日本蚕糸学雑誌
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33 巻, 6 号
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  • (I) 分繊生糸の吸湿性
    北村 愛夫
    1964 年 33 巻 6 号 p. 437-441
    発行日: 1964/12/10
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1.アニオン系, 非イオン系の各系統別の界面活性剤で処理された分繊生糸を繰製し, その油剤付着量と吸湿挙動について考究した結果, アニオン系, 非イオン系で無処理の生糸に比して吸湿能については増加あるいは低下の一定の傾向は見られず, 使用活性剤濃度によりの方向は変化するものであることを知った。
    2.高分子固体の吸湿についての理論的取扱いの際, 使用されるBET式を適用し第1層吸着結合水量の算出を試みた結果, 活性剤の種類, 濃度によりその水量に可成りの範囲の変化のあることを知った。
  • 嶋崎 昭典
    1964 年 33 巻 6 号 p. 442-446
    発行日: 1964/12/10
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    糸故障数を少なくして糸故障率を適正な状態に管理する過程で, どのような修正処置を施すのがよいかを知るための手がかりを得たい場合がある。この一つの方法として層別法が考えられる。このとき糸故障数は二項分布, POISSON分布のいずれの分布にも従わないので, 層別間に差のあるか否かを検出するのに, また調査区毎の糸故障数の異常変化を検出するのに既存のC-chartあるいはPn-chartを用いることができない。ここでは1人の修理工がM緒受け持っている区を単位区とし, これをk区合わせたときの糸故障数の分布函数を考察し, それを基にして糸故障数を管理するための管理図法を導いた。
  • (II) 色素顆粒蛋白の分析
    辻田 光雄, 桜井 進
    1964 年 33 巻 6 号 p. 447-459
    発行日: 1964/12/10
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1. 色素顆粒を構成する蛋白は可溶性蛋白と不溶性蛋白とに分けられる。前者は顆粒の内方にあり, 後者は顆粒の外周を包む膜状物あるいは外殻を形成するものである。
    2.可溶性蛋白はDEAEセルローズに吸着させた後pH8.0のリン酸緩衝液で溶出し, 次の3分画に分けられた。
    i) 第1分画には褐色色素と結合した蛋白が集まる。ii) 正常型の第2分画にはsky-blueの蛍光を示す物質と結合する蛋白が含まれる。黄体色, 淡黄体色蚕試料ではsepiapterinと結合する蛋白がこの分画に集められる。iii) 第3分画には尿酸と結合する蛋白, isoxanthopterinと結合する蛋白が集められる。
    3.クエン酸ナトリウム-塩酸緩衝液中に色素顆粒の可溶性蛋白を入れると, ある範囲のpHの緩衝液中では, 結晶状沈澱物を生ずるが, pHの値により異なる分画の蛋白が沈澱してくるように考えられる。
    4. 顆粒内の可溶性蛋白ばかりではなく, 顆粒の周囲の外殻にも相当多量の尿酸およびisoxanthopterinが検出された。
    5. 色素顆粒は幼虫皮膚の油蚕性を支配する主要な要素と見做される。
    6. 多くのいわゆる油蚕遣伝子は色素顆粒の形成に直接的あるいは間接的に関与しているものと考えられる。
  • 有賀 久雄, 長島 栄一, 武井 隆三
    1964 年 33 巻 6 号 p. 460-463
    発行日: 1964/12/10
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    2齢起蚕に外観4角形を呈する細胞質多角体 (TC) を添食し, それらの幼虫が変態して化蛾したものの雌雄を交配したり, あるいはその雌に無接種の雄蛾を交配し, 次代蚕の4齢あるいは5齢起蚕を低温処理 (5℃, 24時間) し, 発病蚕児につき病気の種類, 多角体の形などにつき調べた。得られた結果は次の通りである。
    1. 前代に外観4角形を呈する多角体を添食した個体を雌にして交配した次代蚕の最終齢起蚕低温処理区の病蚕で, 特異的に4角形多角体をもつ細胞質多角体病が認められた。この結果から, 前代に接種された4角形多角体を示す細胞質多角体病ウイルスは潜在性の形で母体から卵を通して, 次代に伝達されたものと考えられた。
    2. 前代の2齢起蚕に4角形多角体病ウイルスを接種されて変態した雌蛾に, 無接種区の細胞質多角体病抵抗性および感受性系統の雄蛾を交配した次代蚕での本病の発生率は, 抵抗性系を雄にした交配組合わせのほうが, 感受性系統雄を用いた組合わせより低かった。このことから, 経卵伝達されたウィルスによる4, 5齢期での発病に対して, その個体のもつ抵抗力に関係する遺伝子の働きも重要な役割を演ずるものと考えられた。
  • 浅山 哲
    1964 年 33 巻 6 号 p. 464-469
    発行日: 1964/12/10
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    飼育中のサクサンに発生した核型多角体病罹病幼虫のなかに, 従来の普通に認められる多角体 (大きさ1~2ηの3角形, 4角形のもの) とは異なる多角体を形成した個体を発見した.
    1) 本多角体の形状は, 角のまるい3角形のものが大部分であるが, この他に4角形, 不定形のものが少数混在した.
    2) 本多角体の大きさは宿主の発育時期によって多少異なったが, 最終齢の罹病虫から精製した多角体の大きさの算術平均値は5.18η, 標準誤差は0.049, 変異係数は21.2%であった.
    3) 本多角体はピクリン酸, オレンジG, フクシン, メチレンプルー, エオシン, メチルグリーン, サフラニン等に好染し, 酸, 有機溶媒に不溶で, アルカリに溶解した.
    4) 本ウイルスはサクサンの他に, ヒマサン, チョサンには感染性をしめしたが, 家蚕では感染は認められなかった.5) 本ウイルスはサクサン体内において, 従来からあったウィルスと混合感染することが認められたが, 同一核内における両種多角体の混在は認められなかった.
    6) 潜伏期, 病徴および病変等は, 従来の型のウイルスに感染した場合とほぼ同様であった.
    7) 本ウイルスの起源について考察した.
  • (I) 経口的に短時間投与した場合
    栗林 茂治, 樋口 鉄美
    1964 年 33 巻 6 号 p. 470-479
    発行日: 1964/12/10
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    硫酸ニコチン水溶液を桑葉に添加して5時間給与する方法 (添食法), ならびに純ニコチン水浴液を口器上に滴下して5分間程度飲ませる方法 (飲下法) によって家蚕幼虫に対するニコチンの毒性を調べ, つぎの結果を得た.
    1.ニコチンによる蚕の中毒症状として, 不安, 苦悶, 嘔吐, 転倒, 縮小, 仮死状などがみられ, それら症状によって中毒程度を5段階に分類した.
    2.蚕に種々の程度の中毒症状を起さす桑葉のニコチン量は齢期によって異なるが, 生葉重量に対する比で1~9×10-6程度であり, 1~6×10-6の範囲内では軽症, 3~9×10-6の範囲内では重症を示す.
    1.ニコチンによる蚕の中毒症状として, 不安, 苦悶, 嘔吐, 転倒, 縮小, 仮死状などがみられ, それら症状によって中毒程度を5段階に分類した.
    2.蚕に種々の程度の中毒症状を起さす桑葉のニコチン量は齢期によって異なるが, 生葉重量に対する比で1~9×10-6程度であり, 1~6×10-6の範囲内では軽症, 3~9×10-6の範囲内では重症を示す.
    3.蚕が経口的に摂取して中毒症状を示す1個体あたりのニコチン最小量は齢期によりかなりの差がある.添食法の場合には蟻蚕が2.1×10-4ηg程度で最も少なく, 5齢盛食蚕は203×10-2η9程度で最も多い.飲下法の場合は3~5齢を通して3齢起蚕が1.4×10-2ηg程度で最も少なく, 5齢盛食蚕が64.8×10-2ηg程度で最も多い.
    4.蚕が経口的に摂取して中毒症状を示す体重1gあたりのニコチン最小量は, 添食法の場合, 1~2齢期が3~50×10-2ηg, 3~5齢期が20~88×10-2ηgであり, 飲下法の場合は3~5齢期を通じて9~42×10-2ηgである.
    5.中毒を起した蚕のその後の状態をみると, 中毒程度が中等症より軽い場合は後の影響が少ないが, 重くなると発育経過が遅れ, 死蚕数は増加し, 繭重・繭層重も劣化する.
    6.以上の蚕の中毒特性を利用して, 桑葉中の微量ニコチン量を簡易に判定する方法を示唆した.
  • 家蚕の核型多角体病ウイルス標品による感染に対する昆虫の培養細胞の感受性
    J. L. VAUGHN, P. FAULKNER, Yoshifumi ISHIKAWA, Tutomu HAYASHIDA, Akira ...
    1964 年 33 巻 6 号 p. 479-479,483
    発行日: 1964/12/10
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    In this paper the result on the isolation of Bacillus thuringiensis from the dust of silkworm rearing houses of farmers in Aichi Prefecture and the toxicity for the silkworm larvae were described.
    1. The isolation of Bacillus thuringiensis was 33.3, C out of 42 samples of the dust which were collected from rearing houses.
    2. Each isolate was toxic for silkworm larvae.
    3. The toxicity of Bacillus thuringiensis was inactivated by submergence in boiling water for 5 minutes.
  • 石川 義文, 林田 勉, 井川 晃
    1964 年 33 巻 6 号 p. 480-483
    発行日: 1964/12/10
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1) 愛知県下 (丹羽郡, 江南市, 犬山市, 小牧市) の養蚕家から採集した42点のほこりについて, Bacillus thuringiensisの検索を試みたところ, 14点 (33.3%) において本菌の存在を認めた。
    2) 分離したBuillus thuringiensisは蚕に対して, いずれの菌株も病原性 (毒性) を有することが認められた。
    3) 分離したBacillus thuringiensisは5分間以上の煮沸によって, その毒性が失なわれた。
  • 莇 祐彦, 関口 治郎, 宇佐美 洋三
    1964 年 33 巻 6 号 p. 484-486
    発行日: 1964/12/10
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    桑に寄生する植物として,種子植物については未だ報告されたものはない。筆者等は桑園に間作したレッドクロパーに寄生するマメダオシが桑にも寄生することを確認したのでその概要を発表する。
  • 大島 利通, 河合 章, 伊藤 尚武, 小沢 昇, 相田 二三夫
    1964 年 33 巻 6 号 p. 487-490
    発行日: 1964/12/10
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    積雪寒冷地に望まれる桑品種
    暖地に望まれる桑品種
    高冷地に望まれる桑品種
    機械化技術体系に望まれる桑品種
    桑品種改良の方法
  • 1964 年 33 巻 6 号 p. 492a
    発行日: 1964年
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
  • 1964 年 33 巻 6 号 p. 492b
    発行日: 1964年
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
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