日本蚕糸学雑誌
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42 巻, 6 号
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  • 土井 良宏, 筑紫 春生, 木原 始
    1973 年 42 巻 6 号 p. 411-416
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    混合育による1保存系統に2齢起蚕時に白色を呈する個体が少数分離した。これらはすべて2齢期間中に食桑不能のまま致死したが, 同区における遺伝子頻度を推定し, 2齢起白色致死蚕分離系統として確立することができた。この白色致死遺伝子は既知のalおよび+al遺伝子と複対立関係にある。したがってこれを第2アルビノ (記号, al2) と命名した。連関検索の結果, al2は第5連関群に属することが判明したので, さらにpe, reを基準に選び3点実験を行ない, alの遺伝子座を第5染色体37.9と決定した。
  • 村上 毅, 武田 友四郎
    1973 年 42 巻 6 号 p. 417-424
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    この報告は, 桑葉における光合成速度と光の強さの関係およびそれらの葉位による変化を明らかにするためにおこなった実験結果をのべたものであり, その結果の概要はつぎのとおりであった。
    (1) 光の強さとみかけの光合成速度の関係, すなわち光飽和条件下での光合成速度を100とする各光の強さごとの相対光合成速度は, 葉位による差異がみとめられ, その傾向は弱光域で顕著であった。
    (2) 空気中の炭酸ガス濃度が300ppm前後の場合には光の強さが25~35Kluxで桑葉の光合成速度はほぼ光飽和状態に達するが, 光飽和点は若い葉で高く, 古い葉で低くなる傾向がみとめられた。
    (3) 葉位別に光補償点, 光合成速度および暗呼吸速度を基準として桑葉を区分すると, 光補償点が比較的高く, 光合成速度はまだ十分大きくないが暗呼吸速度が比較的大きい未成葉, 光補償点が中位にあり, 光合成速度が最高に達し, 暗呼吸速度が低下しはじめる完成葉, および光補償点が比較的低く光合成速度および暗呼吸速度が低下した老熟葉に区分することができる。
    (4) 未成葉, 完成葉, 老熟葉について光の強さX (Klux) と光飽和の状態での光合成途度を100とする各光の強さごとのみかけの相対光合成速度Y2, Y3, Y4の間にはそれぞれつぎに示すような関係が成立する。
    未成葉
    Y2=X/0.0507+0.0055X-52.8500
    (実験式II)
    完成葉
    Y3-X/0.0522+0.0062X-36.6833
    (実験式III)
    老熟葉
    Y4=X/0.0466+0.0069X-26.9567
    (実験式IV)
    (5) 光の強さ52Kluxにおける真の光合成速度を100として各光の強さごとの相対光合成速度を求め, これと光の強さとの関係をみると相対光合成速度の変動は比較的少なく, 葉位や, 個体による差も少ない。光の強さをX (Klux) とし, 真の相対光合成速度をY1とすると, つぎの実験式によって示される関係がみとめられた。
    Y1=X/0.0736+0.0084X (実験式1)
    (6) 葉位にかかわりなく光―光合成曲線を作成したとき同一の光の強さにおける見かけの相対光合成速度の変動が大きいことは, 主として葉位すなわち葉令にともなう暗呼吸速度の差によるものと考えられる。
    (7) 葉令がすすんだ桑葉では, 光の強さの減少に対する光合成速度の低下率が減少し, 光飽和点および光補償点が弱光側に移行し, 陰葉化する傾向がみとめられた。
  • 土井 良宏
    1973 年 42 巻 6 号 p. 425-435
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    九州大学農学部保存の1系統に, 繭層を透して蛹を見得る極端な薄皮繭を多発した。淘汰, 交雑実験の結果, この薄皮繭は第3染色体上の1劣性遣伝子により発現されることが判明したので, これを薄紙繭 (遣伝子記号: flc) と命名した。その特微は以下の如くである。
    薄紙繭は同一蛾区に分離した正常繭と比較した場合, 全繭重には差はないが繭層重が約1/3に過ぎない。しかも, 繭1個当りのフィブロイン量が正常繭の約40%に減少するのに対し, セリシン量は70%である。したがって練減率は正常繭では25%であるのに比べ, 40%前後の異常に高い値となる。熟蚕期の絹糸腺をみるとflcホモ型幼虫では中部糸腺が異常に偏平である。後部糸腺は正常蚕の場合に比しやや細く, かつ僅かに短い。幼虫発育経過は正常である。
    さらにZe, sm両遣伝子を基準に用いて3点実験を行ない, flcの遣伝子座を第3染色体49.0と決定した。
  • II. 電気泳動およびクロマトグラフによる活性蛋白分画の探索
    横山 忠雄, 蒲生 卓磨
    1973 年 42 巻 6 号 p. 436-442
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    Fractionation of boood protein of the silkworm was carried out by the preparative electrophoresis on polyacrylamide gel and by chromatography on DEAE-Sephadex (A-50) and Sephadex (G-150) in order to find out the haemomuscular-active component.
    As a result, it was found that a few components which moved faster than others on gel electrophoresis (pH 8.9) and with comparatively lower molecular weight were related with haemomuscular reaction. This was supported by the fact that there was observed difference in the pattern of electrophoresis in the front part between the haemomuscular-strong strain and weaker one.
  • 古田 要二
    1973 年 42 巻 6 号 p. 443-453
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    ハスモンヨトウおよびマイマイガの核多角体を接種された蚕に発生した軟化病症状蚕から得られた蚕に対する起病性因子 (それぞれPlV, LdVと略す) の性状を明らかにするため, 蚕のウイルス性軟化病のウイルス (FVと略す) と比較検討を行ない次の結果を得た。
    1. PlV, LdVは何れもザイツEK, ミリポアーフィルター100mμ以上で滬過され, FVと差がなかった。
    2. これらは何れもFV同様ホルマリンで不活化されるが, テトラサイクリン, アルコール, オスバンおよび蚕の消化液では不活化されなかった。
    3. PlV, LdVを支124号, 大造, 日124号および支7号のそれぞれの原種および交雑種に接種したところ, 何れも支124号, 大造および支124号×大造にはまったく感染せずFVとは明らかに差異がみられた。
    4. PlV, LdVの両者とも経皮接種では日134号×支135号, 日124号に感染するが, 支124号の蚕体内ではウイルス増殖ほまったく認められなかった。
    5. PlV, LdVは何れもFVの抗血清で中和反応が成立し, 抗FV血清を用いた免疫電気泳動像にはFVと差がみられなかった。
    6. PlV, LdV感染組織では何れもPMG染色によってFV感染でみられる好塩基性状体はみられず円筒細胞に著しい異常が認められた。また, FVの螢光抗体でいく分染色されるが, FVの場合とは染色像に差異がみられた。
    7. LdVの精製標品の電子顕微鏡観察では直径17~23mμのFVよりいく分小さい粒子が認められた。また, PlV, LdVは何れもCsClによるFVの精製法ではウイルスバンドが認められず, 各フラクションとも高い感染力価を示した。
    8. 両ウイルスともハスモンヨトウに感染しなかった。
    以上の結果から, PlVおよびLdVは同一あるいは極めて類似したウイルスであり, FVとは異なるウイルスと考察した。
  • 片岡 平, 湯原 喜熙, 田中 茂光, 沢路 雅夫
    1973 年 42 巻 6 号 p. 454-462
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1) 蛹体の発育程度によって容量値は変わるが, 電気容量法によって雌雄分離は可能である。
    2) 容量値は繭重と正の相関々係 (r=0.828) を有する。
    3) 電極板の幅により数値が変わる。幅が狭いほど容量値は大となり, 大きい繭で極板間の幅が広くなると数値は小さくなる。
    4) 発振器の周波数がそれぞれ2,000, 1,230, 550KHzでは550KHzが雌雄分離の精度が良い。
    5) 繭重による雌雄分離のよい繭ほど, 電気容量法による雌雄分離の成績も良好となる。なお, 本測定方法は特許出願中 (沢路・信光技研, 1972) である。
  • 1973 年 42 巻 6 号 p. 463
    発行日: 1973/12/25
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    土壌中における Bacillus thuringiensis の消長: 土壌pHと有機物増量の影響
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