日本蚕糸学雑誌
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34 巻, 4 号
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  • 向井 純一郎, 沼 慎二, 阿久根 了
    1965 年 34 巻 4 号 p. 223-229
    発行日: 1965/07/20
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    5齢中期の家蚕後部絹糸腺には少なくとも2つのRNase活性が存在する。その1つを塩析, カルボキシメチルセルローズカラムによるクロマトグラフィー, およびセファデックスG-100カラムによるゲル濾過によって約400倍に精製した。この精製酵素はRNAの中のアデニル酸, グアニル酸, シチジル酸, およびウリジル酸残基の3', 5'-ホスポジエステル結合のC5'と燐酸との間の結合をいずれも定量的に水解する。環状モノヌクレオチドが中間体として検出される。
  • (III) 色素顆粒のリピド成分
    桜井 進, 辻田 光雄
    1965 年 34 巻 4 号 p. 230-234
    発行日: 1965/07/20
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    家蚕幼虫皮膚細胞の色素顆粒におけるリピドの分離検出を企て, 正常系 (大造, 支124号), 突然変異系 (E-lem, d-lem) などの幼虫皮膚細胞から精製した色素顆粒とその外殻を試料として, ベンゼン・クロロホルムおよびベンゼン・石油エーテル・エタノール混液でシリカゲルの薄層クロマトグラフィーを行なった。
    正常系, 突然変異系共にRf値の同じ6コのリピド成分を検出し, このうち3コはそれぞれパルミチン酸, ステアリン酸およびオレイン酸であることを知った。なお正常系にはこの他に, さらに1コの特異的な不飽和脂肪酸が存在するのが認められた。
  • (V) 蛹期における各種組織の炭水化物量と休眠ホルモン
    出下 興亜, 長谷川 金作
    1965 年 34 巻 4 号 p. 235-243
    発行日: 1965/07/20
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    家蚕蛹の各組織の炭水化物量の消長から, 蛹期における組織間の炭水化物の移動および分布を明らかにし, さらにこれに与かるSGの機能すなわち休眠ホルモンの作用を検討した。
    1) 雌雄両蛹ともに脂肪組織の炭水化物の大半はグリコーゲンであり, 蛹の初期では一時的に増加したが中期以後は一様に減少した。SGの摘出は雌蛹の後期における減少度を低下させた。
    2) 血糖は主としてトレハロースおよび還元糖よりなり, 雌蛹ではトレハロースは中期の一塒的な減少を除いては発育と共に一様に増加したが, 還元糖は蛹期を通じて大きな変化はみられなかった。蛹の中期までの雄蛹のトレハロースの消長は雌蛹の場合と同様であるが, 中期以後はトレハロースおよび還元糖は発育とともに著るしく増加し, 羽化前日の血糖量は雌蛹の約2倍に達した。SG摘出の影響は雌蛹のみに認められ, その血糖とくにトレハロースは著るしく増加し, その増加の様相は雄蛹のそれに類似した。
    3) 卵巣の炭水化物の大半はグリコーゲンであり発育とともに増加の一途をたどった。SGの摘出は中期以後における増加割合を減少させた。精巣の炭水化物量は極めて少なく蛹期を通じてほぼ一定であり, SG摘出の影響も認められなかった。
    4) 中腸および絹糸腺の炭水化物は主としてグリコーゲンであり, 蛹の前中期に著るしく減少した。雌雄およびSGの有無による差異は認められなかった。
    5) 蛹全体のグリコーゲン量は発育とともに一様に減少したが, 羽化前日の残存量は雌蛹に多かった。全糖量は蛹期を通じて低レベルでかつほぼ一定であったが, 雄蛹の後期でやや増加の傾向を示した。なおSG摘出の影響は雌雄ともにほとんど認められなかった。
  • C. F. Soo Hoo, G. FRAENKEL, G. C. ROCK, E. H. GLASS, R. L. PATTON, G. ...
    1965 年 34 巻 4 号 p. 243-243,256
    発行日: 1965/07/20
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    ヨトウガ幼虫に対するシダ類の摂食抵抗性
    ハマキガ科の1種Argurotaenia velutinana幼虫の準合成飼料による無菌飼育
    ミツバチにおける配偶子戻し交配
    カイコの中腸壁の透過性に及ぱす卒倒菌毒素の影響
    ハチミツガにおける核多角体病ウイルスの接種量と死亡率との関係
    カイコの細胞質多角体病の発病に伴なう血液および中腸における核酸ならびに蛋白量の変化
    多くの鱗翅目昆虫に病原性を示す1細胞質多角体病ウイルス
  • (V) 細胞質-RNAおよびIPB-RNAの変動
    林 幸之, 川瀬 茂実
    1965 年 34 巻 4 号 p. 244-250
    発行日: 1965/07/20
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1.IPB-RNAの特異的ピークを指標に, ウイルス感染後経時的に罹病組織 (中腸) のRNAパターンを追跡し, 各RNAの変動について検討した。健全組織ではヌクレオチドは除々に減少する傾向を示し, s-RNAは中期まで増加し, その後ほぼ一定値を保持する。r-RNAは殆んど変動なく80%前後の値を有する。一方罹病組織ではヌクレオチドはウィルス感染後48時間まで健全と同様低下するが, その後急激に増加し21%レベルに達する。s-RNAは健全と同傾向を示しているが144時間以後低下する。r-RNAは除々に減少し80%レペルから最終的には, 50~60%レペルとなる。これに反してIPB-RNAは除々に増加し144時間後には12%近くに達する。
    2.IPB-RNAのピークからウイルス増殖の曲線をみると, ウイルス感染後48時間頃までは比較的除々に, その後急激に増殖し96時間までつづき, 96時間以後は増殖速度を減ずる。
    3.メチル化アルブミンカラムによって各RNAを分画しその塩基組成を分析した結果, 健全組織ではs-RNAおよびr-RNA共にグアニン量高くウラシル含量が低い。これに対して罹病組織ではヌクレオチドの塩基組成はプリンが少なくピリミヂンが多い。s-RNAおよびr-RNAで健全に比較して最も顕著な差はウラシル含量が増加することである。またその他の塩基においても若干の差異が認められ, ウィルス感染によって宿主RNA, とくにr-RNAが不均一化されることが判明した。IPB-RNAの塩基組成は多角体から抽出されたIPB-RNAと同じくその型はAU型を示し, かつ糸状を呈している。
    4.罹病組織のRNA抽出物の塩基組成はウイルス増殖の進むに従がってGC型からAU型に移行し, IPB-RNAの増加することが推定された。
  • 渡部 仁, 長野 ヒロ, G. H.JR CALE, J. W. GOWEN, P. G. FAST, T. A. ANGUS
    1965 年 34 巻 4 号 p. 251-256
    発行日: 1965/07/20
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    正常蚕とod油蚕, 正常蚕と黄体色蚕をそれぞれ分離するisogenicな数系統を用いて, 細胞質ならびに核多角体病ウイルスに対する経口感染抵抗性を比較した。
    その結果, 一般に正常蚕, od油蚕および黄体色蚕の間で両ウィルスに対する経口感染抵抗性に差がなく, むしろ遺債的背景の差異によって抵抗性が左右された。すなわちod油蚕遺伝子および黄体色遺伝子は経口感染抵抗性の遺伝的機構に影響を及ぼさないものと考えられた。
  • 中曽根 正一, 小林 勝利
    1965 年 34 巻 4 号 p. 257-262
    発行日: 1965/07/20
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    カイコの脱皮・変態に伴なう体液蛋白成分の変化をアクリルアミドゲル電気泳動法で調べ, つぎの結果を得た。
    1.3~4齢期の幼虫体液には, 移動度の大きい方からA, C, D, E, FおよびGの6成分の蛋白が存在し, 眠中にはF成分の量が多い。
    2.5齢期には, A, B, C, D, D', E, E', F, G'およびH'の10成分の蛋白が存在し, 熟蚕期には, D'およびE'が消失してA, B, C, D, E, F, G'およびH'の8成分となるが, 5齢盛食期ころに出現したC, F問のテーリングが著るしい。吐糸中期ころには, A, B, B', C, D, E, F, G'およびH'の9成分が存在する。
    3.吐糸終了から蛹化に至るまでには明瞭な変化が現われ, A, B, B', C, D, E, F, GおよびHの9成分となり, F, GおよびH成分がそれぞれ増加する。その後, 蛹化3日目ころまでは変化しない。
    4.蛹化5日目ころにG'成分が現われ, 10成分となる。
    5.羽化1~2日前の蛹では, D, G両成分が減少し, 羽化直後の蛾の体液蛋白はA, B, B', C, E, F, G', Hおよび1の9成分となり, 蛹期のそれとは明らかに異なることが知られた。
    6.以上により, カイコの体液蛋白成分は後胚子発育および成虫化に伴なって変化するものといえる。
  • 岩下 嘉光
    1965 年 34 巻 4 号 p. 263-273
    発行日: 1965/07/20
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1.カイコの幼虫で軟化病ウイルスの感染により, 最初に組織学的変化が起るのは中腸の盃状細胞であり, ついで円筒細胞に変化が観察される。
    2.軟化病ウイルスは中腸の盃状細胞で増殖し, ついで円筒細胞に感染するものと考えられる。しかも観察した範囲では中腸皮膜組織の前部の細胞から次第に後部の細胞へと感染するものと推察される。
    3.盃状細胞は感染初期に強い塩基好性を示す。その後この細胞の細胞質の顕著な肥厚, ミトコンドリアの減少がみられ, 遂には胞を包んで球状化して退化消失し, 一部の退化細胞は胃腔内に離脱する。
    4.円筒細胞は感染初期に強い塩基好性を示す。その後核の肥大およびhyperchromatosis, 細胞質の粗構化, そして空胞化がみられ, また核に近接した細胞質に好塩基性の球状体 (basophilic body) が形成される。ついで膨化核の染色質の集塊状変性が観察される。退化細胞は胃腔内に離脱する。
    5.ウイルス性軟化病蚕にみられる胃腔膜の肥厚は, 退化細胞の溶解物と感染中期にみられる円筒細胞の異常分泌によるものである。
    6.軟化病ウイルスと核多角体病ウイルスおよび軟化病ウイルスと細胞質多角体病ウイルスとの二重感染個体をそれぞれ観察した。
  • 糸井 節美
    1965 年 34 巻 4 号 p. 275-280
    発行日: 1965/07/20
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    兵庫, 島根, 福井および新潟県下の山地開発桑園における白紋羽病発生地9例の実態調査をおこなった。病原菌がうえみぞ中の粗大有機質に定着して旺盛な生育をとげ, ここを足場としてクワをおかした場合は被害は大であった。これに反し病原菌が粗大有機質上に生育していない場合は被害が軽微であった。したがって本病のことだけを考えるかぎり, 今後粗大有機質の使用をさけ, 水稲わら, 草などを用いれば, 発生の程度は著るしく低下するものと考えられる。なお山地開発桑園における白紋羽病の発生は, 本来そこに生息している病原菌に起因する場合が多いようである。
  • 中曾根 正一, A. H. LITTLE
    1965 年 34 巻 4 号 p. 281-283
    発行日: 1965/07/20
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    カイコの中腸型多角体病蚕の中腸組織のアルカリ性ホスハターゼ型についてacrylamideゲル電気泳動法により実験を行ない, つぎの結果を得た。
    中腸型多角体病蚕の中腸のアルカリ性ホスハターゼの活性帯は健康蚕のそれとは明らかに異なり, 健康蚕には陽極側からA, B, C, Dの4種の活性帯と移動度の少ない淡黄褐色の活性帯Eとが認められたが, 病蚕ではこれらのisozymeのうちB, Cはほとんど消失し, Dはその活性が低下することが明らかにされた。
  • 橋本 春雄
    1965 年 34 巻 4 号 p. 285-286
    発行日: 1965/07/20
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
  • 及川 英雄, 三枝 隆夫, 梅津 実郎, 及川 実, K. J. STARKS, W. W. MCMILLIAN, A. A. SEKUL, ...
    1965 年 34 巻 4 号 p. 287-290
    発行日: 1965/07/20
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1.近時, 種々試みられている紋羽病のための土壌検診が実用に供しうるものかどうかを検討するため, 2つの土壌検診法を岩手県の集団桑園周辺の山林中で実施した。
    2.その結果, いずれも紫紋羽病の発生している桑園の周辺からは本病菌が検出され, 無発病の桑園の周辺からは検出されなかった。
    3.2つの方法を比較すると, 菌の検出率における優劣は明らかでなく, 紫紋羽病の場合においては労力や実施時期の点からみて林木の根部を調査する検診法が, 枝条束を埋没する検診法よりも秀れているように思われる。
    4.現在の土壌検診法でもだいたい実用に供しうるが, より精度の高い検診法の出現が望まれる。
  • 奥井 一満, 八木 誠政
    1965 年 34 巻 4 号 p. 291
    発行日: 1965/07/20
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
  • 横山 桂馬
    1965 年 34 巻 4 号 p. 292-294
    発行日: 1965/07/20
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1.水田団地を対象として, いもち病防除を目的として原粉を15%含有するセレサン石灰を2.2kg/10a散布した際に, 附近の桑園も薬剤によって汚染された。その汚染桑を用いて蚕を掃立から飼育してみた。
    2.汚染の甚だしい桑園は霜降り状に薬物の付着を見たが, 葉位別に薬剤量を測定すると最上部展開葉に最も多く, 下位葉は次第に少なくなっていた。
    3.これを給与された蚕はセレサン特有の中毒症状を呈して, 附近農家に続出した病蚕と全く同様の様相であることから, これら農家の場合も今次航空散布の被害であると断定した。
  • 河野 幹雄, 金原 和一, 加藤 甲司, 東野 正三, 広瀬 善之助, C. E. SOKERIS, D. MERGENHAGEN
    1965 年 34 巻 4 号 p. 295-304
    発行日: 1965/07/20
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    挨拶
    1.大規模養蚕技術体系について
    2.大規模養蚕の技術体系について
    3.多回育のための桑園施肥について
    4.農業構造改善の問題点
    クロルリパエのフエノールオキシダーゼ系
  • 1965 年 34 巻 4 号 p. 310
    発行日: 1965年
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
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