日本蚕糸学雑誌
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37 巻, 1 号
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  • 第3報 微細構造について
    桑原 昂
    1968 年 37 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1968年
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    上蔟時の温度, 湿度条件を異にした家蚕繭の精練毛羽部分ならびに繭層について, 稀酸加水分解による溶出量, 微細構造各領域量, 溶出速度恒数および酸性, 塩基性染料吸着量を測定した結果から, 異常絹糸の微細構造などについて考察をおこなった。
    1. 稀酸加水分解による溶出量
    (1) 上蔟時の温湿度条件に関係なく毛羽部分は, 繭層に比し溶出量大きい。
    (2) 高温多湿区の毛羽部分は, 外層が最も溶出量大きく, 中層, 内層問に差は認められない。
    (3) これは営繭の際延伸が不十分で, 分子配列が低いためと考えられる。
    2. 微細構造各領域量高温多湿区の毛羽部分は, 非結晶領域, 準結晶領域量が多く結晶領域量は少ない。
    とくに外層においてこの傾向は顕著である。
    3. 微細構造各領域に相当する部分の溶出速度恒数高温多湿区の毛羽部分の各層の溶出速度恒数は, 各領域とも他区に比し大きい。
    4. 酸性, 塩基性染料吸着量高温多湿区の毛羽部分は, 他区に比し両染料吸着量とも異常に多く, 外層においてとくに顕著である。
  • (2) 新梢の引張抵抗について
    田原 虎次, 藍 房和, 須藤 允
    1968 年 37 巻 1 号 p. 6-12
    発行日: 1968年
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    春蚕用桑としての新梢の引張抵抗値を測定し, 新梢の引張特性と新梢摘桑機の摘桑方式について検討した。その結果は次のようである。
    1. 新梢軸は弾性が小さく, 着生角度も鋭角であるために, 新梢軸が所定の引張角度まで移行する過程で角度変位に要する抵抗が生じ, したがって, 薪梢における荷重・伸び線図は葉の場合と異なる。
    2. 新梢の引張抵抗値は平均4.53kg, 最大12.6kg, 最小0.4kgである。引張抵抗値は新梢重1~12gの範囲では新梢重の増加につれて大きくなるが, 12g以上のものでは逆に幾分小さくなる。これは「ひきさき」によるものと考えられる。引張方向を変えると, 条に平行で上向きの場合に引張抵抗値は最大となり, 新梢を採ることが困難である。次が直角方向に引張る場合で, 最小の引張抵抗値は条に平行で下向きの場合に得られる。その時の値は直角方向の約1/3以下となる。
    3. 新梢の離脱に要する仕事量は引張方向によって異なり, 条に直角の場合5.55kg・cm, 条に平行で下向きの場合6.28kg・cmである。
    4. 新梢摘桑機の摘桑方式としては, 振動収穫方式よりも引張収穫方式がよく, その場合, 機械の引張能力は摘葉機の約2倍の大きさが必要である。また, 引張方向は仕事量からみて, 条に直角方向に引張るのが有利である。
    5. 新梢と葉の引張抵抗値には大きな差があるから, 葉のみを選択的に収穫できる機構を考えるべきであろう。
  • 小林 英子, 鮎沢 千尋
    1968 年 37 巻 1 号 p. 13-16
    発行日: 1968年
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    蚕のウイルス性軟化病の病原ウイルス検索に螢光抗体染色法を利用する場合の免疫血清の抗体価を測定する方法として補体結合反応を試みた。遠心分画法, また, さらにCsClを用いた平衡密度勾配法によって精製したウイルスで家兎を免疫し, 補体結合反応を行なったところ, 力価はやや低いが反応は成立し, 抗原証明法の一つとして利用しうる結果を得た。
  • J. MITSUHASHI, Jr. W. B. COTTER, N. V. RAMARAJE URS, M. GILLIAM, H. SH ...
    1968 年 37 巻 1 号 p. 16-16,33
    発行日: 1968年
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    昆虫ウイルスに連続感染する1細胞系の固定
    コナマダラメイガの交尾行動と適応性に関係する単一対立遺伝子の相違
    昆虫糸状菌への殺虫剤の影響
    Nosema apisに感染したミツバチの血球
  • 発蛾の早晩と微粒子病との関係: 多量伝染の場合および作柄不良の場合
    大島 格
    1968 年 37 巻 1 号 p. 17-26
    発行日: 1968年
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    健蚕に伝染した微粒子病の高罹病率 (47%以上) 蛾と蚕作不良の微粒子病蛾の発蛾の早晩と罹病率との関係について研究すると共に養蚕家の微粒子病に対する蚕種製造家の対策を論じた。
    この場合にも罹病率軽微な場合や中等量伝染の場合と同様であった。すなわち雌蛾では例外なく発蛾期日の遅れるにつれて次第に低下した。ただ蛾の罹病程度6+以上のものが多い時は雌蛾でも発蛾の遅れは罹病率の低下を伴わなかった。この事実から判断して上蔟後も病原体の寄生程度6+以上になると寄主の栄養枯渇し, 却って変態を遅らせるものと推定される。
    雄蛾では上作不作を問わず, 高罹病率と罹病程度6+以上のものが多い場合には前2報告同様発蛾期日の遅れによる罹病率の低下度は減退するばかりでなく甚だ不規則となったが, 蚕作不良でも低罹病率の場合には以上の関係は蚕作良好な雌蛾と同様であった。
  • 吉村 亮
    1968 年 37 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 1968年
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    強健性淘汰の一手段として栄養障害抵抗性の選抜が可能かどうかを1齢初期のみ食桑させ1齢後期に絶食させたものの就眠蚕の選抜試験をテスター3眠とテスター5眠を用いて試み, 次のことが判明した。
    1. 絶食就眠蚕は普通育就眠蚕に比較してテスター3眠では4眠化率が, テスター5眠では5眠化率が高くなる。
    2. 絶食就眠蚕の次代蚕は普通育就眠蚕の次代蚕にくらべてテスター3眠では4眠化率が, テスター5眠では5眠化率が高い。
    3. テスター3眠あるいはテスター5眠から分離する3眠蚕と4眠蚕あるいは4眠蚕と5眠蚕の強健性を化蛹歩合でみると, 前者では3眠蚕に比し4眠蚕の方が, 後者では4眠蚕に比し5眠蚕の方が著しく低率を示し, 虚弱である。
    4. 以上の実験結果に基づき, 1齢期絶食処理による淘汰について次の考察を行なった。
    (1) 1齢期絶食処理による淘汰は, テスター3眠, テスター5眠とも4眠蚕および5眠蚕がより多く残存し, 眠の回数の増加の方向に働く。
    (2) この理由としては, テスター3眠, テスター5眠の4眠蚕および5眠蚕は, それぞれの3眠蚕および4眠蚕に比較して1齢期間が短く, 同じ時間食桑しても生長期間に対する相対的食桑時間が長いため, 絶食にいたるまでにすでに1齢の就眠可能域に達していたためと推定される。
    (3) 絶食処理による就眠率を指標にした淘汰は, 少なくもこの実験の範囲では虚弱性の方向に作用する。
  • 多角体の形成部位及び性状
    山口 邦友
    1968 年 37 巻 1 号 p. 34-42
    発行日: 1968年
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    家蚕の中腸円筒細胞核に, 正6面体の大形多角体を形成するウイルス系統 (中腸核多角体病ウィルス) を発見したので, この系統と細胞質多角体病ウィルスとの間の差異を明らかにするため実験を行なった。
    本ウイルス系統による多角体の形成は, ほとんど中腸の円筒細胞の核中に限られたが, 中腸後部では多角体は核に形成されるとともに, 同一細胞の細胞質にも形成される例が観察された。核中に形成された多角体数は1~5個のことが多く, 形は正6面体で一辺の長さが2.5μから22.5μであった。
    中腸皮膜組織以外の組織では多角体の形成は認められなかった。
    本ウイルスにより形成された多角体は, 1NHC1による加水分解後, ブロムフェノールブルー, メチルオレンヂ, フクシン, アニリンレッド, オレンヂG, フロキシン, エオシンによく染色された。
    蟻蚕1頭あたり, 大形の中腸核多角体1個を経口接種した結果, 強い感染力が認められた。
    中腸核多角体病ウイルスおよび細胞質多角病ウイルスを, 孵化時に蟻蚕に同時に接種した結果細胞単位で明らかな干渉現象が認められた。
  • 繭綿歩合およびラウジネス繊維の選抜にともなう繭の計量諸形質の変化
    倉沢 一二三
    1968 年 37 巻 1 号 p. 43-50
    発行日: 1968年
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1. 繭綿歩合およびラウジネス点を8世代にわたって選抜した結果, それぞれ2つの系統に分離することができた。
    2. 繭綿歩合とラウジネス点とは極めて強い関連性を有し, いずれか一方の形質を選抜の対象としても両形質を選抜したと同じ結果がみられた。
    3. 両形質についての選抜の結果は, 他の量的の関連形質に変化を与えるものと与えないものとがある。そして, 両形質を同一方向に選抜した場合には, 繭綿重, 繭糸繊度, 小節点を除いて他のすべての形質は全く同一の変化を示した。
    4. 繭綿歩合とラウジネス繊維ならびに繭層練減率との3形質間の関連性は極めて密接である。
  • 繭層重および繭層歩合の選抜にともなう繭の計量諸形質の変化
    倉沢 一二三
    1968 年 37 巻 1 号 p. 51-56
    発行日: 1968年
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1. 繭層重および繭層歩合について8世代にわたって選抜した結果, それぞれ2つの系統に分離することができた。
    2. 繭層重と繭層歩合とは極めて強い関連性を有し, いずれか一方の形質を選抜の対象としても, 両形質を各個に選抜したと同じ結果が得られた。
    3. この2つの形質の選抜結果は, 他の計量的の関連形質の大部分のものに変化を与える。そして, その変化は両形質を同一の方向に選抜した場合には, 繭綿重と繭綿歩合を除いた他の形質については全く同一の結果を示した。
  • 薬剤の空中散布によるヒシモンヨコバイの防除
    田浜 康夫
    1968 年 37 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 1968年
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1965年3月30日 (クワは冬眠の状態), 4月19日 (クワは脱苞期の状態), および1966年4月23日 (クワは第3開葉の状態) の3回にわたって, ヘリコプタから殺虫剤を散布した。その結果, 桑樹萎縮病の媒介昆虫であるヒシモンヨコバイの越冬卵を3月30日ではほとんど殺卵できなかったが, 4月19日においてはほぼ半数にまで減少させることができた。さらに, ヒシモンヨコバイがほとんどふ化したと思われた1966年4月23日の散布では高濃度のマラソン乳剤を10a当り片道3lの往復飛行 (計6l散布) により枝条葉にくまなく散布した試験区ではヒシモンヨコバイを全滅させることができ, 夏期中にもほとんどその発生を認めなかった。その結果, クワ苗への伝染も極度に低下した。
  • 桑田 和子, 山本 恵美子, 浜村 保次
    1968 年 37 巻 1 号 p. 63-65
    発行日: 1968年
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
  • 山田 たけを, 山崎 寿, 小林 あつ子
    1968 年 37 巻 1 号 p. 66-68
    発行日: 1968年
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
  • 秦 信親
    1968 年 37 巻 1 号 p. 69-80
    発行日: 1968年
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
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