クワ枝条の伐採がその後の生長におよぼす影響を明らかにするために, 伐採時期と伐採後の生長との関係について調査した。
1) クワ苗を4月下旬に植付けて, その後生長した新梢を6月から10月にわたって毎月伐採し, その後の生長を調査したところ, 7月伐採区が8月伐採区に比較して伐採後の生長期間が長いにも拘らず新梢の乾物増加量は小なかった。したがって, 伐採前後の新梢の乾物量の総量は7月伐採区が各区を通じて最少であった。
2) クワ苗を5月から7月にわたり10日おきに植付け, 異なった生育段階にある新梢を一斉に伐採した。その結果, 伐採後の乾物生長量は伐採時の生育段階がごく初期の場合以外は, 伐採時の生育段階がすすんでいるほど大であった。
3) 伐採時の生育段階によって, 伐採後の生長の初期には全乾物重が伐採時よりも減少する。これは呼吸による消粍のほかに, 根の枯死, 腐朽によるものと考えられる。また, その程度は根の生育状態によって差異が認められた。
4) これらの結果を通じて, 伐採時期による伐採後の生長の相違は, 伐採時のクワの生育段階の差にもとずく貯蔵物質の消粍と蓄積の程度ならびに根が伐採によってうける影響などによるものと考えられる。
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