日本蚕糸学雑誌
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39 巻, 6 号
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  • I. ヒシモンヨコバイおよびヒシモンモドキの保毒虫体内におけるマイコプラズマ様微生物の存在
    川北 弘, 石家 達爾
    1970 年 39 巻 6 号 p. 413-419
    発行日: 1970/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    クワ萎縮病の媒介昆虫であるヒシモンヨコバイおよびヒシモンモドキの保毒虫個体の唾腺および腹部におけるマイコプラズマ様微生物の存在様相を, 電子顕微鏡により観察した。その結果, 罹病クワ組織内にみられるのと同様の粒子が多数観察された。これらの存在部位は唾腺組織では, 腺細胞の細胞質の周縁部に特に多く, 腹部では背面の上皮組織に近い脂肪体と思われる部位に多く存在することが観察された。
  • 有賀 久雄, 渡部 仁
    1970 年 39 巻 6 号 p. 420-424
    発行日: 1970/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    外観4角形多角体を形成する細胞質多角体病ウイルス(TC)と核多角体病ウイルスとの干渉, 並びに外観6角形の多角体 (HC) あるいは4角形多角体を形成する細胞質多角体病ウイルスをそれぞれ紫外線処理によって不活化したものと, 核多角体病ウイルスとの干渉現象につき調べた。
    活性のTCウイルスと核多角体病ウイルスとの干渉実験では, 両者の接種間隔が24時間の場合には核多角体病蚕発生率が対照区と処理区とで差がない場合と, 処理区のほうが核多角体病蚕発生率が低い場合とがあった。2齢起蚕にTCウイルス接種, 3齢起蚕に核多角体病ウイルス接種の場合には, 処理区のほうが対照区より核多角体病蚕発生率が低かった。
    紫外線不活化HCウイルス (2時間処理) と紫外線不活化TCウイルス (3時間処理) との前接種の, 後から接種された核多角体病ウイルスによる発病への影響についてみると, 両者とも核多角体病発生率を低くするが, 後者のほうが強く影響する。
    現象的には細胞質多角体病ウイルス並びにその紫外線不活化ウイルスは核多角体病ウイルスに干渉し, 核多角体病蚕発生率を低くするが, 核多角体病蚕の判定を中腸組織に分布している気管皮膜細胞についてのみ行なった本実験結果から, 直ちに両種ウイルス間に明らかに干渉現象が生起するとの結論を導くまでにはいたっていない。
  • (VIII) 無菌飼育蚕の細菌性疾病を抗生物質で防除する試み
    児玉 礼次郎, 中筋 祐五郎, 西尾 昌晃
    1970 年 39 巻 6 号 p. 425-428
    発行日: 1970/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    人工飼料で無菌的に飼育した5齢健蚕を用い, 病原細菌の経口接種に基因する疾病の抗生物質経口投与による防除について検討を加えた。その結果この種の疾病は試験管内でそれらの細菌の増殖を抑制する抗生物質によって防除され得た。抗生物質の試験管内での細菌増殖抑制効果と生体での発病防除効果とは平行的であるが, しかし両者における抗生物質の必要量にはかなりの開きがあった。
  • (II) ビニール系モノマーグラフト絹糸の界面動電圧とその吸湿能・密度について
    北村 愛夫
    1970 年 39 巻 6 号 p. 429-436
    発行日: 1970/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    絹糸のグラフト化の凝集構造の機構を吸湿能, 密度, ガラス転移温度から検討し, さらにその膨潤度および純水との系における界面動電圧から追究し, つぎのような結果を得た。
    1. 吸湿能・密度・ガラス転移温度から絹繊維内部表面の極性基の Blocking はもちろん, 外部表面も疎水性ビニール系ポリマーであるポリスチレンによって覆われ, さらに毛細管閉塞効果により吸湿性の低下が見られたが, 低オーダー部分にグラフト化が起っており, 結晶部分が関係するような反応でないことがわかった。
    2. 膨潤度および界面動電圧の測定から前述の結果がさらに明瞭にされた。すなわち分子間にグラフト化が進行するまでζ電位は上昇し, さらにグラフト化が進んで外部表面にグラフト化が及ぶとビニール系ポリマー-純水系の界面動電圧の値に落ち着くことがわかった。これにともなって負のポテンシャルもグラフト率の上昇とともに上昇し, のち一定のポテンシャル値に収束する。
    3. グラフト絹糸の負のポテンシャルの増加は酸性染料 (負電荷をもつ) との静電的反撥をもたらし, 染着性低下を示すが, この理論的根拠を明確にしえた。
  • II. 非日周的光線リズムとカイコの成長
    平坂 忠雄, 小山 長雄
    1970 年 39 巻 6 号 p. 437-442
    発行日: 1970/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    非日周的光線リズムがカイコの成長におよぼす影響について無菌飼育によって調査した。
    実験に用いた光周期は, 8, 12, 24, 48, 72, 96, 120および144時間であり, また明暗の比は1:1および1:3である。
    実験の結果はつぎのように要約される。
    1) 明暗比1:1のばあい
    カイコの経過は24時間周期 (12L: 12D) がもっとも短かく24日08時間, ついで72時間周期 (36L:36D) の25日04時間であった。これ以外の非日周的光線リズムにおいては, いずれも経過が長びき, 約27~28日を要した。
    2) 明暗比1:3のばあい
    カイコの経過は上記同様24時間周期 (6L:18D) がもっとも短かく23日04時間, ついで72時間周期 (18L:54D) の24日であった。これ以外の非日周的光線リズムにおいては, いずれも経過が長びき, 約25日を要した。また, 24時間以下の12時間周期 (3L:9D) および8時間周期 (2L:6D) についても経過が長びき, 約25日を要した。
    3) 24時間周期はカイコの経過を大巾に短縮したにもかかわらず, 他の光線処理区に比較し繭重, 繭層重にほとんど差をみとめなかった。
    4) 以上の結果, カイコの成長は, 光周条件が circadian rhythm を持続するときもっともよく進行するものと思われた。
    5) 非日周光線リズムのうち, 72時間周期が比較的経過を短縮した原因について若干考察を加えた。
  • 第1報 土壌の水分条件と桑樹の水経済について
    直井 利雄, 関口 治郎
    1970 年 39 巻 6 号 p. 443-450
    発行日: 1970/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    この研究は桑園かんがいの基礎資料となる土壌水分条件とクワ枝条の伸長成長, 物質生産および水経済などの間の関係を明らかにする目的で, 1965年7月から9月にわたるか3か月間, 日野桑園で行なったものであるが, その結果の概要は次に示すとおりである。
    1. クワ枝条の伸長成長は, かんがい区>1/2かんがい区>無かんがい区の順であり, 有効水分の多い区ほど伸長成長が旺盛であること, また, 根群領域の有効水分が消失すると伸長成長は完全に停止することが認められた。
    2. 試験期間 (7月1日~9月28日) の蒸発散量の日平均値は, かんがい区は6.1前後, 1/2かんがい区は3.2mm前後, 無かんがい区は1.2mm前後であった。
    3. 桑園の蒸発散係数は, かんがい区は658, 1/2かんがい区は364, 無かんがい区は276であり, 土壌水分の多い条件下で, 一定量の乾物生産に多量の水を消費することが認められた。
    4. 以上の結果から, 桑園の好適土壌水分は, 有効水分の50%以上にあるものと考えられるが, このような好適土壌水分条件下で栽培を行なうと, 日野桑園 (春秋兼用) の1日当りの蒸発散量は, 夏季において約6mmであった。
  • 須藤 芳三, 石家 達爾
    1970 年 39 巻 6 号 p. 451-457
    発行日: 1970/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    虫体内注射法を応用してクワ萎縮病の罹病葉, および保毒虫の磨砕液を無毒ヨコバイに人工接種して次の結果を得た。
    1. 酸化による不活化防止のため, 還元剤, 酵素阻害剤, 吸着剤などを緩衝液に添加して罹病葉を磨砕し, さらに超遠心法によって濃縮して, ヒシモンヨコバイに注射したが, 感染させ得なかった。
    2. 保毒虫磨砕液では, 無毒ヒシモンヨコバイに注射接種し, 感染することが確認された。磨砕緩衝液のなかでは, 燐酸緩衝液およびグリシン, MgCl2を含む燐酸緩衝液がすぐれており, さらに超遠心法で分画すると, 病原は濃縮できることが示された。
    同一病原をヒシモンヨコバイ, ヒシモンモドキの両種ヨコバイに接種したところ, 感染率は1:10の希釈でヒシモンヨコバイの24~27%に比較して, ヒシモンモドキでは40%前後になり感受性が高かった。
    3. 注射してから接種するまでの期間 (注射後5~11日) におけるヨコバイの生存状況は, 試験条件によって異なるが, およそ注射虫の半数は生存し, 接種できた。
  • 円筒形胞子という和名に対する批判を中心にして
    青木 襄児
    1970 年 39 巻 6 号 p. 458-461
    発行日: 1970/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 1970 年 39 巻 6 号 p. 462-463
    発行日: 1970/12/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    ハチノスツヅリガの結紮幼虫における核多角体病ウイルスの増殖
    猩々蠅 (Drosophila) のラブソング
    タマナキンウワバの核多角体病ウイルスに対する蛹の感受性1. 一般的なレスポンス
    家蚕永続蛹の核多角体病ウイルスに対する感受性
  • 1970 年 39 巻 6 号 p. 468a
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 1970 年 39 巻 6 号 p. 468b
    発行日: 1970年
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
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