日本蚕糸学雑誌
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22 巻, 6 号
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  • 清水 滋, 小林 勝利, 山下 幸雄
    1953 年 22 巻 6 号 p. 229-233
    発行日: 1953/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    第9腹節に1対の過剩気門を持つた Fuku, N4及びE18の3系統の蚕についてその遺伝を調べ剖検を行つた結果, 次の事が明らかになつた。
    1) Fuku, N4及びE18に現われる過剩気門は何れも正常蚕に対して劣性の単性遺伝的形質である。
    2) しかも3系統の過剩気門はその相互交雜によつて発現する事から, 総べてが同一の因子に因るものであると考えられる。
    3) 過剩気門は正常気門に比べて中央裂孔が広く開いている。
    4) よく発達したと思われる過剩気門には空気の入つた気管叢が発達し, 多少の機能がある様にも思われるが, 弁膜の開閉運動は見られず, 縱走気管との直接の連絡も認められない。
    5) 気門裏面腺及びエノサイトは気門の裏面に存在する環節器官であるが, 過剩気門の裏面にはその何れも認められなかつた。
  • 藤本 直正
    1953 年 22 巻 6 号 p. 234-238
    発行日: 1953/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 入戸野 康彦, 竹下 弘夫
    1953 年 22 巻 6 号 p. 239-242
    発行日: 1953/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    5齢2日目或は8日目 (熟蚕期) にその尾角を切り外傷を与えた蚕児の血液のチロシナーゼ作用を何等の処理をも加えない対照区の蚕児のそれと比較した。測定にはWARBURGの検圧計を用い, p-cresol 或は brenzcatechin を基質として加えた場合の血液の酸素消費量を以てチロシナーゼ作用をあらわした。その結果蚕児の血液のチロシナーゼ作用は外傷により活性化され対照区の蚕児のそれに比して大きく, 処理後3時間目に最大の開きを示した。しかしその後10時間目, 20~25時間目と漸次その開きが小さくなり, 35時間目には対照区と同一の値にまで復した。
    外傷を加える時期が5齢2日目であつても熟蚕期であつても全く同じ傾向を示したが前者の場合の方がチロシナーゼ作用活性化の程度が大きかつた。又基質としてp-cresol を用いても brenzcatechin を用いてもその傾向は全く同じであつたが, 後者の場合の方が活性化の程度が大きかつた。かくの如く蚕児の血液のチロシナーゼが外傷によつて活性化されるという事実はその機構は明かでないがチロシナーゼが外傷に伴う有害な影響を除去する役割を果していることを示唆しているものと思われる。
  • 福田 紀文, 松田 基一
    1953 年 22 巻 6 号 p. 243-247
    発行日: 1953/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1. 5齢6日目の蚕児〔支108 (旧)〕の器官および組織の無機成分を明かにするため, 定性分析は分光写眞器を用い, 定量分析は微量定量定量法により実施した。
    2. 蚕児の器官および組織から検出された無機成分はNa, K, Mg, Ca, P, Si, Cu, Mn, Zn, Fe, Al, Ti, V, Ag, Sr, Sn, Pb, NiおよびBの19種類である。そのうちNa, K, Mg Ca, P, SiおよびCuの7種類は器官および組織の調査したすべての試料から常に検出すことができた (第1表)。
    3. 蚕児の器官および組織, すなわち消食管, 絹糸腺, 脂肪組織, 体皮組織, マルピギー氏管, 体液, 睾丸および卵巣の各次分組成が明かにされている (第3表)。
    4. 消食管内容物およびマルピギー氏管を除いた蚕体内における各無機成分の分布が明かにされている (第5表)。
  • (VIII) 人工越冬冷藏期間並びに再冷藏温度較差と白ハゼ卵発現
    戸谷 和夫
    1953 年 22 巻 6 号 p. 248-251
    発行日: 1953/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1. 人工越冬冷蔵期間の長短竝びに浸酸後の保護温度と再冷蔵温度との較差と白ハゼ卵発現の関係について実験した。
    2. 白ハゼ卵の発現は人工越冬冷蔵40日間を中心として多発し易く, それより冷蔵日数が短くなるに従い, 又は長くなるに従つて減少する傾向が見られる。故に人工越冬冷蔵40日間頃は卵内胚子の状態が白ハゼ卵を多発し易い最も危険な時期になつていると言える。
    3. 再冷蔵温度較差は, たとえ20~25℃におよんでも, 0℃よりも遙かに高い温度内における較差と0℃以下の低温度内における較差の場合には自ハゼ卵の発現が少いところから見て, 自ハゼ卵の発現は再冷蔵温度を0℃附近にとつた場合にその温度較差に強く支配されるものと思われる。
  • (IX) 人工越冬冷藏卵の再冷藏期間と白ハゼ卵の発現竝びにその孵化状況
    戸谷 和夫
    1953 年 22 巻 6 号 p. 251-253
    発行日: 1953/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1. 冷蔵浸酸種の再冷蔵期間と白ハゼ卵の発現, およびその孵化状況について観察した。
    2. 人工越冬卵を冷浸後に2.5℃に再冷蔵した場合, その期間がたとえ僅か1時間であつても自ハゼ卵を発現する。
    3. 再冷蔵期間が1時間より長くなるに従い白ハゼ卵の発現は漸増するが, 1日以上の再冷蔵では20日に至るまで各区の間に大差が認められなかつた。
    4. 再冷蔵期間の長短により発現した白ハゼ卵の孵化率には大差を認めなかつた。
  • (I) 繰糸張力が生糸の強力, 伸度及び彈性に及ぼす影響
    中川 房吉
    1953 年 22 巻 6 号 p. 254-256
    発行日: 1953/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • (II) 揚返中の張力と生糸の強力及び伸度との関係
    中川 房吉
    1953 年 22 巻 6 号 p. 256-259
    発行日: 1953/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 橋本 弘儀
    1953 年 22 巻 6 号 p. 260-265
    発行日: 1953/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    (1) 玉繭生産量歩合の傾向を通年, 春蚕期及び夏秋蚕期別に検討した。なお統計的検定の必要があるものについては, 連による検定法を応用した。
    (2) 玉繭生産量歩合は全般的に減少傾向を辿つており, とくに1917年頃, 1930年前後及び1944年頃に大幅な減少がおこつている。
    (3) これらの諸傾向を春蚕期, 夏秋蚕期については蚕品種の面から考察し, 蔟器及び上蔟法等の面からの概略的な考察は通年について行つた。なお玉繭生産量歩合が蚕品種の変遷と高い相関関係にあることを, 戦後の春蚕を例にとつて順位相関係数を用いて検証した。
    (4) 1944年以降の玉繭生産量歩合には異常な傾向があることを, Mann のT検定を用いて検証した。しかしこれに対する結論は一応保留して, 春蚕期と夏秋蚕期との間に判然とした差が認められなくなつたことを指摘するに止めた。
  • 山崎 寿, 西村 国男, 松村 タカ子
    1953 年 22 巻 6 号 p. 266-268
    発行日: 1953/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 山崎 寿, 西村 国男, 田口 亮平
    1953 年 22 巻 6 号 p. 269-272
    発行日: 1953/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1. 栽植10年目の櫟樹を地表面近くで伐採し再生した枝條のうち一本を伸長せしめて主幹とし, その葉腋の夏芽の伸長による側枝の長さを測定した。而して翌年冬芽の着生位置と新梢の伸長生長との関係について調査した。
    2. 櫟樹の冬芽は5月中旬に萠芽を始めて, その後1年生枝條の伸長生長は6月上旬に一時生長の停止期があり, 6月中旬再び生長を開始し, その後7月下旬乃至8月上旬生長が停止する。1年生枝條の生長中途に於て一時生長の停止乃至減退期が出現するのは, 新梢の先端に於ける土用芽の形成によるものと思われる。
    3. 新梢の生長をその中途に於ける生長停止期を境として前後二つの生長環に分けてREBERTSON氏の生長式にて表示すると実測値と計算値とは良く一致する。
    4. 一年生主幹葉腋の夏芽の伸長による側枝の長さは下方より生づるもの程大で上方になる程次第に小となる。二年生の主幹上部に直接着生する冬芽の伸長による側枝の長さは先端のものほど大で下方に於て小となる。その結果主幹の先端より下方全長の1/3位のところより直接生づる側枝が最も短く, その上方及び下方に着生する側枝の長さはこれより明かに大である。
    5. 二年生主幹の略々中央部より上方に, 上枝中枝及び下枝の三つの新梢を選び, その各々の伸長生長の状態をROBERTSON式のKによつて比較すると, 上位の新梢程前期及び後期の生長を通じてKの値が大で, 生長曲線の上昇が急激である。又新梢の生長量Aは, 前期及び後期を通じて, 下位の新梢が最も多く, 上位の新梢が之に次ぎ, 中位の新梢が最も少い。
  • 山崎 寿, 西村 国男, 田口 亮平
    1953 年 22 巻 6 号 p. 273-278
    発行日: 1953/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1. 枝條の伐採と再生現象との関係を究明するため6年生櫟樹を用い, 主幹と側枝 (上枝, 下枝) とを5月下旬に2年生部位, 3年生部位及び4年生部位で伐採した3区をもうけ, 再生枝條の伸長を比較検討した。
    2. 櫟樹の新梢の生長曲線は前後二つの生長環に分けられる (第1報) が, 再生生長曲線に於ては一つの生長環の場合と二つの生長環の場合とが現れる。
    即ち主幹を伐採した場合或は側枝の伐採でもその程度の著しいときは伐採部位よりの再生生長の曲線は共に一つの生長環となり, 側枝の伐採に於て, その程度の少い場合は, その部位よりの再生生長の曲線は二つの生長環に分けられる。
    3. 各伐採区間及び主幹, 側枝間の再生現象を比較するため, すべて一つの生長環としてROBERTSON氏の生長式を適用しその恒数によつて再生状態を比較検討して見ると次の如くである。
    (i) 枝條の伐採によつて切除された部分の少いものは, 切除された部分の多いものよりも再生生長が早く起る。
    (ii) 一般に, 切除された部分の多いもの程再生曲線の上昇が急激であり, 再生量も大である傾向が認められる。
  • 綜合抄録
    有賀 久雄
    1953 年 22 巻 6 号 p. 279-280
    発行日: 1953/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
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