日本蚕糸学雑誌
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21 巻, 4 号
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  • (I) 冷藏浸酸種の漿液膜細胞について
    沓掛 久雄, 黒岩 久平
    1953 年 21 巻 4 号 p. 163-166
    発行日: 1953/01/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1) 蚕卵の漿液膜細胞のカタラーゼ作用の消長を調べた。
    2) 冷蔵浸酸種 (冷蔵日数93日) の漿液膜細胞のカタラーゼ作用は浸酸区, 不浸酸区ともに出庫後12時間目から36~48時間目の間に急激に増加し, 72時間には低下してその後徐々に降下しつつ点青前日に至る。
    3) 出庫後再冷蔵するときは白ハゼ卵を発現する。その時期は24~48時間目に再冷蔵したものに多発する。
    4) 再冷蔵した場合に自ハゼ卵が多発する時期は, 漿液膜細胞のカタラーゼ作用もまた比較的旺盛になりつつあるときか, または旺盛のときであることを認めた。
  • 神岡 四郎
    1953 年 21 巻 4 号 p. 167-169
    発行日: 1953/01/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 鮎沢 啓夫
    1953 年 21 巻 4 号 p. 170-172
    発行日: 1953/01/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    家蚕膿病ウィールスを一括移植法によつてエリ蚕6代まで継代を行うことができた。すなわちエリ蚕は各代に亘つて家蚕型多角体を形成し, またこの継代に伴う感染実験の結果蚕蛹は定型的な膿病症状を示した。
  • 桑樹の水分経済に関する研究 (III)
    田崎 忠良, 小野寺 文夫
    1953 年 21 巻 4 号 p. 172
    発行日: 1953/01/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 神岡 四郎
    1953 年 21 巻 4 号 p. 173-175
    発行日: 1953/01/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    前額神経球を摘出した第4, 5令の蚕の酸素消費量をWARBURGの検圧法によつて25℃で測定し, つぎのような結果を得た。
    1) 単位生体重当りの酸素消費量は, 摘出当日及びその翌日くらいは多いが, 以後次第に少くなり斃死前には非常に少くなる。しかして斃死前は正常蚕より少いが, その他の時期には正常蚕と大体等しい値を有している。しかしその生理的意義は異つている。
    2) 酸素消費量は斃死の前日でも正常蚕の第4眠中のものと同じか, あるいはむしろ多いところからみて, 斃死前でも生命を維持するに足るだけの呼吸を営んでいると考えられる。したがつて前額神経球摘出蚕の斃死の原因としては, 体内における燃燒源の消盡, 体内における物質出入の不釣合及び体内における老廃物の停滞による一種の中毒などが考えられる。
  • 小林 勝利
    1953 年 21 巻 4 号 p. 176-182
    発行日: 1953/01/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1) 結紮蚕及び絶食蚕の前胸腺は形態学的には全く差異を認め得ない。
    2) 結紮蚕前胸腺の腺組織の活性化は絶食蚕のそれよりも早い。
    3) 前胸腺の分泌物質の生成及び分泌は核に接した細胞質部で, 核物質の協力の下に新生した小形の顆粒が細胞質の周辺へ肥大しつつ移動し, 漸次大形となり, 膨大化したものは崩壊して粘液となり, この粘液状物質が分泌されるように思われる。
    4) 分泌物質の構成は粘液蛋白及び lipoid 性の強い物質を主体とするものと考えられる。
  • 桑原 昂
    1953 年 21 巻 4 号 p. 183-184
    発行日: 1953/01/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 八木 壽直, 占部 誠亮
    1953 年 21 巻 4 号 p. 185-192
    発行日: 1953/01/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • (III) その肥大機構に就いて
    中川 義和
    1953 年 21 巻 4 号 p. 193-200
    発行日: 1953/01/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1) オビヒトリの前部糸腺が最終令であるVII令の3日目から肥大 (分泌腺化) する機構を
    しらべようとして, VI令及びVII令期に体躯結紮実験及び移植実験を行つた。
    2) VI令期を60時間経過した時期に頭・胸間を結紮すると, 令を1つ早めて前部糸腺を早期に肥大させることができる。ただしその虫体は蛹化しない。
    3) VII令期結紮では, 3日目までの未だ前部糸腺が肥大していないものは頭・胸間を結紮してアラタ体の影響を除いても肥大しない。
    4) 肥大の臨界期前に頭・胸間で結紮したVI令幼虫または蛹化の臨界期前のVII令幼虫に, 盛食期の前胸腺または脳を移植すると, 前者では前部糸腺の早期肥大を惹起し, 後者では蛹化を誘発する。
    5) 前部糸腺の肥大はVII令3日目からおこり, 蛹化の決定 (臨界期) はVII令9日目で時期に相違がある。これはともに同一要因 (前胸腺ホルモン) によつて誘発される現象であるが, 前部糸腺の肥大は幼虫器官としての発育成長相で反応閾値が低く, 蛹化は分化成長相であつて反応閾値が高いためと思われる。
  • (III) 越冬場所へ蟄伏の機構に就いて
    高田 亘啓
    1953 年 21 巻 4 号 p. 201-207
    発行日: 1953/01/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    クワノメイガの最終世代老熟幼虫が越冬場所に蟄伏する機擁を究明するため, 生態的な立場から種々の実験を行い次のような結果を得た。
    1) 蟄伏所内温度と蟄伏との間に相関々係が認められない。換言すれば上記の温度は蟄伏行動に影響しない。
    2) 多湿環境は蟄伏を著しく阻害する。これは陰性走湿性によるものでなく感差反応にもとずくものである。
    3) 陰性走光性, 陰性走日性及び走暗性を認める。
    4) 直径0.6~1.0cm程度のガラス管内に多数蟄伏する。あまり狹いかあるいは広い間隙には蟄伏し難い。一応この性質を走触性として記載したが, この語の適否に就いては今後の研究にまつ。
    5) 結局蟄伏所へ入るのは一定の湿度範囲の場所であれば, 走暗性及び走触性によるものと考えられる。
  • 斎藤 金兵衞
    1953 年 21 巻 4 号 p. 208-210
    発行日: 1953/01/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    以上の実験結果の大要を摘録すればつぎの様である。
    1) 椹の着色度によつて示す熟度と種子の発芽力は, 椹の熟期と密接なる関係を有するもので, 熟期の前期にあつては発芽力は椹の着色度によつて大なる差異を示すが, 椹の熟期の進むにしたがい漸次その差異は接近し, 後期には差異を示さなくなる。
    2) 発芽力の消長は黒熟種子では熟期に関係ないが, 緑熟種子では熟期によつて著しき差異がある。すなわち前期の恩のは発芽力の衰失が早いが後期に進むにしたがいその差は僅少となり, 黒熟種子に等しくなる。
    3) 熟期から種子の性状を見るに, 前期に於ては熟度によつて著しき差異を生ずるが, 熟期の進むにしたがいその差は減少し殆んど差異を認めないようになる。
  • (III) 現存桑樹品種中に器ける3倍性品種
    関 博夫
    1953 年 21 巻 4 号 p. 211-214
    発行日: 1953/01/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1) 著者は桑樹品種の倍数性を決定するため本学部品種見本桑園における約300品種の細胞学的研究を行い, その中70品種を3倍性と決定した。これ等3倍性品種中, 雌雄同株のものは総て雌雄同穂の花穗を若干着生している。
    2) 3倍性品種の体細胞及び核, 花粉母細胞及び核は2倍性品種のそれ等に比し大きい。
    3) 3倍性品種の花粉母細胞における第1分裂中期の染色体接合状態は3価染色体が多く, 後期において両極に分離する染色体数の実際の頻度は, 理論頻度と大体同一の傾向にある。
    4) 3倍性品種においては4分子形成は不規則で, 花粉の大きさの変異も2倍性品種に比して大きく, 花粉の発芽力は殆んどない。
    擱筆するに当り懇篤なる御指導を賜つた京都大学西山市三博士, 御援助と校閲の労をとられた本学部田口亮平博士並びに常に激励下されかつ校閲を賜つた佐藤春太郎博士に対して深甚なる謝意を表するとともに, 終始助力された押金健吾氏に深謝する。
    なお本研究は文部省科学研究費の一部を以て行つたものである。
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