日本蚕糸学雑誌
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23 巻, 6 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 大島 利通
    1954 年 23 巻 6 号 p. 319-324
    発行日: 1954/12/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1. The experiments were carried out to see the influence of the partial pressure of oxygen in the soil aeration on the sprouting, growth of the root and top, especially on the growth of the new roots of mulberry seedling. The seedlings were cultured in sand, which was aerated by the gas mixture of various concentrations of oxygen and nitrogen in the ratios: 0, 1, 2, 3, 5, 10 or 20 parts to 100.
    2. In each lot the water capacities and porocity was considered the same, the difference between each lot was considered to be brougnt about by the difference of the partial pressure of oxygen.
    3. The sprouting was retarded a little in the 0% lot. After the expand of leaf, the growth-rate of leaf and shoot was parallel to the oxygen-pressure in the range from 1-20%, and below 3%, the growth did not advance beyond a certain limit. It was found the oxygenpressure above 5% was neccesary to allow the seedlings grow normal.
    4. The root grew to some extent when the aerating gas contained oxygen above 2% but oxygen above 5% was neccesary for the root to develop normally.
    5. Comparing the data in various fruit trees, such as the apple, the pear, the peach or the persimon with those mentioned above, it may he concluded that the mulberry seed-ling can grow in lower oxygen pressure than fruit trees.
  • I. 桑に於ける raffinose, stachyose の存在とその消長
    柏田 豊
    1954 年 23 巻 6 号 p. 325-328
    発行日: 1954/12/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    The sugars contained in the various parts of the mulberry tree were investigated with the method of paper chromatography, as the result of which raffinose and stachyose were detected in seed, bud, shoot and root. But the sugars above mentioned were only detected in the diapause period of the mulberry tree, e. g. in the dormant seed and bud, and also in the shoot and root of the winter, except in the growth period of these parts.
  • 1954 年 23 巻 6 号 p. 328
    発行日: 1954/12/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 長島 栄一
    1954 年 23 巻 6 号 p. 329-333
    発行日: 1954/12/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1) 家蚕の各齢幼虫の外皮中の色素を FLORENCE の方法に従つて抽出し, spectrophotometer を用いて, それらの吸収曲線を調べた。
    2) 幼虫の第3齢期までの吸収曲線には, 蟻蚕斑紋色素の吸収曲線と同様290mμにピークを認めないが, 第4齢期には形蚕及び黄体色蚕においてはピークが認められるようになる。第5齢期では, 供試全系統において3~4日目から熟蚕になるまでピークが認められるが, 黒縞の熟蚕では認められなくなる。
    3) ピークの出現は主として皮膚構造の変化によるものと思われ, 皮膚構造の変化と蟻蚕斑紋遺伝子の発現及び幼虫斑紋遺伝子の発現とは, 相互に関連があるのではないかと考えられる。また黒縞の熟蚕で290mμのピークが認められないのは, quinone tanning と関係があるように思われるが今後検討したい。
  • III. 蛋白性卵黄の染色性
    高見 丈夫
    1954 年 23 巻 6 号 p. 334-338
    発行日: 1954/12/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1. 家蚕の蛋白性卵黄は媒液のpH 6.5の附近を境とし, これよりアルカリ側では塩基性色素によく染まり, 酸性側では酸性色素によく染まる。従つて等電位点 (或は域) はこの附近にあるものと考えられる。
    2. 発生の進んだ卵や, 産下後長期間を経た卵では, 塩基性色素によく染まる範囲が酸性側に拡がり, pH 5.7近くに及ぶ場合もあつて, 卵黄物質の変化を示している。
    3. 浸酸処理によつて, 蛋白性卵黄のpHがこの等電位点のアルカリ側から酸性側へ転位するのではないか, と云う疑問について若干考察した。
  • 和田 昭治
    1954 年 23 巻 6 号 p. 339-342
    発行日: 1954/12/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • II. 家蚕の化性に及ぼす蛹の保護温度の影響について
    吉武 成美
    1954 年 23 巻 6 号 p. 343-348
    発行日: 1954/12/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    蛹の保護温度によつて卵の着色性並びに越年性に差異を生ずる原因を追究するために実験を行い次の結果を得た。
    1. 蛹の保護温度並びに産下後の卵の保護温度は卵の着色性に影響を与えるが, 2化性の正常卵においては前者の方がその着色性に及ぼす影響は大である。
    2. 卵への3-hydroxykynurenine の透過性に対して最も温度の感受性の高い時期は蛹中期の前半である。その時期を生理的に害を及ぼさない程度の低温で保護する時は, 30℃の如き高温で保護を行う場合よりも多量の3-hydroxykynurenine が卵へ移行し, それがためその産下卵は濃く着色する。
    3. 蛹の保護温度の相違は化性ホルモンの作用並びに卵巣の発育速度に影響し, 最終的には3-hydroxykynurenine の卵への移行量を左右する。それがため卵の着色性に変化を来すのであろう。
    4. 蛹の保護温度によつて卵への透過性が左右されるのは3-hydroxykynurenine ばかりでなく, kynurenine についても同様である。2化性において着色性と越年性とが常に平行的にいくのは, 恐らく化性ホルモンの働に対してこれらの着色性物質と抑制質の卵への移行が同一行動をなすからではないかと考えた。
  • III. 無機塩類並びにその他数種の物質の注射による化性変化について
    吉武 成美
    1954 年 23 巻 6 号 p. 349-356
    発行日: 1954/12/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    越年性蛹及び不越年性蛹を供試して, 種々の物質の注射をした場合の化性変化について研究を行つた。その結果, 越年性蛹に無機塩類及び種々の酵素の阻害剤を注射すると, その卵の1部に不越年卵が生ずる。一方不越年性蛹にKCl或は Na-citrate を注射した場合には越年卵となつたものがあらわれた。これらの化性変化の機構について主として細胞の透過性の点より2, 3の推測を行つた。またKClやNaClを注射した蛾区から卵形の異常のものが産下されたが, これは腎臓形卵に非常によく似ており phenocopy の1例とみなしてよかろう。
  • 1954 年 23 巻 6 号 p. 356
    発行日: 1954/12/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 山崎 寿
    1954 年 23 巻 6 号 p. 357-365
    発行日: 1954/12/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    家蚕蛾, 天蚕蛾及び柞蚕蛾について, 頭部の切断除去或は各部の神経球の摘出などの発情, 交尾, 受精, 産卵などに及ぼす影響を検討して次の結論を得た。
    頭部内の神経球は雌の発情 (側胞の膨出) に対しても雄の発情 (雌に対して翅を振動して近づき交尾する) に対しても密接な関係を有する。
    雌蛾の頭部内の神経球は産卵に対しては主働的支配力を有するが, 雄蛾の頭部内神経球は射精その他の交尾後の動作に対しては関連が少い。
    雌蛾の第9神経球は家蚕の産卵に対して補助的役割を演じ, 雄蛾の第9神経球は交尾 (鉤器による雌への結合) 及び射精に対して強い支配力を示す。
  • I. 絹の脆化と黄褐変の相違について
    中条 紀三
    1954 年 23 巻 6 号 p. 366-372
    発行日: 1954/12/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1. 絹の主として光による脆化及び黄褐変は初期に急激に進み後次第にゆるやかになること, 黄褐変に於ては直接照射した面に大にして裏面には出現の程度小なる事実を認めた。
    2. 光変質を受けた絹布を用い直接2, 3, の呈色反応を試みるにキサントプロテイン反応は短時間照射によるも光り影響がよく透徹する。しかも絹糸中にあつてキサントプロテイン反応を呈するものの主体はチロジンと考えられるからチロジンのフエノール性OHのオルソ位置は光による影響を容易に受け又オルソ位置の酸化は絹糸内部にまでよく透徹する事実を確認した。
    3. インドールの呈するエールリツヒ反応は光の直接照射した面にのみ顕著に出現し, 裏面には出現の程度は小さいことを見出した。これは光を直接受けた面にあつて極めて自由なチロジンからインドール核が生成したことを意味するものと考えられる。
    4. 通常の洗濯等に於ける絹の脆化及び黄褐変共にその主体は同じく光による変質と考えられ, その変質の主体は絹糸構成各種アミノ酸中芳香核を持つチロジンにありと考えられるが, その光による変質の場合光を直接受ける表面にあつて極めて自由な極く一部のチロジンよりはインドール核を生成するがその他のものはニトロ化され難い程度の酸化を受けインドール核を生成するに至らぬ中間形態をなすものと考えられる。
  • III. 繭の酵素解舒に及ぼす2, 3の浸透剤の影響
    西沢 一俊, 藤田 昌利, 小林 敏雄
    1954 年 23 巻 6 号 p. 373-377
    発行日: 1954/12/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    繭の酵素的解舒に関する1試験として, 納豆菌酵素による解舒における2, 3の界面活性剤の影響を観察したところ, 一般的に可成りの効果が認められた。
  • 橋本 弘儀
    1954 年 23 巻 6 号 p. 378-383
    発行日: 1954/12/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1) 繭糸長及び落緒回数についてつぎの仮定を設けた。
    繭糸長は正規分布にしたがう。
    落緒回数は Polya-Eggenberger 分布或いは Poisson 分布にしたがう。
    繭糸長と落緒回数とは独立である。
    2) これらの仮定のもとに, まず解舒糸長の分布凾数について考察し, ついで平均値及び分散の理論値を求めた。
    3) この理論値を落緒回数が Poisson 分布にしたがつている場合について実験結果と対比させ, よく実測値と一致することを検証した。
    4) 理論と関連させて解舒糸長の定義及び算式について若干考察を試みた。
  • I. 繭層セリシンの熱水に対する溶解性について
    中西 正喜
    1954 年 23 巻 6 号 p. 384-387
    発行日: 1954/12/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • II. 製糸工程に於けるセリシン流亡量とその化学的簡易測定法について
    中西 正喜
    1954 年 23 巻 6 号 p. 388-393
    発行日: 1954/12/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 加藤 康雄, 鈴木 和夫, 森井 宏之
    1954 年 23 巻 6 号 p. 394-398
    発行日: 1954/12/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1. 各種の原料繭を低温繰糸し, 繭解じよの変化をみると, 繰糸温度30℃附近を境とし, それ以下では解じよは急激に低下し, 解じよ率の低い原料繭ほど, 繰糸湯温度の影響が強い。
    2. 繰糸速度と低温繰糸の関連性を原料繭の解じよについてみると, 繰糸温度30℃以下になると, 繰糸速度の影響が特に響き現れてくる。
    3. 煮繭工程中に薬剤を応用し, その滲潤効果から, 繭解じよの低温繰糸への可能性を期待したが, 繰糸温度20℃附近になると, 特にその効果が見られない。
    4. 次に低温繰糸湯 (30~20℃) 中に滲透性と解じよ性をあわせもつ薬剤を応用し, その解じよ率の変化を見ると, その効果は顕著に現れる。
    5. 薬剤はネオゲン (アニオン活性剤) を用い, 各濃度区の試験糸について生糸検査をしたが, 対照区に比し試験区は肉眼, 器械検査共一般に, 優位を示している。但し実際使用の場合は, 起泡性の為, 肉眼による粒数判定が困難で, 0.05, 0.1%濃度の使用は難しく, 0.01%濃度のものがよいと思う。
  • 1954 年 23 巻 6 号 p. 399-402
    発行日: 1954/12/29
    公開日: 2010/10/29
    ジャーナル フリー
    桃樹の寒害に影響する因子
    柑橘園土壤に於ける Armillaria mella の撲滅
    ワモンゴキブリ (Periplaneta americana) の種々なる組織に於ける Cytochrome C Oxydase の活性度に就いて
    昆虫に対する緑葉の栄養価値
    栄養状態の異なる条件下に於て飼育せる小豆象虫の熱に対する抵抗と生理的形質との関係について
    吸血性サシガメのホルモン均衝と変態支配
    昆虫変態の問題における幼虫組織の崩壤と成虫組織の形成とに関する一考察
    ペーパークロマトグラフイーによる抗原抗体反応
    天然高分子の圧縮性に対する水分の影響
    福岡県下の野外昆虫硬北病及びフタオビコヤガの緑彊病と蚕との関係
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