but the investigation was obliged to abolish at higher concentration than this for the sake of difficulty of measuring.
    3) A and B fractions of sericin are hydrolyzed by sericinase almost in the same extent at the same substrate concentration as well as pH.
  • 高見 丈夫
    1952 年 21 巻 5-6 号 p. 245-251
    発行日: 1952/12/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    卵黄粒団形成の当初には, 脂肪性卵黄が核を中心にして濃厚に集合し, 黒種ではこの状態がその後数日の間明瞭に持続するが, 即浸を施すとこれが蛋白性卵黄の間に分散し始め, 早いものでは20時間前後, 遅いものでも40時間で分散を完了する。これは100倍以下の低倍率で簡単に生体観察することができ, 分散の遅れた卵は孵化も遅れ, 浸酸刺戟の不足な卵には分散が起らない。生種では分散の完了が即浸卵よりも半日~1日早いが生種, 即浸種ともに冷蔵の適期はそれぞれのこの完了期に一致するらしい。卵を冷蔵すると脂肪性卵黄の分散が促進されて半分散型を呈するため, 冷蔵浸酸では即浸の場合ほど明快な脂肪分散の変化を示さないが, これは冷蔵長期に亘る卵はそのまま催青しても可成りの数の卵が孵化に進み得るのであるから, むしろ当然のことである。
    夕刻から夜間にかけての産卵は翌朝になると, 分裂核の有無により100倍前後の倍率で簡単に受精卵か不受精卵かを識別できる。浸酸の翌日になつても着色しない卵を生種か不受精卵か識別することは, 卵黄粒団の有無によればよいから一層簡単である。
  • 加藤 勝
    1952 年 21 巻 5-6 号 p. 252
    発行日: 1952/12/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
  • (1) 洗落用水の温度と再出卵の発生との関係
    河合 孝
    1952 年 21 巻 5-6 号 p. 253-254
    発行日: 1952/12/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    1) With the object to investigate the relation between the temperature for washing water in course of production of loose-formed eggs and unseasonal hatching, the diapause eggs of silkworms were washed in the water of 20°, 15° and 5°C, at various intervals from July to October, and the washed eggs were maintained in the temperature of 25°C. on and after the washing so that the eggs thereby activated might hatched.
    2) By stochastica, it was shown that unseasonal hatching had a tendency to occur more numerous in the water-temperature of 5°C. than in 15° and 20°C.
  • (I) 蚕卵における油蚕性並びに黄体色性遺伝子の発現たついて
    有賀 久雄, 吉武 成美, 江口 正治
    1952 年 21 巻 5-6 号 p. 255-263
    発行日: 1952/12/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    od油蚕遺伝子及び黄体色遺伝子の作用発現の機構を究明するために, 卵漿液膜色素形成とod遺伝子の作用, 並びに卵におけるキサントプテリンBとlem遺伝子の作用との関係について検討を行い, あわせて他の螢光物質とくにリボフラビン及びプテリンの調査をした。
    1) od油蚕にみられる卵漿液膜の淡色を呈する現象は, 母体から卵に移行するS1物質 (仮称) がod遺伝子の作用発現に密接に関連し, +w2遺伝子がその作用を開始して後, しばらくしてod遺伝子はその独特の作用を発現し, その後od遺伝子によつて生成されたS2物質 (仮称) が, 3ヒドロオキシキヌレニンを色素にする+w2遺伝子の働に対して抑制的に働く結果として生起することによるものと考えられる。
    2) 黄体色蚕ではその皮膚中に存在するキサントプテリンBがその卵にも存在するが, この一部は母体から卵内に移行したものである。また少くとも休眠期より前の時期においてlem遺伝子がその作用を発現して, キサントプテリンBを他の物質から卵内で合成することを認めた。
    3) 卵中のリボフラビン量は, od油蚕は正常系に比して少ないが, 黄体色蚕その他の系統においては正常系と大差ない。また卵の発育に伴うリボフラビンの変化をしらべた結果, やや増加の傾向がみられた。
  • 清水 滋, 伊藤 豊雄
    1952 年 21 巻 5-6 号 p. 264-268
    発行日: 1952/12/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
  • 岩成 義才
    1952 年 21 巻 5-6 号 p. 269-272
    発行日: 1952/12/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    VAN SLYKEの体液ガス測定器を用いて蚕児の体液中の炭酸ガス, 酸素及び窒素を測定して次の結果を得た。
    1) 炭酸ガス, 酸素, 窒素ともに血漿中に存在する。
    2) したがつて測定に当つては, 高等動物のように溶血剤を必要としない。
    3) 雌のほうが雄より多い傾向を示した。
    4) 5令中の推移は眠中に少く, 餉食とともに増加し, 炭酸ガスは第1日, 酸素は第2日目を最高として以後漸減して熟蚕に至る。
    5) 上蔟後は漸次減少し, 上蔟後36時間のころ最低に達し, その後幾分増加するが蛹になると再び減少する。
    6) 黄血と白血の間には差は見られない。
    7) 蚕を桑から離すと時間の経過とともにガス含量は減少するが, 一定時間離桑した後1時間食桑させるとまた離桑前と同じ程度に回復する。
    8) 生体呼出炭酸ガス量及び吸入酸素量を併せて測定した結果, 呼出炭酸ガス量の約70%は体液を通じて呼出されるが, 酸素はわずかに2%弱が体液中に移行するにすぎない。
  • (II) 早熟蚕
    入戸野 康彦
    1952 年 21 巻 5-6 号 p. 273-275
    発行日: 1952/12/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    1) 4令餉食38~45時間後に頭部と前胸部との間を絹糸で結紮したため5令にならずに成熟し化蛹する蚕児 (早熟蚕) と, 同時期から絶食させた結果そのまま斃死する蚕児 (絶食蚕) につき, p-cresol 及び brenzcatechin を基質として加えた場合の血液の酸素消費量 (いわゆるチロシナーゼ作用) をWARBURGの検圧計を用いて処理6日後まで毎日1~2回ずつ測定した。
    2) 早熟蚕も絶食蚕もその血液のいわゆるチロシナーゼ作用の消長は基質としてp-cresol を加えた場合と brenzcatechin を加えた場合とでは異る傾向を示し, 基質による差が認められた。
    3) 結紮した蚕児はアラタ体ホルモンの移行が妨げられる結果, その血液のいわゆるチロシナーゼ作用の消長が同時期から絶食させた蚕児のそれとは一致せず, むしろアラタ体ホルモンの分泌を終つた5令4日目以後の正常な蚕児のそれとよく一致するととが確認された。
  • 清水 滋, 堀内 彬明
    1952 年 21 巻 5-6 号 p. 276-279
    発行日: 1952/12/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
  • 室賀 政邦
    1952 年 21 巻 5-6 号 p. 280-282
    発行日: 1952/12/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    1) 收穫した桑葉に0.1%, 0.5%, 1%, 2%及び5%の尿素を添付し, これを3眠蚕の第3令から第4令 (13日間) に亘つて毎日給与した。
    2) 尿素添食区はいずれも正常蚕に比し明らかに尿素の害を認めた。
    3) これは尿素を添付した桑葉を蚕児は嫌い食桑は不振となり, ひいては栄養不良となるためと思われる。
  • 小林 勝利
    1952 年 21 巻 5-6 号 p. 283-288
    発行日: 1952/12/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    以上の結果から次のことが明らかになつた。
    1) 家蚕幼虫の稚蚕期脱皮腺も壯蚕期と同様に部位によつて空胞型及び顆粒型に分けられ, 第1腹節脱皮腺は前者に属し, 第8腹節のそれは後者である。
    2) 空胞型にみられる空胞及び顆粒型の顆粒は何れも稚蚕期には壯蚕期より少数である。
    3) 稚蚕期に於ける分枝核の分枝は壯蚕期より少い。
    4) CHAMPY液固定の脱皮期の空胞型脱皮腺の空胞及び核内にリポイド性物質と思われるものを認めたが, 顆粒型には全く認められなかつた。
    5) ニンヒドリン及びキサントプロテン反応の結果, 顆粒型脱皮腺の腺細胞にはベンゼン核を有する蛋白質も含まれていることが明白になつたが, 空胞型脱皮腺にはこのものが存在するとしても極めて少量であろう。
  • 市川 信一
    1952 年 21 巻 5-6 号 p. 289
    発行日: 1952/12/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
  • 関戸 一正
    1952 年 21 巻 5-6 号 p. 290-294
    発行日: 1952/12/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
  • 森 精, 向山 文雄
    1952 年 21 巻 5-6 号 p. 295-297
    発行日: 1952/12/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    第5令の蚕の右側絹糸腺を左右合一部近くで切断してその後の絹糸腺の肥大成長を調べ, またこのような手術を施した蚕の繭糸について調べたところ, つぎのような結果を得た。
    1) 切断しても熟蚕期までは左右の絹糸腺の肥大成長は正常のものと違いはないが, 営繭後に化蛹するものは殆んどない。
    2) 繭層重は半量以下となり糸長, 纎度もまた減ずる。また繭糸の纎度曲線の形には大差はないが, 纎度開差は小さくなる。
    3) 繭糸は片側の絹糸腺を切断しても同じ形であるが, ブランの形は変化して繭糸の形と同じく扁平な楕円形になる。
  • 佐野 利男
    1952 年 21 巻 5-6 号 p. 298-301
    発行日: 1952/12/30
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    1) 1950, '51年に発生した糸片虫病の蚕から採取した老熟幼虫について研究した。
    2) 発病期は毎年中秋蚕期にだけ発生し, 春蚕期及び晩々秋蚕期には全く発病しない。
    3) 被害の程度は飼育期間中に於ける降水量と密接な関連がある。
    4) 病徴は軟化病 (空頭性, 下痢性) に酷似する。
    5) 自然状態下に於ては, 蚕児1頭に対して3頭以上寄生する例は全くなかつた。
    6) 在宿日数は寄生数の少い場合に短く, 多い場合に長い傾向が認められるが, 概ね14~18日である。
    7) 離脱部位は肛門が最も多く, ついで口器である。その他不定の部位からも離脱するが, 間膜等皮膚のやわらかい場所を選び離脱する。
    8) 離脱直後に於ける老熟幼虫 (第二次幼虫) の大きさは, 体長が平均476mm, 体幅0.446mm附近である。なお尾角は長さ71.2μ, 基部の幅28.7μくらいあるが, 中には自己切断によつて尾角が中断され, 臍状になつているものもある。
    9) 離脱直後に於ける第二次幼虫は, 寄主屍体の附近に螺旋状に輪をつくり靜止し, 水気がなければそのまま乾涸して死に至る。したがつて蚕を離脱したものが土中へのがれて成虫, 卵の時代を経過して再び蚕に寄生するとは考えられない。しかし離脱後3時間以内に水溜あるいは土中に埋沒するような場合があれば, 再び元気を回復して自在生活を行うものもある。
  • 1952 年 21 巻 5-6 号 p. e1a
    発行日: 1952年
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 1952 年 21 巻 5-6 号 p. e1b
    発行日: 1952年
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 1952 年 21 巻 5-6 号 p. e1c
    発行日: 1952年
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 1952 年 21 巻 5-6 号 p. e1d
    発行日: 1952年
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
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