強健性淘汰の一手段として栄養障害抵抗性の選抜が可能かどうかを1齢初期のみ食桑させ1齢後期に絶食させたものの就眠蚕の選抜試験をテスター3眠とテスター5眠を用いて試み, 次のことが判明した。
1. 絶食就眠蚕は普通育就眠蚕に比較してテスター3眠では4眠化率が, テスター5眠では5眠化率が高くなる。
2. 絶食就眠蚕の次代蚕は普通育就眠蚕の次代蚕にくらべてテスター3眠では4眠化率が, テスター5眠では5眠化率が高い。
3. テスター3眠あるいはテスター5眠から分離する3眠蚕と4眠蚕あるいは4眠蚕と5眠蚕の強健性を化蛹歩合でみると, 前者では3眠蚕に比し4眠蚕の方が, 後者では4眠蚕に比し5眠蚕の方が著しく低率を示し, 虚弱である。
4. 以上の実験結果に基づき, 1齢期絶食処理による淘汰について次の考察を行なった。
(1) 1齢期絶食処理による淘汰は, テスター3眠, テスター5眠とも4眠蚕および5眠蚕がより多く残存し, 眠の回数の増加の方向に働く。
(2) この理由としては, テスター3眠, テスター5眠の4眠蚕および5眠蚕は, それぞれの3眠蚕および4眠蚕に比較して1齢期間が短く, 同じ時間食桑しても生長期間に対する相対的食桑時間が長いため, 絶食にいたるまでにすでに1齢の就眠可能域に達していたためと推定される。
(3) 絶食処理による就眠率を指標にした淘汰は, 少なくもこの実験の範囲では虚弱性の方向に作用する。
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