測色計を使用して生糸を光学的に測色し, 肉眼検査による色相程度の判定と比較検討し, 次のような結果が得られた。
1. CIE表色系によれば当所で受検される生糸の色は主波長575~581mμ, 刺激純度5.6~12.0%, 明度53.9~71.2%の範囲にあり, 色名は yellowish Gray である。これに対し練糸は主波長574~580mμと生糸に比し変化なく, 刺激純度2.2~4.0%と無彩色に近く位置し, 明度も76.2~80.7%と生糸より大きくなる。色名は yellowish White である。
2. 等色差表色系の Hunter L. a. bでは明度73.4~84.4%で, 肉眼判定の淡方向になるにしたがい明るさを増し, aは-1.1~+1.4で淡は (-) 側で帯緑色, 中, 濃は (+) 側で帯赤色にほぼ分類される。bは5.0~9.0を示し濃方向になるにしたがい黄味の度合が多くなる。すなわち, 生糸の色相は緑味から赤味を帯びた黄色である。
3. 生糸の肉眼検査による色相程度と機械的な測色値との関連性が高く, 肉眼検査の正確性がうかがえる。
4. 生糸の色相は黄色が主体であって, Hunter のbを測定することにより, 生糸の着色程度を判定することが可能である。ただし, 肉眼検査は心理的要素が多く加わるので, L, aの多少によって色相程度の判定に大きく影響をうけている。
5. 生糸の白さは Hunter のLによって比較が可能である。
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