カイコの脱皮・変態に伴なう体液蛋白成分の変化をアクリルアミドゲル電気泳動法で調べ, つぎの結果を得た。
1.3~4齢期の幼虫体液には, 移動度の大きい方からA, C, D, E, FおよびGの6成分の蛋白が存在し, 眠中にはF成分の量が多い。
2.5齢期には, A, B, C, D, D', E, E', F, G'およびH'の10成分の蛋白が存在し, 熟蚕期には, D'およびE'が消失してA, B, C, D, E, F, G'およびH'の8成分となるが, 5齢盛食期ころに出現したC, F問のテーリングが著るしい。吐糸中期ころには, A, B, B', C, D, E, F, G'およびH'の9成分が存在する。
3.吐糸終了から蛹化に至るまでには明瞭な変化が現われ, A, B, B', C, D, E, F, GおよびHの9成分となり, F, GおよびH成分がそれぞれ増加する。その後, 蛹化3日目ころまでは変化しない。
4.蛹化5日目ころにG'成分が現われ, 10成分となる。
5.羽化1~2日前の蛹では, D, G両成分が減少し, 羽化直後の蛾の体液蛋白はA, B, B', C, E, F, G', Hおよび1の9成分となり, 蛹期のそれとは明らかに異なることが知られた。
6.以上により, カイコの体液蛋白成分は後胚子発育および成虫化に伴なって変化するものといえる。
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